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人生のストーリーを作ること

ここ数か月、いろいろなことを考えながら過ごしていました。世界史の勉強をしたり、空海やカエサルにはまったり、Netflixのドキュメンタリーで、歴史や地球の起源や宇宙にはまったり、アニメの弱虫ペダルで感動したり。トレーニングは、変わらずジムで走り、最近はロードバイクの練習に熱中しています。次の挑戦に向けて、具体的な目標設定はできましたが、しばらくもやもやした気分が続いていました。

きっかけは社内広報の方から企画いただいた取材。TJARのレースについて、社内広報に掲載いただきました。とても親身に話を聞いていただき、嬉しく有難い経験でした。取材のなかでレースの後に続く最後の問いは当然ですが「レースの経験を仕事にどう活かすか」でした。数日間考え、出した結果は「挑戦・人・応援の力」というポイント。回答に迷いはありませんでしたが、この問いは深く哲学的なように思い、終わった後もずっとそれが頭に残っていました。この問いは「これから仕事とどう向き合うのか」というようにも書き換えられるように思いました。
この数年間は明らかに仕事よりプライベートに重心を置いていました。それでいいと思っていました。老子的な生き方に憧れたり。ただ、最近、尊敬する方とお話ししたり、歴史の勉強をしたりする中で少しずつ考えが変わってきました。その思考のプロセスを言葉に残したいと思います。

社報より
社報 英語版

歴史・哲学から学ぶ

尊敬する方々とお話しするなかで響いたキーワードは「これからの日本」について考えること。
主語は「日本」。
ローマ帝国やカエサル、アレクサンドロス、モーセ、クレオパトラのドキュメンタリーを見たり、「国家はなぜ衰退するのか」(ハヤカワ文庫)を読んでいくなかで、いかに平和を維持していくことが難しいのか、逆に今の平和な日本がいかに貴重なのかを改めて感じたり。また、聖徳太子の17条憲法「和を以て貴しとなす」、明治時代の「五箇條の御誓文」などをみるなかで、日本文化の美しさや思想の起源を感じました。先人の方々が残してくれたこの美しい日本を維持していくために自分に何ができるのか、真剣に考えないといけないと少しずつ考えが変わってきました。既にそのような気持ちで働いている人がいる中、46歳でようやく気付いたことは恥ずかしい限りです。

”後世へ遺すべき物はお金、事業、思想もあるが誰にでもできる最大遺物とは勇ましく高尚なる生涯である"

内村鑑三『後世への最大遺物』

そして、数年前からずっと頭にあったスイスの哲学者カールヒルティ「幸福論(第一部)」にある”仕事”に関する多くの言葉。第三部あるなか、冒頭に「仕事」について語っています。キリスト教色が強い感は少しありますが、正しく誠実に生き、ストア派の流れもあり、とても共感できます。何度でも読みたい本、そして読むたびに気づきのある本。

”肝心なのは、人の心に働きの喜びを呼びさます
こと”
"人間の本性は働くようにできている"
"我を忘れて自分の仕事に完全に没頭することのできる働き人は最も幸福である"
"働く人だけが真に楽しみと休養の味わいを知りうることができる"

ヒルティ『幸福論』

ただ、カールヒルティもストア派セネカも、仕事に没頭しすぎることはよくない、自分や家族の時間を大切にすること、時間を無駄にしないことを強調しています。中庸は普遍的な思考。

人生のストーリーを作ること

極端ですが、私はTJARのゴールに「自分の理想的な死」をみることができました。今は、日本海から太平洋までの道のりを「人生の縮図」のように感じます。TJARのゴールのように家族や仲間やこれまで出会った方々に頑張ったねと言われながら、人生の最後のゴールを迎えたい。孫やひい孫に笑顔で人生の最後を見送ってほしい。
ただ、決定的に違うのはTJARは、日本海からアルプスを渡り太平洋にゴールするというストーリーが用意されていること。天候や体調も変わり、それぞれのストーリーが必然的に生まれる素晴らしい舞台。
一方で、自分の人生の舞台は、自分でストーリーを用意していかないといけない。誰も用意してくれない。シェイクスピアもサルトルもニーチェも言う、生きる意志が必要と。

「この世は舞台であり、人は皆役者なのだ」
「それぞれに登場と退場がある。人はその時々に合わせて色々な役を演じている」

シェイクスピア『お気に召すままに』

残り数十年の人生に対し、どう自分の人生のストーリーを作って生きていくのか。どうしたら心を動かすストーリーを残していけるのか、満足できるストーリーができるのか。
仕事やプライベートも含め、これからそれを追求していこうと思います。

"幸福を得るには、あらゆる人間の中で、勇気が最も必要である"

ヒルティ『幸福論』

自分のなかにある「挑戦したい自分」と「コンフォートゾーンにいたい自分」の二面性。この葛藤にしばらく向き合ってみたいと思います。



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