2022 TJAR Day6 南アルプス中盤
悪天候・深夜の塩見岳越え
休憩を取り、起きると雨が強くなっていました。いよいよ悪天候が迫ってくる。ヘッドライトを付け、ヘルメットを装着し、塩見岳へ。塩見岳へ近づく稜線は風が強い。電波が入らないので、IBUKIはみることができない。みんな先に行ってしまったか。当然ながら一人で行くしかない。
塩見岳への稜線は風も強く、雨も強くなってきたため、体が冷えないよう注意する。それほど長い登りではないが、長く感じた。この時間の、行動は慣れている。ただ、塩見岳が大きく巨大なモンスターのよう。悪天候でも普段感じない怖さを感じました。
登頂後も、小屋への下りでさらに雨風が強くなり、視界も不明瞭。急な下りの上、時々ロストしそうになりました。その都度、基本に忠実に登り返し道を探しました。塩見小屋までの下りは苦戦しました。慎重に下り、小屋が見え安心。ただ、雨風が強く、ここからの道は池のようになっていました。池になった道を進んでいく。途中、関選手と思われるテントがありました。
これまで、足裏をケアしてきたのは何だったのか、この先ずっとこの雨が続くのか、とても気持ちが落ちこみました。時々登ってくる登山者の応援・姿に助けられました。三伏峠手前で雨が一旦あがり、日の出の時間も迎え、少し元気を取り戻しました。そして、やっとやっと三伏峠へ。
助けてくれた友
気持ちは最高に落ち込んでいました。CPでチェックをうけると、そこに山友達・バディのいたちゃんが…
「待ってたよ」
その言葉が本当に本当にうれしかった。
その時。元気そうにみえたようですが、気分は最高に落ち込んでいました。聞くと昨晩いたちゃんのテントも水没したとのこと。
そんな中、長い時間待っててくれたんだ。。ありがとう。
メッセージ
「いつもみんながついているよ!大浜海岸で待っている!」
本当にありがとう。ようやく笑顔が取り戻せた。
東屋で休憩し、体を温めるため紅茶を飲みました。近くにいた登山者の方も「お疲れさま。これ食べる?」と。
いただいてしまうと失格になるので、事情をお話しし、気持ちだけいただきました。
そして、荒川岳へ
完全に濡れてしまった足にベビーパウダーをかけ、出発。
そこからNHKの取材の方が一緒に進んでいいかとのこと、OKし、一緒に進みました。話していると少し気が楽になる。
そして、撮影も終わり、ガスの、荒川岳へ。
またすぐに雨が降りだす。
「もう南アルプスの天気はずっとこのまま、更に悪化していく」
と気持ちの中で整理し、この頃、ようやく受け入れることができました。
高山裏小屋では、ご主人と少し話をしながら、補給・足裏ケア。
荒川岳の手前で雷が鳴りだしました。この先進めるかどうか、雲流れ、風の状況をみながら慎重に進みました。雷が遠くなってきたので、荒川岳へ登頂。すぐに下山。相変わらず雨は強い状態でした。
赤石岳へ、そして予期しなったトラブル
荒川小屋でCPを受ける。雨が強く、常に濡れているため、足裏ケアは少し面倒になってきていました。
食欲はありませんでしたが、体調はそれほど悪くなかったです。スタッフの方と少し話をしてすぐに出発。
ここから向かう赤石岳は雄大で、記憶よりも大きかった。そして、雨でもかっこよかった。赤石岳への登りはなぜか調子がよく一歩一歩進みました。途中、昨年出場の入江さんにお会いしました。そして、NHKの取材、TJAR OB の雨宮さん。調子がいいうえに、お話ができたので元気がでました。話しながら頂上を目指す、台風の前兆のような雨風、でも調子はよかった。
赤石小屋で雨宮さん・登山者の皆さんから応援をうけ、百間洞を目指しました。ここまで好調であったが、直後、ふと、左ひざ内側が痛くなりました。
最初は気になる程度であったが、それから激痛に。。。!?
なんで。。。
百間洞への下りが、痛くて全く下れない…!?
日没に加え、強まる雨風・雷も加わり、完全に泣きっ面に蜂でした。一歩一歩ゆっくり降り、何とか到着しました。本当に一歩一歩でした。
寝て起きたときには治っていることを祈りました。でも本当に痛い。。
暴風雨の中、ドームシェルターを何とか張り、中に入りました。既にテント内は水浸し・水たまり。数分呆然としました。
何からすべきか考える。水の掃き出しを試みましたが、無理と考え、マットを水の上に張り、なんとか乾いた服・防寒具に着替え、食事をし、横になりました。
いよいよ、今晩台風がくる。明日はどうなるのか。中止にならないか。
この足で完走はできるのか。
不安は募るばかりでした。
【COROS計測:41.02km(3D距離),累積上昇3254m,5418kcal】
続く