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panda_6:別れ

 2003年にフジテレビ系列で放送されていた「僕の生きる道」というドラマがあります。

 高校教師の中村秀雄(草彅剛が演じています)がある日余命1年を宣告されます。中村は自暴自棄になり、ついには自殺未遂まで起こしてしまいます。しかし、主治医との触れ合いから残りの人生を精一杯生きようと決意します。
 生きるということや人生の目的について考えさせられた素晴らしいドラマです。小説版も読みました。

 そんな中村先生が、同僚教師である赤井の結婚式にてスピーチを行った場面を紹介します。

 赤井先生の夢は幼稚園の運動会で子供と一緒に走ることだと聞きました。早くその夢が叶うといいですね。(中略)
 あっ子供が大人になったら一緒にお酒を飲むってのもいいですね。孫ができるころにはやっぱり夫婦でのんびり旅行ですよ。
 あっそうだ。おふたりはさっき、さだちゃん、よっちゃんって呼び合おうと言ってましたけど、お爺ちゃんお婆ちゃんになっても今と同じように名前で呼び合う仲のいい夫婦でいてくれたらなって思います。
 そして…いつかどちらかが先に旅立つ日が来ると思います。そのときに後悔しないようたくさんの愛で精一杯の愛でお互いを思いやってください。

『僕の生きる道』より

 高校生当時は、ドラマでこのシーンを見て、いつか将来を約束するパートナーと出会ったら、年齢を重ねても名前で呼び合いたいなと感じたことを覚えています。

 ただ30代になるとそれ以上に、人はいつか死ぬこと、命には確実に終わりがくることについても考えさせられます。とてもとても悲しいことですが、30歳を待たずに病気で亡くなった同級生がいます。大好きだった祖母や祖父ももう亡くなりました。そしておそらく、親は私よりも早く旅立つでしょう。友達やパートナーとの永遠の別れも突然やってくるのでしょう。

 「別れがあるから、出会いに感謝できる
 「別れは人を成長させる

 年度末のホームルームで、毎回生徒たちに伝えてきた言葉です。常に「別れ」を意識して、「出会い」に感謝できるようになってほしい。そして、避けられない「別れ」は必ずあなたを成長させてくれる。そんなメッセージです。思い返すと、生徒たちに伝えると同時に、自分にも言い聞かせていたような気がします。

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