老母と私の農作ノート29
さて、柿の木を切り倒して欲しい。実はならないし枯れ葉が道に散って掃除が大変だという母の言葉を聞き新品のチェーンソーを抱えて行きました。
昔は自分の身長と変わりがないくらいの柿の木でしたが、いまや3メートルほどにもなっています。これはいきなり切り倒して隣に倒れ込むと大変だと思い、まず枝や上部を先に伐り落とすことにしました。
家の裏に回り込んで立てかけてあったはしごを持ってきたけど扱いづらいなと思って見回すと、すぐ近くにあった脚立に気がつきそちらを利用。
チェーンソーを抱えて脚立に上るという危ない真似をしながら枝や上部を伐り落とし、予定していた根元から切り倒す。
そばで見ていた母が「その横のツツジも水道局の人がメーターを確認する邪魔になるんで伐っちょくれ」と言われてかなり大胆にきりとりました。
メーターはどこにあるのか確認はしなかったけど、母が「すっきりした」と喜んでいたので目的は達したものと思いました。あとは畑の横に運んで積み上げるだけですが、運ぶにはまだ大きすぎたので一輪車に乗るサイズにするためにさらに細断。
あれやこれやとするうちに数時間があっという間に過ぎました。
「バラを植え替えなくては」と思ったけどもう時間がない。午後からは帰ってやりたいこともあるので、バラの植え替えはあきらめました。
この日はチェーンソーで枯れた木やら太い枝やらを伐って回ることにしました。先日伐り倒していいと母に言われた木を見て「これは伐ろうか?」と聞くと今日は首を横に振ります。
「もう何十年もあるから置いとく、邪魔にもならんし」
ということ。母も気まぐれな人だったからなあとその性格を思い出しました。
ところで、チェーンソーは「バイオハザード」などのゲームでも出てくる危険な代物。そういえば、「テキサスチェーンソー」なんていうホラー映画もありましたね。
ホームセンターの店員さんに注意されたことは心して慎重にチェーンソーを使いました。
「十分回転をさせてから木に当ててください。キックバックが起こると自分の頭を割ります」
「たてにして木を伐ると、勢いで振り下ろして足にあたる。アウトです」
うわっくわばらくわばら。できるならあまり使いたくない代物であることは確かですね。
柿の木を切り倒して細断した後、さてほかの木もと思ってエンジンをかけようとしてもすぐに回転が止まります。
「買ったばかりなのにな」と母は言います。初期不良かと思ったけど、すぐに気がつき燃料を確認、カラでした。
いくら新品でも燃料がなくては動きません。