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イギリス日記
お久しぶりです。ついさっき?昨日?イギリスから帰ってきて、時差ボケの中書いています。本当は毎日のことを日記にしておきたかったんだけど、あまりにも忙しくてその時間が取れなかったから、その時々書き殴ったものと今思い出したものを切り貼りして書いてみるね。
すごく楽しくて嬉しい思い出だから、忘れてしまわないようにできるだけ細かく記録しておくことにする。たぶん長くなるから、おやつの時間とか暇な時に気楽に読んでもらえると嬉しい。
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8/18 機内にて
朝4時半に家を出て空港に向かう。なんと父と母も一緒である。空港にまで見送りに来てくれるらしい。
ここ半年ほどまともに口を利いていなかったけれど、昨日から急激な雪解けが訪れている。留学中に使えるようにと、いくつかのプレゼントまでもらった。
どうせ数日、数週間、粘っても1,2ヶ月後には元通り険悪な仲になっているだろうことは今までの経験からわかっている。それでも私もまだこの扱いをしてもらえるんだと思うと嬉しくてくすぐったくて、買ってもらったアイマスクを試しにつけるふりをして少し泣いた。母は私を見て、あんたが美容にうるさいからわざわざシルクのにしたんだから、と言って笑っていた。
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日本時間13時頃、他の人より1時間程遅れて人生で初めての機内食を食べる。噂のビーフオアチキン?ができることを楽しみにしていたのだけど、本来の昼食時間に私が寝ていたせいでチキンが売り切れ、強制ビーフが決定する。夜ご飯でビーフオアチキンができることを祈り、また寝る。現在北京上空。
飛行機に乗ってから14時間が過ぎた。予定通りに行けば、あと30分程でイギリスに着く。飛行機は徐々に高度を下げつつあり、それに伴い発生する強風に煽られて頼りなさげに震える翼が見えて少し不安になる。そもそも、こんな鉄の塊に何百人も人が乗ったものが空を飛ぶ仕組みがわからない。私にできるのは、ー墜落しないように祈ることだけである。
8/19-23 授業
忙しい。とにかく時間がない。
来るまでは、せっかくだし毎日日記を書きたいと思っていたけれど、できなさそう!毎日の授業に加えて少し街歩きでもしたらもう疲れすぎてベッドに倒れ込む毎日。でもその分充実していて楽しい。
私はこれが初海外だから、いいことも悪いことも含めて全てが新鮮で、毎日楽しく過ごしている。
衛生に関しては日本と比べると少し馴染めないところもあるけれど、危惧していた食事は思っていたよりも美味しい。確かに味は①無味②微妙に塩味③罰ゲームくらいしょっぱい の3パターンな気がするけれど、慣れたらそれはそれで美味しい。私は割と順応力が高い方なのだ。
ちなみにスイーツは基本ちょっと面白いくらい甘い。
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この週嬉しかったのは、本場のブリティッシュ・スタイルのモーニングを楽しめたこと。学食の朝食がそうだったのだ。
江國香織の『なつのひかり』という小説がとても好きなのだけど、主人公の偏屈な兄の美しい妻・遙子さんが作る朝食がそうだと知ってから、ずっとどんなものなんだろうと思っていた。
偏食で少食で我儘な幸裕は、小学生の頃、好きな食べ物を尋ねられて、鯛の目玉と答えるような子供だったのだ。低血圧のせいで朝は食欲がない、という兄に、母は毎朝特製のジュースを作って飲ませていた。朝から食い物をつめこまれて喜ぶのは家畜だけだ、というのが兄の意見で、それは結婚したあとも変わらず、遙子さんがつくる完璧な朝食ーランガム・ヒルトンばりのブリティッシュ・スタイルーには見向きもしなかった。
8/24-25 ロンドン・オックスフォード観光
平日は授業があるから、週末に思いっきり予定を詰めて観光を楽しむことにする。
24日はロンドンに充てて、テート美術館やF&Mに行った。この日はなんと言っても、テートで見たミレーの《オフィーリア》があまりにも美しかった。作品の存在自体は前から知っていたけれど、いざ実際に目の前にすると深い緑の表現やオフィーリアが纏うドレスの濡れた金色、水に浮かぶ花の色の鮮やかさがあまりにも美しくて言葉を呑んだ。
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私は美術館によく行く(ようにしている)けれど、こういう経験はあまりできるものではない。美術作品を前にして衝撃で言葉を失ったのは、数年前に見たルノワールの《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》以来である。感性が鈍いのか知識が足りないのか、大抵は美術館に行っても、ふーん、くらいで終わってしまう。でも数年に一度のこの鮮烈な衝撃が忘れられなくて、なんだかんだ通ってしまうのだ。
25日はオックスフォードへ。ハリーポッターの撮影地であるオックスフォード大学を見たあと、一緒に行った友人たちはクライストチャーチに行くというので、その間一人で時間を潰す。その辺にあった適当な美術館に入ると、ちょうどフランツ・カフカの『変身』のバレエのショートムービーが上演されていたので観ることにする。
そのあとは広場で行き交う人々を眺めながらぼんやりとする。
旅行先でこうやって、何をするでもなくぼんやりする時間も結構好きだったりする。違う匂いのする風の中で、そこでの生活を営む人々に溶け込みながら、それでもやっぱり異質さが浮き出てくる感じが好き。
秋が始まりつつあるヨーロッパの夕方の風に吹かれてうっすら冷えた身体を、適当なカフェの紅茶であたためることにする。ここで食べたスコーンが本当に美味しかった!バターの塩味が効いたしっとりずっしりとしたスコーンに、ひんやりとなめらかなクロテッドクリームをたっぷり乗せるのがたまらない。合わせる紅茶もイングリッシュ・ブレックファストにしたのも正解だった。この時食べたスコーンが、イギリス滞在中で1番美味しかったものかもしれない。
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8/26-30 授業
いよいよ芸術の授業が始まって、朝から晩まで中世ヨーロッパの絵と睨めっこしている。課題も一気に増えて憂鬱な時もあるけれど、大変だ大変だと言いながら友達と作業する時間も結構好きだったりする。
生活にも慣れて余裕ができてきて、夕飯の後は友人とパブに行ったりしてみている。ビールの種類が充実していて、飲み比べするのが楽しい。お酒があると、恋愛話にも花が咲く。
他にも、大学の庭で太陽に当たりながらのんびりする時間も増えた。短いイギリスの夏のきらめきを感じながら、音楽を聴くのがすごく好きだった。特に好きで聞いていたのは、映画『Call Me By Your Name(邦題:君の名前で僕を呼んで)』のサウンドトラック。この映画が本当に大好きで日本にいた頃からよく観ていたのだけれど、描かれているヨーロッパの夏の空気感、すなわち短い夏に浮かれる雰囲気や太陽の爽やかな眩しさを今年初めて理解できた気がする。
8/31-9/1 ロンドン観光
滞在中2回目のロンドンへ。この週末は予定が盛り沢山で、2日合わせると30km以上は歩いたんじゃないかな。
この週末のハイライトは①自然史博物館②アフタヌーンティー の2つ。それぞれ書いていくね。
まず自然史博物館。ここは私が今回の滞在中1番行きたかったところで、本当に素晴らしかった。動物学・昆虫学・古生物学・植物学・鉱物学の5分野に分かれていて、計8000万点以上の標本がコレクションされている。特に動物の頭蓋骨の標本が圧巻で、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に出てくる青年が夢読みをするシーンを思い出してうっとりした。とにかく標本好きの私にとっては夢のような場所で、素晴らしい体験だった。
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次に訪れたのは、ホテル・カフェロイヤルというところのアフタヌーンティー。アフタヌーンティーの本場イギリスで、一度はしてみたかった!
アフタヌーンティーというのは、スイーツを楽しむためというよりは甘いものをつまみながら上流階級の女性たちがお喋りするのを楽しむための場所、らしい。確かに、女子数人で煌びやかな内装の中でスイーツを食べているとおしゃべりが弾む。日本にいた頃はアフタヌーンティーの自分の中での位置付けに戸惑っていたのだけれど(いつかこの話もどこかで)、確かにこれは楽しいかも。なるほど。
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9/2-8 授業
あっという間に最終週。色々とありつつもなんとか最終発表を乗り越えて、無事に単位を取得。帰国。
この週は人間関係について色々考えたんだけど、それはまた一つの別の記事にするね。
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イギリスで過ごしたこの夏を忘れたくないけれど、どれだけこうやって書いてもだんだん記憶が薄れていってしまうのが想像できて悲しい。
でもそういう時いつも思うのは、忘れたくないなと思うくらい素敵な季節を過ごすことができたとは私の宝物になるということ。死ぬまでにそういう体験をたくさん積み重ねることができたらいいなあと思う。
書いているうちにやっと眠くなってきた。おやすみなさい!