待合室
■2024年(両親81歳)
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父 火葬の日 続き(2)
その後、どうやって2階の待合室まで移動したのか覚えていない。
部屋に備え付けの給湯ポットと湯呑みで、皆でお茶をすする。
その間、わたしは何を考えていたのか。
出掛けに持参してきたお菓子を皆で食べたのは覚えている。
ずいぶん前に友人から頂いていた東京駅限定だという洋菓子だった。
皆で「おいしい、おいしい」と舌鼓を打ち、お菓子に集中して、極力他のことは考えないようにしようという空気が流れていた。
娘たちがキャッキャと騒ぎ、ここでも場を和ませてくれる。
この待合室で、父が焼かれ終えるのを待つ。
自分の順番が回ってくる。
待っていた人、物、事がやって来る。
そうした待合の先にある喜びとは無縁の「待合室」。
待った先に迎え入れるものとは。
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