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唇の色

■2024年(両親81歳)

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父 入院11日目 

15:30 A病院へ姉と父の面会へ

父、ベッドに横たわり、目を見開いている。

目をパチパチと瞬きする。

今日も足をよく動かしている。

前髪が日増しに伸びて、ニワトリのトサカみたいになっている。

語りかけへの反応はほぼなし。
でもこちらをしっかり見て何かを語りかけてきてくれる。

酸素マスク越しにウィスパーボイスでゴニョゴニョと、全く聞き取れないが。
唇の色がみるみる白くなっている気がする。

白いというより、肌の色に似てきて唇の区別がつかなくなりそうなほど、肌に同化してきている。

途中、自らの舌で唇を舐めることも。

1日わずか100mlの点滴なのだから、唇もそりゃ乾くのだろう。

顔は日増しに細くなり、足はどんどんやせ細って棒状態だが、手の甲だけがむくんでいる。
手を握ると、まだ力強く握り返してくれる。

姉 「大丈夫、まだ力がある!」
尚子「うん!」

15:53

看護師さんがやってきて、「そろそろ…」と退室を促される。
父の顔や体を撫でに撫で、名残惜しくも病室を後にする。

今日は、そこまで苦しそうな感じではなかったように思う。

職場に連絡し、来週もまるまる休みもらうことに。
どうにも出勤できる見通しが立たず、相談に応じてくれる。

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