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ハの字

■2023年(両親81歳)

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母、エントランスで転倒 続き(2)

別荘近くのバス停で降り、また猛ダッシュで別荘に着いたのが9:30頃。

先ほど横切って行ったと思われる救急車が停まっていた。

向かいには消防車も停まっている。

何か関係あるのだろうか?

消防車を横目に急いでエントランスに向かうと、スタッフさんがタオルで一生懸命窓ガラスや床を拭いていた。

タオルは真っ赤になっている。

母の血だ。

床にも赤茶色っぽい水たまりのような跡ができている。

わたしに気づくと、スタッフさんの顔が一気にくぐもる。

「すみません…」と謝られ、転倒時の様子について一通り報告を受ける。

エントランス付近に母がいつものごとくウロウロと歩いているのは把握していたが、目を離した隙に母が転倒してしまったとのこと。

エントランスをざっと見回しても、そこまで大量出血しそうなぶつけ所があるとはとても思えない。

一体どうやって転び、どこにどうやってぶつけたのだろうか…。

食堂にいたスタッフさんも皆、お気の毒そうな表情を向けてくる。

眉毛がハの字。

両親共に、数々の転倒は漏れなくスタッフさんの目を離した隙に起こっている。

こういうものなのだろうか?

ハの字の表情を一斉に向けられたところで、やり場のない思いは微塵も解消されない。

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