箱一つ
■2024年(両親81歳)
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父 火葬の日 続き(4)
どの段階で収骨室に戻ったのか記憶を辿っても全く思い出せないのだが、
気付けば皆で父が収骨されるのを見守っていた。
男性職員が大きな骨壺の中に父の骨をお箸で次々に拾っては収めてゆく。
思ったより大きな骨壺。
途中、骨壺の中にお箸を突っ込んで、ザクザクと容赦なく父の骨を潰す。
そうでもしないと、この壺一つに収まり切らないと。
最後に、小さなチリトリのようなもので白砂のような父の遺灰をサササッと掃き取って骨壺に収める。
更に一回り大きな木箱の中に骨壺を収め、蓋をビニールテープでぐるぐると頑丈に固定する。
すいぶん大きく厳かになる。
その上から骨壺カバーが被せられる。
葬儀社が用意してくれた黒くて大きな四角い袋に、木箱を入れてもらうと、すっぽりと収まる。
骨壺専用に、ジャストサイズに作られているようだ。
そっとその袋を持ってみると、重いこと重いこと。
これまで立って歩いていた人一人分の身体が、箱一つに収まってしまった。