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母、ついに入居

■2021年(両親79歳)

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母 入居日 

午前中、三女と実家へ向かう。この日が来るのが一番嫌だった。父のほうはなんとかごまかせるけど、母においては、果たして無事誘導できるのかと。

14:00の出発まで、ご飯をつまみながら思い出話などする。やりたいこと、行きたいところ、食べたいもの… 何かしたいことをあれこれあと聞いてみるがあまり反応なし。

知人から届いた手紙とかを放置していて返事を書けずにいることが嫌だと言っていた。書こう書こうと思っても、ぐずぐずしているうちに間があいてしまって余計書けなくなると。

書けばいいのに! と言うと、年を取ると驚くほど意欲、エネルギーがそがれるらしく、何事も行動するのがおっくうになるという話に。よっぽどそうなのだろう。そうした自身の衰えに、母は耐えられなかったんだろう。それでお酒でまぎらわそうとしたんだろうと思う。

気付けば、いつからか実家のテーブルや出窓には、封を開けられていないままの郵便物や書類やなんかが積み上げられていた。以前にはない光景。母の言う通り、ぐずぐずしているうちにそのまま放置され、時間が経てば経つほどどう手を付けていいのか分からなくなってしまっていたのだろう。

私は、「お母さんの子供でよかった! ありがとう!」 とかって感極まっちゃって、母は「まぁ、それはよかった。なんにもお世話できなくて…」と謙遜してた。でも嬉しそうにしてた。

そして14:00になってしまい、「じゃあ父さんを迎えに行こう」と促して一緒に向かう。母、すんなり家を出る。やはりここで父母二人連れての出発だと厳しかったと思う。二人して抵抗してきたかもしれない。時間差にして良かった。

別荘に到着し、2Fの居室に案内される。そこで父も居室に連れられてきたんだったかな。父は、母と私(と三女)の姿を見てほっとした様子。安堵していた! そしていつもとさほど変わりなく、元気。三女をかわいがる。昨夜の転倒時に負った右ひざの傷が痛々しい。

母は車から降りてこの建物に入った瞬間から表情がこわばっており、居室に入ってからもそわそわしている。机においてあるものを確かめたり、常に動き、落ち着かない様子。

そして、深刻な表情で、ちょっと周囲に隠れるように小声で「尚ちゃん、ちょっと家に見に行きたいものがあるから家に戻りたいの」と訴えてくる。なにがあるの? と聞くと、けんのうがんのメモだとか他の薬があるとか。取ってきてあげるというと、自分で確かめたいと言う。

母はずっとそんなモード。何を言っても心ここにあらずといった感じで表情がこわばっている。やや予想通り。やはり母はこうなるよなぁと胸が痛む。

父はこの空間、環境については特に疑問を感じておらず、もうどこにいるんだか何だか分かっていない様子。そしてあまり苦痛は感じていない様子。これも予想していた感じ。父に於いては大丈夫だろうと。

16:00頃からは早くも初回のメンタルクリニック往診あり。二人は訳も分からないまま診察受ける。私も促されるがままに、まずは認知症薬ということで早速メマンチン薬処方に承諾してしまう。入居と同時に即薬導入となった。

この往診に立ち会った後、私は三女と一緒にさりげなく退室する。非常に心苦しく心配でならなかったが、やむなく退室。

夜、異例の入電なし! 

母から絶対かかってくると思っていたので、驚く。音沙汰がないのもそれはそれですごく心配になる。一晩、どう過ごしたのだろうか…。

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