母の手
■2024年(両親81歳)
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単身で訪問 9:30頃 続き(2)
居室に入り、カーテンと窓を開ける。
窓の見えるところに車いすを停める。
「お母さん、今日はいい天気だよ! 風は強いけどね。」
「お母さん、尚子だよ!」
母、無反応。
母と目を合わせて色々と話しかけても、まるで反応しない。
目の動きは少し感じられる程度。
わたしのことを認識しているんだかいないんだかも分からない。
やや下の方をぼーっと見つめているような。
母の着ているチョッキのファスナーが開いていたので、閉める。
ファスナー部分がかなりくたびれていて、なかなかうまく留められない。
母の正面に中腰になり、しばし格闘。
と、わたしの頭の上にふわっと何かが感じられる。
母の手だ!
母の両の手が伸び、わたしの頭を包んでくれている!