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幸せだよ

■2023年(両親81歳)

8/23
母 T病院 神経内科受診 続き(5)

お会計をして母と一緒に病院を出たのが17:00。

遅くなってしまった。

何だか重大な事実を知ってしまったような心持ちになる。

でも、当の本人は露知らず。

いつか旦那さんが、こちら側は母の衰退ぶりに一喜一憂して心を痛めるけど、せめてもの願いは、本人の頭のなかでは憂いとは全く無関係の世界で楽しいことを思っていてほしいよね、といったことを言っていて、本当にそうあってほしいと切に願う。

帰りの車中で母に聞いてみる。

尚子「お母さん、今なにか悩んでいることある?」

母 「そうねぇ。特にないよ。尚ちゃんは?」

尚子「わたしもない! じゃ、お母さん、今、幸せ?」

母 「そうねぇ。おかげさまで、あんたたちのおかげで幸せだよ。」

尚子「そう? それなら良かった!」

しばし沈黙。

窓の外の景色を眺めている母。

西日がさんさんと当たっている。

尚子「お母さん、今なに考えているの?」

母 「え? うーん、そうねぇ。こんなに暑いのにずいぶん良いお天気だなぁと思って。」

尚子「そうか。お母さん、子育て楽しかった?」

母 「(パッと目が輝いて)そりゃあ楽しかったわよ。」

尚子「楽しかったの? それは良かった! たいへんじゃなかった?」

母 「たいへんじゃないよ。だって大きくなっていくの楽しみだからね。」

何とも嬉しくなる。

母の表情は硬いながらも、心のなかはとても穏やかそう。

脳梗塞だろうがPSPだろうが、今、母は「幸せ」なのだ。

だって、「幸せだよ」って答えてくれたもの!!

横にいるてらてらとした母の存在がとても救いになる。


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