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『アッシリア 人類最古の帝国』(山田重郎著、ちくま新書)

読書日: 2025/1/5

 多神教の時代。紀元前30世紀というはるか昔のメソポタミア地方の各国、あるいは民族の攻防や行政運営などが結構詳細にわかっているらしい。その根拠は多くの粘土板が記録、保全、そして発掘されたことによります。
本書はそのなかのアッシリアについてまとめた新書です。
 楔形文字で記録された文書(粘土板や角柱、石製記念碑など)には、「王名表」、「年代誌」、「リンム表」、「リンム年代誌」などがあるようです。それらと旧約聖書、『歴史』(ヘロドトス)などを参照しながら整合を取っているようです。
「「リンム表」は、アッシリアにおいて年ごとにその年の名祖なおやとして選ばれた人物(リンム)の名前を年代順に配列したリスト」(p.28-29)とのことです。

 アッシリアとは、神アッシュルを祀る都市アッシュルを領域国家の起源としているとのこと、紀元前2600年ころからの存在が確認されているそうです。それ以前の紀元前3000年末期ころのアルム系半遊牧的部族をルーツとするとのこと。そして長く続いた帝国は紀元前609年にバビロニア・メディア連合軍により滅亡する。栄枯盛衰を経ておおよそ3000年も続いたとは驚きです。

 現在もコロナ過を経て発掘、研究は続けられているそうですが、以前にISIL(イスラム国家)により偶像などが破壊されてしまっているそうですが、その行為を回避できたとはいえ、歴史資産が大英博物館に多く移動、所蔵されているという現状もまた考えさせられるものがあると思います。


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