『カーストとは何か インド「不可触民」の実像』(鈴木真弥著、中央公論新社)
読了日: 2024/4/24
カースト制度のバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラは習った記憶がありますが、本書主題の不可触民(ダリト、あるいはoutcasteなど)は知りませんでした。習ったが忘れたのだろうか?
最下層位を設定するような賎民思想は日本にもあり、同様な区分と思います。マハトマ・ガンディー(本書ではガーンディ表記)はヒンドゥー教の体制を保持したまま、つまりカースト制度を保持したままダリトへの保障を実現しようとし、アベンドーダリト自身に権利をあたえ、権利獲得させようとした論争の歴史もあったようです。保障、権利云々となると社会的、政治的色合いが強くなり、広く人口も多いインド、あわせて宗教、民族も多様であり、行政単位での施行ではなかなか非差別への解消の進捗が見られないようで、現代でも習慣的、制度的に区分が存在しているようです。
平等の旗は軽く掲げられると思いますが、実態を変えてゆくには継続的な多くの力と勇気が必要にも感じました。そのための著者の実情調査、および執筆は意義ある仕事に感じました。