【読書】世界最高の話し方(岡本純子)
「話し方を変えたら、人生が変わった」
もしこんなことが言えるようなことがあったら、ちょっとよくないですか?
今回は、「エグゼクティブの話し方(スピーキング)コーチ」として、これまで100人以上の社長、企業幹部をの話し方を変えるお手伝いをしてきた岡本純子さんの書かれた「世界最高の話し方」をご紹介します。
こんなことはないでしょうか。
同じ話をしているはずなのに、Aさんの話は聞きたいけれども、Bさんの話は聞きたくない。
内容は一緒なのにどうして差が出るのか。
もしかしたら、話し方に原因があるのかもしれません。
相手の心に響かせる話し方ができれば、相手を感動させ、相手に感謝されるかもしれません。
知識の分野では人間はITに勝てないかもしれませんが、いつだって人間を感動させられるのは人間のはずです。
そんな相手の心を動かす話し方についてのぞいてみましょう。
「何を話すか」よりも「どんな気持ちにさせるか」
海外のエグゼクティブは、会話の「入り方」が巧妙であり、雑談を重視するようです。
それは彼らが、コミュニケーションにおいて、「何を言うか」よりも「相手をどんな気持ちにさせるか」のほうがよほど重要であることを知っているから。
誰かと会って、「会話の内容」は記憶にないけれど、「いやな人だった」「いい人だった」など「印象や気持ち」だけは覚えている。そんなことはありませんか。
雑談は、この「印象・気持ち」を形づくる「つかみ」の機会。
「雑談がうまくなりたい」と思ったら、知るべき「真実」があります。
それは、人は「自分が聞きたい情報だけ」を受け入れる生き物ということ。
雑談や会話をうまく進めたいと思うなら、「自分」が「投げやすい球」ではなく、「相手」が「受け取りやすい球」を投げなければならないです。
「言葉のキャッチボール」とはよく言いますが、相手に受け取ってもらうためには、「プレゼント交換」のつもりで両手で丁寧に言葉を渡してあげる意識が大切ではないでしょうか。
二流ほど「口」を動かし、一流は「目と耳」を動かす
ハーバード大学の神経学者の研究によると、「自分のことを話すとき、人はお金や食べ物、セックスと同じような快感を覚える」という結果が出ています。
つまり、相手に「マイク」を渡し、話をさせて、聞いてあげれば、相手を快楽ホルモンで包み込んであげられるということ。
雑談・会話では、「話す」のではなく、「質問する」「聞く」、つまり、口を開くより、耳を傾けることを優先させましょう。
口は1つなのに対して耳が2つあるのは、2倍話を聞きましょうということですね。
相手に気持ちよく話してもらえるための「質問力」
「相手に気持ちようく話してもらう」カギが、問いを立てる力、すなわち「質問力」です。
ハーバードビジネススクールの研究によると、「より多くの質問をした人のほうが相手をよく知ることができ、好意的に受け止められ、2回目のデートの確率が高くなった」という結果が出ています。
それでは、どうすれば「いい質問」ができるのか。
本書では「ど」の質問力を極めることが大事だと書かれていました。
「『どう』を知れば、動じない」「大切なのは『ど』力」なんだそうです。
内容が気になる方は、本書を手に取ってみてくださいね。
「ほめ力」を鍛えてほめ名人になる
大人になってから、ほめられる機会が増えた人はいるでしょうか。
僕は今まで、この質問に「はい」と答えた人に会ったことがありません。
ある調査では、8割の会社員が「ほめられたい」と思っているのに、実際にほめられている人の割合は、たったの4割だったそうです。
日本企業に蔓延する「ほめない」病。
でも、ちょっとした言葉で、相手をいい気分にし、大いにエンパワー(力づけ)できるのですから、「ほめ力」をもっと活用し、「ほめ名人」になりたいものです。
どうすればほめ名人になれるのか?
「ミカンほかんの法則」から始まる具体的なほめ方、そしてエリートが実践している叱り方が書かれていましたので、こちらも気になる方は読んでみてくださいね。
大切なのは、いかに人々の心に寄り添うか
いま、リーダーシップ時代に求められているのが「共感力」です。
求められるリーダー像が、上から一方的に支配・指示する「教官型」から、従業員と同じ目線に立ち、その力を引き出す「共感型」へと変わってきています。
リーダーには、「人としての好感度、温かみ(Likability)」と「有能さ(Competence)」の2つの資質が必要です。
また、共感される話し方をするためには、「相手の感情に寄り添いながら話す」ことが大切になります。
Show, don't tell.(言うのではなく、見せろ)
次の2つのうち、どちらが頭の中に鮮明なイメージが浮かびますか。
1 彼女は私のいちばんの親友でした。
2 中学校1年生の時に、最初に隣の席に座ったのが彼女でした。おかっぱ頭で、クリッとした目。何かいたずらをして見つかったときのように笑う姿が印象的でした。
相手に「絵を見せる」ように話すことで印象に残りやすくなります。
相手の心を動かしたいなら、「見せる」「感じさせる」言葉にこだわりましょう。
「これは聞かなきゃ」スイッチをオンにする「魔法の言葉」
話し方の中でも、簡単に実践できて説得力がパワーアップするコツがあります。
アメリカのメディアトレーニングの技法に「Flagging(旗で信号を出す)」というのがあります。
重要なキーワードメッセージのところで、
「ここは私の言いたいポイントです。絶対聞いてくださいね」
と目立つように旗を掲げるという意味です。
強調したいメッセージを言う直前に、相手の脳の記憶スイッチをONにしてもらう「魔法の言葉」を仕込んでおくと、相手の「聞く耳スイッチ」が入ります。
そしてもうひとつ、「魔法の言葉」以上に大切なことがあります。
それは………本書を読んでのお楽しみにしましょう。
この「魔法の言葉」ともうひとつのことを実践するだけで、話の伝わり方が劇的に変わりました。
まるでスポンジに水が染み込むかの如くです。
相手の心に響かせる話し方を身に付けたい人は必読です。
これからの難しい時代を生き抜くカギ
誰もが、多かれ少なかれ、人間関係に何らかの悩みを抱えていると思います。
世の中は「ひとりでいいじゃん」「ひとりで耐えなさい」と、「孤独耐性」を高めることをすすめる方向に向かっているかもしれません。
しかし、人は「支え合って生きていくもの」。
そのために必要なのが、いつでも、どこでも、誰とでも「つながる力」だと、岡本さんは書いています。
ハーバード大学などの学術的研究から分かったのは、
「人の幸福感は、お金や、仕事の成功といったものではなく、他者との関係性によって決まる」ということでした。
「話す力」はその関係性をつなぐ「糸」です。
この本に書かれた「魔法のノウハウ」を身につけ、人とのつながりをもっと大切にしたいと思いました。
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