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#72 「書くこと」の今と昔 巻物に挑戦

とある巻物を書こうと挑戦を始めました。
昔の人(文字を紙に書く手段しかなかった時代の人)は、
大変だっただろうと身に染みた話を書きます。

お坊さんは書道をする人が多いですが、
この時代に巻物を書く人は珍しいかもしれません。
多分、紙の全長10m以上。

巻物の仕上がりイメージ


巻物を書くとなると、準備が大変です。
以下、書くまでの準備です。

①紙屋さんで和紙を選ぶ
・紙の分厚さ
・紙質
・機械?手すきか?

小さい事ですが、一つ一つ悩んで決断します。
分厚すぎても薄すぎてもダメ。
手すきの和紙となると、機械よりもお値段数十倍。
メリットとデメリットの比較など。

②表具屋さんで紙を切ってもらう
購入した紙は90cm×180cmぐらい。
多くの場合は紙屋さんで切ってもらえるのですが、
「うちでは大きすぎて切れません」と言われ、表具屋さんへ。

2mの定規で紙を切る職人さん

この時代に定規とカッターで紙を切る職人さんが居るんだと
何だか感動してしまいました。
簡単な作業のようで、
少しでもずれると巻物がガタガタになってしまいます。
器用な職人さん。
mm(ミリメートル)という小さい単位が苦手な私には
神業に見えました。

③筆を選ぶ
筆屋さんで
イタチの毛は固めとか、
これは、かな文字用とか漢字用とか。

お店ごとでのコミュニケーションも必要。
「私、巻物書きたいんです。
こんな長さです。
出来上がりはこんなイメージです。」
などと伝えることから始まります。

紙と筆を用意するというだけで
これだけの手間とコミュニケーション。

翻って、今このnoteを書いていますが、
書こうと決めてから書き始めるまで数秒です。
noteを立ち上げるだけ。
誰かとのコミュニケーションも必要ないし、
noteアプリをタップするだけで書き始めることができます。

もちろん、現代の方が圧倒的に便利です。
とはいえ、書くまでの準備が大変だった時代の不便さにふれて、
逆に豊かさを感じました。
便利で速いことを追い求める時代に生きていますが、
手間ひまかけて心を込めて書くことの不便さを味わうことができました。

これから墨を摺って、ようやく書き始めることができます。
完成までは1年ほどかかりそうです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
素敵な1日をお過ごしください。



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