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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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#2000字のドラマ

ブルーハワイ

ブルーハワイ

 腰掛けた道路脇の段差は苔生していて、ところどころぬめっとしている。薄い布を隔ててお尻がひんやりと冷たい。下駄からすっと右足を出して、指を精一杯開いてみる。お母さん指とお父さん指の間がひりひり痛む。ちょっぴり砂っぽくて、汗ばんで、鼻緒の当たる足の甲はところどころ擦り切れている。

 お祭りの夜は、なんだかいつもより暗い気がする。提灯や屋台の橙色の灯りが、星や月の光を隠してしまう。闇の輪郭がはっきり

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わさび

「またぁ? 何人めよ、もう」

 いい加減うざい、という顔で、晴菜がこちらを見た。ちらりと横目で確認しつつ、今日二つ目の玉子をレーンから取る。

「でも、合わなかったんだもん」

 醤油にわさびをたっぷりと溶かして(さっきも溶かしていたのに辛くないのだろうか)、玉子に巻かれた海苔を丁寧に箸で剥がす。まず海苔を醤油に浸す。それから玉子の内側も。またやってるよ、とじろじろ見ながら、あたしは言う。

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