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金とき
2021年6月25日 19:36
窓の外で、銀杏の葉が舞った。まだ青く柔らかい葉は、はらりはらりと飛んで、地面にそっと落ちた。 そんなことは露知らず、手を繋いだカップルがその上を歩いていく。よく見ると、見たことのある顔ぶれだった。あのふたり付き合っていたのか、なんて、ぼんやりと思う。 放課後。教室の中は優しい黄色に染まる。 木の匂い。暖かな、午後の匂い。「誰かこの問題わかるまで解説してくれたら揚げ餅一本」 女
2021年6月10日 18:35
ベッドの上で、しゃかしゃかと音がする。俺のそば殻枕を鳴らすのが仁奈の最近のブームのようだ。眠るとき、いつも甘い匂いがする。 ゲームをしていた手を止めて、振り返る。仁奈も小説に飽きていたようで、腕を伸ばしてくる。頭に手を置かれて、髪の毛をくしゃっとされるまでが一連の流れだ。「そろそろ帰ろっかな」「おう」 仁奈はいつも暗くなる前にさっさと帰っていく。寂しくもあるが、安全なので助かる。