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香りの手帖 精油が語りかけてくるもの

どうもここ最近は何やらバタバタとしていて、一丁前に疲れたと言い、やるべきこともあまり手を付けられずにいる日々を送っています。
そんな忙しない毎日でも(そんな毎日だから?)、仕事へ行く前など朝に必ず何かしら精油を手に取り、その香りを楽しんでいます。

時間のある時は、精油を並べた棚からその日の気分にあうような精油を一つ選び、何種類もの芳香成分が織りなす複雑な香りをゆっくりと楽しみます。

しかし時間がない時といえば・・・。棚から無作為に精油を手に取り、優雅な時間を楽しむでもなく、ただ勢いよくその香りを嗅いでいる始末。
もちろん普段から好きな香り・その日の気分に合っている様な香りの精油を手に取ることができる日もあれば、顔を歪めてしまう様なとてもニガテな香りの精油を選んでしまう日もあります。
この時の気分が上下する様は、年始のおみくじに一喜一憂する様にとても似ていて、案外簡単に香りだけで気分をコントールできるものだなぁと楽しくなってくるのです。

冒頭で記しました通り少しバタバタとしている為、ここ最近は無作為に精油を手に取り、香りのあみだくじをひく感覚で色々な香りを嗅いでは変化していく自身の感情を俯瞰的に捉えて楽しんでいます。

そんな中で先日ふと手にしたのがエレミという精油でした。

エレミ精油のプロフィール

エレミ / Elemi
【学名】
 Canarium luzonicum
【科名】
 カンラン科
【抽出部位】
 樹脂
【抽出方法】
 水蒸気蒸留法
【主な産地】
 フィリピン

エレミという植物は、樹高約30mにまで成長する大きな木。
原産国はフィリピンとされているが、熱帯地域・亜熱帯地域に生息している。
香りの特徴はレモンなどのキリッとした爽やかな柑橘系の香りと、鼻の奥を優しくくすぐる様なスパイシーな香りが混じった、そんな香り。

この精油の香りを構成する芳香成分の多くは、モノテルペン炭化水素のリモネンやピネン、サビネンなど。そして、セスキテルペンアルコールのエレモール。
柑橘系の精油にも多く見受けられるリモネンがやはりスッキリとした印象を与えてくれ、ピネンといった針葉樹のようなツンとしたウッディの香りまでさりげなく含まれていて、クセが少なく比較的好き嫌いが分かれにくい香り。

全ての人に馴染みのある精油ではないかもしれないですが、民間療法で万能薬的に使用されていたこともあり、特に熱帯地域・亜熱帯地域の人々にとっては非常に馴染みのある植物・精油。

エレミの香りは好き・・・?

実は私、特別エレミ精油の香りが好きというわけではありません。
スパイシーなレモン調の香りという万人ウケしやすそうな香りの精油なのですが、時折インクをベッタリと塗ったプラスチックからする無機質な香りが奥に見え隠れすると感じられるのです。(とても個人的な見解ですが。)

しかし無作為に手に取ってエレミの香りを嗅いだその日、とても心地よく感じられたのでした。

奥に見え隠れする無機質な香りは一切感じられず、スゥーっと感情が浄化されていく様な感覚。
破れるか破れないかとても微妙な薄さの、透明なシャボン玉に包まれて空高くまでゆっくりとのぼる自分。そして上空でゆっくりと深呼吸しながらあたりを見渡し、フッとひと息つきとても落ち着いる様な自分がいました。

エレミの語りかけてくるもの

エレミは、古代トルコや古代アラビアにおいて神聖な儀式の薫香として用いられていたと言われておりその歴史は古くからあります。
そんなエレミ、アラビア語で「上と下」と訳されるそう。
上にも下にもあるという意味がり、人間の心や精神、魂と肉体が繋がっていることを示しているという。
そして「上にも下にも」といった言葉からも窺える、ひと続きになった何か物事の中心にある芯の様なもの。

そういえばここ最近、自分がやっていく事の中核的なものを改めて考えると、それが何なのか分からなくなっていました。
自分の中心にある一貫した信念の様なもの。
まぁ特に悩んでいたというわけでもないのですが、何かハッキリしない自分の心の内側を見つめようとすればするほど、うまく見えてこない事に対してモヤモヤ。

そんな心情だったからこそ、エレミの香りが先日の私に響いたのかと思います。

自分を見失った時などに、透き通ったニュートラルな感情にさせてくれて、自身の核となるものを見つけるヒントを優しく教えてくれるエレミの香り。

その時は「まず冷静になってみなよ〜そしたらちょっとくらいはやりたい事見えてくるんじゃないの」と語りかけてくる様でした。

精油の香りで感情の状態を窺い知る

ものすごくスピリチュアルめいたことを言っていますが、実際こういった気持ちにさせてくれるところが天然精油のいいところでもあります。
その植物の持つ歴史、ストーリー、特徴などから連想される精油のメッセージ。
天然精油の香りを嗅ぐことで、その時の自身の感情の状態を知ることができるわけです。

香りは感情のバロメーター。

香りも、感情も、どちらも目に見えないものだから、これらを互いに作用させて、うまく生きていくんですね。





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