デジマケで成果上げたい方向け『仮説にもとづく独自施策-考え方・立て方・検証の仕方-』
こんにちは、Media Theaterの柳瀬(@theater_media)です。
Webサイト・LPのCVR改善など、デジタルマーケティングの支援をしております。
年間100人以上は「ユーザ行動観察調査」を実施しており、特に顧客のインサイトを把握したCVR改善が得意です。
また、元々リクルートの営業から未経験でWebコンサルへ転身し、最速1年でコンサルティングマネージャーになりました。
(BtoC、BtoB問わず、大手企業からベンチャー企業までデジタルマーケティングを活用した事業成長支援を、通常の倍速以上で濃縮に経験させていただいております。)
そこから、マーケティング未経験でも体型的にデジタルマーケティングの知識を得て、スキルアップしてもらうための活動にも注力しております。
社外での研修講師や、日経ビジネススクールで講座を展開しております。
仮説にもとづく独自施策とは
デジタルマーケティングで早期に効果を出すためには「デジタルマーケティンの定石・鉄板施策」を徹底することが重要です。
WEB広告やWEBサイト改善・ランディングページ改善、リピート施策などのおいて、確実に成果の上がる鉄板施策はあるので、そちらを実施すれば一定のクイックに成果を上げることができます。
ただし、鉄板施策だけでは、いずれ限界がくる上、競合に差をつけることが難しくなります。 そのため、鉄板施策を反映した後、さらに成果を伸ばすためには、「顧客理解を深めて独自施策」を行うことが有効です。
独自施策を行うにあたって、注意すべきポイント
独自施策検討は重要ですが、独自施策をいきなり予算と工数をかけて実施すのは危険です。
そこで、独自施策を行うにあたって、注意すべきポイントがありますので、先にご紹介します。
テスト検証が不十分であること
特にテスト検証なしに一回でフルリニューアルを行うこと
例えば、某ECサイトでは一回でフルリニューアルを行い、大規模投資をしたにもかかわらず売上ダウンしてしまいました。
当初構築した仮説に対しても十分な検証ができず、何が問題かも不明瞭なまま、結果的にリニューアル前のサイトに戻すことになったケースがあります。
こうした独自施策の失敗を防ぐためには、テスト検証を行うことを推奨します。
一部の流入でテストしたり、ABテストをするなど、成功要因を明らかにしてから展開をしてくことが重要です。
では、独自施策の「考え方」「仮説の立て方」「検証の仕方」をご紹介していきます。
独自施策の「考え方」
最初に、仮説にもとづく独自施策で成果を上げていくための「考え方」についてご説明します。
「ゴール定義→仮説と実行→データ検証」のPDCAをスピード感もって繰り返していくことが重要です。
つまり独自施策とは、ゴールに向けて仮説と検証で成果を出す「実験」業務となります。
実際のところ、デジタルマーケティングの現場では、ゴール定義や仮説立ての前に施策の中身から入ってしまうケースが多く見られます。
例えば、なんとなくトップページのデザインを変えたい・・・などです。
狙うべき的を定めずに矢を放っても絶対に当たらないため、必ずゴールから定義する必要があります。
ゴールを設定し、それを達成するための仮説立てと実行を行い、データ検証で振り返る、という流れを忘れないようにしましょう。
事例:独自施策によるPDCA改善
健康食品「ひざ関節・軟骨サプリメント」をECで販売する場合、下記どちらのランディングページの効果が高いと思いますか?
正解はポジティブ訴求です。
事実、ネガティブ訴求からポジティブ訴求に転換したことで、CVR150%改善しました。
さらに、WEB広告などにも横展開することで、顧客獲得数の増加にも貢献しました。
ではなぜ、ポジティブ訴求が効果的だったのでしょうか。
「ゴール定義→仮説と実行→データ検証」のステップで解説していきます。
まずは、ゴール定義です。
認知・集客・獲得・リピートといったマーケティングファネル別に現状を把握したところ、ランディングページに伸び代があることがわかりました。
そこで、ランディングページ改善により、CVR向上(目標120%改善)をゴールと定義しました。
そして、仮説を構築するために、顧客データと販売実績データのクロス分析をします。
TV通販とEC顧客で分けて顧客データを分析したところ、TV通販を含めた全体の年齢ボリュームが「70~80代」 、ECの年齢ボリュームが「50~60代」とGAPを発見しました。
EC顧客向けのランディングページや広告クリエイティブも、TV通販の同じ年配層向けだったので、ランディングページの訴求内容が最適ではない可能性がありました。
例えば、ランディングページのクリエイティブを見るわかるとおり、
・写真のモデルが70代だと違和感があるのではないか?
・階段でこんなに痛いのは、さすがに違和感なのでは?
といった仮説が立ちます。
さらに、ターゲットである50〜60代だと、痛みを治したいというよりアクティブでいるために不安を解消したいニーズがあるのではないか、といった健康食品にもとめるニーズや気にするポイントも大きく変わる可能性があると気づきました。
そこで、ひざ軟骨のサプリメントを利用する50~60代のユーザーについて、ユーザー調査によって把握しにいきます。
通常の状況ヒアリングからの調査だけでなく、ユーザー仮説に合わせて複数パターンのクリエイティブを用意し、どんな訴求が刺さるかを調査するプロトタイプ検証も実施することで、仮説に対する検証も行いました。
ポジティブとネガティブ、機能と情緒の軸で四象限を作りテストを実施し、結果ポジティブで情緒的な訴求が効果的だと判明しました。
顧客の反応として、「痛みを治す」というネガティブな機能訴求ではなく、「いつまでも元気に歩き続ける」というポジティブな情緒的な内容の反応が良好でした。
そして、実際に広告用のランディングページにて実際のABテストを実施し、成果としてCVRが確実に上がること証明してから、公式サイト、WEB広告(バナー広告)、アナログ広告にも横展開していき、顧客獲得数の増加に貢献しました。
独自施策の「仮説の立て方」
続いては、仮説にもとづく独自施策で成果を上げていくための「仮説の立て方」についてご説明します。
精度の高い仮説をつくるにはどうすればいいでしょうか?
仮説を作る際に一番重要なのは、実際のターゲットに会うことです。
企画書などを拝見すると、よく架空のユーザーをベースに作られた施策をよく見かけます。
立てないよりは良いのですが、リアリティがないため企業の都合にあわせてゆがめられたユーザーイメージとなってしまいます。
たとえば、ハイボールを飲ませたいという企業の思いから、「ハイボールを飲めるお店」という特集に興味を持ちそうなユーザーを創りあげてしまう、といった具合です。
このように社内の議論で妄想したユーザー像を元に立てた仮説は、企業論理に偏りがちです。
何より、実際のユーザに会うのは簡単です。
実地に行っても、BtoCなら身近な友人でも、BtoBなら営業マンに顧客を紹介してもらうのでも構いません。
これらから得た情報は事実ベースで企業の論理が入る余地がないため、確からしい仮説を立てることに繋がります。
なるべくしっかりと足を使って、実地調査やユーザー行動観察を行いましょう。
調査手法「ユーザー行動観察調査」のご紹介
それでは、より精度の高い仮説を立てるために推奨する「ユーザー行動観察調査」についてご紹介します。
ユーザー行動観察調査とは、「ユーザー視点を起点とした課題点・改善方針の把握」を目的に、実際のターゲット顧客をモニターとしてリクルーティングし、WEB上でのユーザーの利用行動を観察する手法です。
普段直接見ることができない顧客の「本当の行動」を徹底的に観察し、改善の打ち手を確実なものにする有効な調査手法です。
ターゲットユーザー像、そのニーズや行動パターン
有効なコンテンツや機能、ワーディング
を把握することができる上に、
実際にオンライン上で検討する層がどこでつまづいたのか?
それはなぜなのか?
これらを発見することができます。
それによって、デジタルマーケティング上の課題を洗い出すことができるのです。
数名の調査で課題がわかるものなのか?と疑問に思われるかもしれません・・・
1人60分程にわたって徹底した行動観察調査を実施しますが、実際5人の調査で約80%の課題抽出が可能と言われております。
そのくらい有益なインプットが得られる調査です。
友達や家族に触って見てもらって、その様子を見るだけでも、非常に多くの示唆が得られるでしょう。
仮説精緻化のアウトプット手法
また、精度の高い仮説をアウトプットする手法として、下記のフレームワークをご紹介します。
デジタル3C分析
デジタル上での競合と自社のファネル別の施策を比較することで、現状足りていない部分やより強化した方がいいところが明確になり、今後どのファネルの顧客層にアプローチを強化すべきか?といった仮説を構築することができます。
デジタル3C分析の詳しい説明は、こちらの記事で確認してください。⇒〇〇
ファネル別のボトルネック分析
ファネルとは、顧客が商品・サービスの成約・購買に至る行動過程を段階的に分けたもので、その過程をわかりやすくする効果があります。
特に、ボトルネックを正しく捉え、そこに効く前後の施策は何かを考えることで、より精緻な仮説を導くことに繋がります。
Who/What/How検討
顧客象別に「Who」「What」「How」を洗い出し、ポテンシャルのあるターゲット顧客を検討します。
さらに、ターゲットはどんな顧客で、どんな商品・サービス・価値を提供すると良くて、それをどこでどのように伝えるとよいのか?といった具体的な施策方針までを策定することができます。
ペルソナとカスタマージャーニーマップ
顧客像の明確化をペルソナで行い、カスタマージャーニーマップで顧客接点とその時の心理状態を整理します。
その上で、最適なタイミングでの最適な体験・メッセージングを見直すことができます。
いずれも共通するのは、顧客起点で考えるということです。
データや経験から顧客象を言語化・明確化し、アウトプットしていきましょう。
ペルソナとカスタマージャーニーマップの詳しい説明は、こちらの記事で確認してください。
独自施策の「検証の仕方」
最後に、仮説にもとづく独自施策で成果を上げていくための「検証の仕方」についてご説明します。
検証の仕方ポイント①施策の結果に絞ってデータを見る
施策のデータとは、日々実行した施策がビジネス貢献したかどうかを検証するデータです。
例えば、広告を出す、ページを作る、コンテンツを追加するなど、日々の活動がどれだけビジネス貢献につながったのかだけを見ます。
この時、細かい導線を見る必要はありません。
もちろん見るに越したことはありませんが、忙しい中で時間をかけるほどの見返りはありません。
日々大量データを闇雲に分析する必要はなく、事前に立てた仮説にもとづいて実行した施策の結果に絞ってデータを見ます。
これだけなら、データ分析のスキルがなくても、時間がなくても、比較的簡単に見ることができ、改善に活かすことができます。
ここでポイントになるのが、施策別に見るということです。
ビジネス貢献だけ見るという話をすると、全数は見ていますと反論されることがよくあります。
しかし全数で見ていても、どの施策が効いたかはわからないため、改善にはつながりません。
必ず、施策別のビジネス貢献を見るようにします。
施策の実施時期に全体的にCVが増えていたとしても、その施策が原因で増えていたかどうかはしっかりと見る必要があります。
季節要因や、他の施策の影響で伸びていただけで、当該施策はむしろマイナスに働いていたということももちろんありえます。
また、施策を行う際は、効果を計測することも見越して準備を進めていきましょう。
具体的にデジタルマーケティングでは、計測用のパラーメータと呼ばれる値を設定したり、計測ツールを入れるなどのやり方があります。
検証の仕方ポイント②PDCAを回して成功サイクルを生み出す
こちらは、飲料メーカーの事例です。
成功した施策の結果から仮説を立てて、更にPDCAを回していくことで成功サイクルを生み出すことの重要性がわかります。
この飲料メーカーでは、「WEBでいかに〇〇の飲用体験者を増やすか」ということを目的に、キャンペーンを打つことになりました。
居酒屋で使える〇〇の無料クーポンを配って体験者を増やすというKPIを立て、グルメサイト内に「〇〇が飲めるお店」という特集を作り、そこに広告などから集客するというシナリオを描き、キャンペーンをスタートしました。
しかし結果は、純広や、主力ワードだと考えていた「ブランド指名」検索からは全くDLに辿り着かないのです。
唯一良かったのが、「渋谷 居酒屋」のようなキーワードでした。
そこで、良い施策と悪い施策で明らかになったことから仮説を立て、改善を行うという一環したサイクルを続けました。
このように悪い結果が出たとしても、その要因を探り地道にPDCA業務を行うことで、成功へと繋げることができます。
そして、このPDCAから生まれた仮説のひとつ、「クーポンを使ってくれるのは広告を見ている人ではなくて、居酒屋を探している人ではないか?」という仮説が、成功には不可欠でした。
データ検証というとついついデータに目が行きがちですが、データで見るだけでは足りず、上記のような「事前仮説」を考えることも重要になります。
以上が、独自施策の「考え方」「仮説の立て方」「検証の仕方」です。
独自施策は、鉄板施策に比べるとどうしても成功確率は低くなりますが、デジタルマーケティングの醍醐味の一つでもあります。
ぜひステップに沿って着実に実行まで行っていただき、成果を出す楽しさを体感していただければと思います。
最後に。日経ビジネススクールの講座紹介
日経ビジネススクールのオンデマンド動画講座では、「デジタルマーケティング戦略立案」について、より詳細を解説しております。
デジタルマーケティング戦略立案において、概念的な基礎知識だけなく、実践的で再現性の高い「戦略立案方法」を解説しております。
ご興味があれば是非試聴してみてください!
講座の想い
「未経験でもデジタルマーケティングを活用してもらいたい!」
私自身は、営業出身で新規開拓営業からソリューション営業まで多くの企業様への営業経験をさせてもらい、そこで強烈に感じたのは、ほぼ100%に近いクライアントがデジタルマーケティングに課題を感じており、「事業を生かすも殺すも、デジタルマーケティングをものにできるか否か」といった現実でした。
そこから、デジタルマーケティングの必要性を強く感じ、未経験でデジタルマーケティングのコンサルティング業に思い切って転身。
そして、BtoC、BtoB問わず、大手企業からベンチャー企業までデジタルマーケティングを活用した事業成長支援を、通常の倍速以上で濃縮に経験させていただいております。
もちろん、クライアントへバリューを提供するために、ご飯を食べるように書籍や動画など、デジマケ関連の情報は読み漁りました。
そこで感じたのは、WEB広告、SEO、SNS、LP改善などなどなど施策単位のナレッジ・方法論は人生賭けても読みきれない程解説されていますが、「何をすべきか?」の戦略的な問いに対して理解することが難しいと感じました。
というのも、デジタルマーケティングは、「施策メニューが多い!分析データ量も多い!」と「忙殺の沼」にハマるといった落とし穴が多いからです。
今回の日経ビジネスクールの講座は、デジタルマーケティングは何から始めるべきか?といった問いに対して、「顧客文脈」と「競争環境」から紐解いていけるように解説した講座になります。
デジタルマーケティング特有の横文字が多いのはご容赦いただきたいのですが、デジタルマーケティングに関わる方には、お役に立てる講座です!
僕自身がそうであったように、未経験でも体系的に理解できるように、出来る限り解説しております。
是非、ご興味あればご試聴ください。拡散も嬉しいです。