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「花の都」と「自由」

土曜と書いて「じゆう」と読む。

朝シャン上がりのベランダで
スーパードライをぐびっ!

パジャマに寝ぼけまなこで
「ほろよい」をプシっ!

昼前から優雅にフルーツを皿に盛り、
シャンパーニュをくいっ!

マックナゲット15個入りを気張り、
ラムコークをゴクっ!

朝からホタルイカを炙って
つめたい日本酒をスイッ!


だって今日は土曜日!
(そして明日は日曜日。)

ダメだなんて法律はどこにもないのです。
己の責任のもとにおこなう限り、


『あなたの土曜(じゆう)!』


って。朝からなにを宣っているのでしょうか、僕は。(あ、飲んでませんよ。)しかしせっかくなので今日はお酒と自由にまつわる小話をひとつ。

ある夏。パリに飛んだ時のこと、航空便のトラブルで僕だけ一日早く着いてしまったのです。右も左も分からない全く困った状況の僕は、現地の友人を頼るために街へと繰り出しました。

初めての「花の都」は暑かった。

日本より鋭いタイプのビームを放つ太陽の下、濡れそぼるナメクジのように、マレ地区市街をさまよう。そんな僕の目に信じられないものが映り込みます。

賑わうカフェのテラス席の一角。フランスおじいちゃんが、ダウンジャケット着てマフラーを首に巻き付けて『ロゼに氷を浮かべて』飲んでいました。

夏にダウン?ワインに氷?
暑いのか、それとも、寒いのか。
どういうことだ?
と、僕は混乱しました。

しかし今思えば。
彼は『そうしたかっただけ』なのではないかと思うのです。

ダウンジャケットで蒸れ蒸れの状態で、ひんやりとしたロゼを口にしたかったのだと。(夏場にクーラーがんがん効かせて、毛布を引っ被ってアイスを食べるようなもの。)

それに、ワインに氷を入れちゃいけないなんて「決まり」だって、どこにもありません。もちろん、日本酒だって然り。

『あなたが美味しく飲み干した。』
それがお酒にとって、ひいては作り手の一番の喜びなんじゃないかと僕は思うのです。

だから、遠慮することはありません。
しゃっちょこばることはありません。

自由に楽しみましょう。



それでは、また明日。

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