春雨カリーと白いかえる
夜明けのぬか雨の中、日課のジョギングに出ると道端で白っぽいかえるが嬉しそうに跳ねていた。「やった!雨だ!雨だー!ヒャッホウ!」と言わんばかりの浮かれ具合。昨夜から雨の雫をショットで飲みまくり、ひとりモッシュアンドダイブ。アフターパーティでもアガり続け、ついに夜明けまで踊り明かしてしまった、みたいな朝かえるである。
雨にうんざりしていた私としてはアゲアゲなかえるが心憎い。ふん捕まえて泡盛に浸けてかえる酒にしようかなどと真剣に思ったのだがあんまり美味しそうではないので辞めた。(ビンの口からも入らない。)
それに、白いかえるは吉兆らしいのだ。日本では古来より「お金がカエル、福がカエル、無事にカエル」などの語呂合わせから縁起の良い生き物として愛好されており、オーストラリアでも雨の日に蛙を見ると良いことある、と信じられている。
(特に真っ白で目が赤いやつ(アルビノ)は大変珍重らしいが、灰色も入っていたので、奴はおそらくアマガエルの習性として散見される擬態の一種だと推測される。)
そんなことで、なんぞ福の来たらんや!とウハウハ期待しながら過ごしたのだが今日もすごく普通の一日であった。
「代え難い普通に感謝し、平穏の幸せを噛み締めるべし。」
という、かえるの神様の思し召しであろうか。
さて、写真のお酒は宮里酒造所の泡盛「春雨」。
「春」には希望を、「雨」には恵みを託して名づけられた滋味溢れる銘酒。その唯一無二の香味で私の心をつかんで離さない一本。
春の雨降りしきるなか、ひとり孤独に踊り明かした白いかえるを思い、今宵は杯を傾けることにする。