四股を踏む人(76.8)
ジョギングコースの半ばに海に開けた広場がある。
そこで四股を踏みはじめて1カ月が経過した。
朝日に照らされる波を見ながら四股を踏み、颯爽と駆ける陸上部員たちを横目に四股を踏み、ベビーカーに乗った震えるチワワの視線を感じながら四股を踏み、フラダンスのレッスンに勤しむマダムたちの横で四股を踏んだ。
はじめのころは視線が痛いと感じることもあった。自分たちの生活圏に突然四股を踏んでいるやつが現れたのだ。警戒するなというほうがどうかしていると思う。けれど、この頃ようやく人々も犬も、わたしの存在を認知しはじめてくれたようだ。
きっと彼らはこのように話しているだろう。
「ああ、またやってるね、あの四股の人」
わたしはついに「四股の人」になったのだった。
今朝の体重は76.8kg。昨日から1.4kgダウン。こういった一喜一憂もダイエットの醍醐味かもしれない。