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古本屋店主とタオルオジのミッション開始2

店主は出張買取の訪問が決まったものの、住所を聞いていなかった。相変わらずポンコツだ。慌ててSNSで紹介してくれたお客さんにDMするが住所は送られてこない。代わりに画像がきた。なんと地図だ。

送られてきた地図

店主は思わず笑ってしまった。その地図は、ルートまで細かく書かれていて、さすがイラストレーター。芸が細かくこれは助かる、初めての経験だ。ますます訪問が楽しみになった。

翌日、ブーン!とお店を開ける前に自転車で出張買取の家に到着。車を借りるにしても、まずは自力で現地へ行かねばならないからだ。ピンポンと鳴らすと、ガチャリとおばさまが出てきた。「あー!どうもどうも…ちょっと見てくれるかしら。」一軒家に入ると、驚くほど片付いているというかがらんどうだ。ここまで処分出来たのは珍しい。そしていよいよ、棚とご対面。「うーん…」店長の眉間にシワがよる。100冊の本を一瞬で判断してしまう自分の脳を恨めしく思う。持っていけそうな本は1、2、3、4、5冊…たったこれだけだ。次はレコードだ。「んんん、これは山口百恵じゃないか!」これはいい!歌謡曲と言えば松田聖子や松本伊代もいるが、山口百恵は別格だ。邦楽が多いねと、心の中で独り言をつぶやいていると、おばさまが声をかける。「こっちにもあるのよ。」

レコードに桃色吐息

店主が引っ張り出すビニールの紙袋は「お、重い。これはまさか…?」そう、SP盤だ。300グラムもあって、レコードの3倍、CDの30倍の重さ。古い軍歌や長唄が入っていて、戦前戦後のものだ。

エグ過ぎるキャッチコピー

お~、本は難しいけれど、レコードならなんとかなるかも…と思いながら、整理を始める。持ってけるもの、持ってけるものと、灰色の脳細胞が動き始め、結果的にまとまったのは3箱。そして悩む。車を借りても返すのに1往復が必要だ。3箱なら自転車で1往復と変わらない…結局、店長は自転車に決めて外に出る。

その瞬間、目に飛び込んできたのは、入る時に気づかなかったネコちゃん!これはまさに新しい出会い!?うふふ…全然起きないなぁ。

スヤスヤニャンコ

このネコとキャッキャしているうちに、我に返った店主は、自転車でとりあえず2箱持って行こうとする。

するとおばさまが、「ねえ、ちょっと見てていいかしら?」と声をかける。店主は「え?」といぶかしげに応じる。「どうやって持っていくのか、信じられなくて」とおばさま。店主は「どうぞ、どうぞ」と言い、スポーツ自転車に乗り込むと、サドル手前のポールにダンボールを器用に積み込みながら、「じゃあこっちの箱、上に乗せてもらっていいですか」と頼む。おばさまが軽い箱を載せてくれ、なんとかバランスを取る。心配するおばさまに店主は「重いでしょう、大丈夫?」と聞かれ、「大丈夫、これくらいなら!」と笑顔で返す。

おばさまの驚いた顔を後ろに感じながら左手で箱を抑え片手運転で自転車を押し、ふらふらと去っていく。帰り道、風を感じながら自転車を漕ぐ。買取査定が終わったらレコードや本をどう展示しようか思案しワクワクしてくる。お店に着き、箱を開けると、レコードのジャケットが顔を出し、ノスタルジーに包まれる。店長は思わず声を出す。「やっぱ、いいなぁ…!」

紹介してくれたオジサマの車ドライブは叶わなかったが、不意に会えた猫ちゃんのことを思い出す。次の出張買取はいつだろうか。どんな出会いがあり、どんな宝物が見つかるのか、胸が高鳴る。店長の心は、次の冒険を待ち望んでいた。

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