都立家政のブックマート

駅から1分走れば4秒の古本屋。2009年創業。中野区、西武新宿線の都立家政駅で皆様の買…

都立家政のブックマート

駅から1分走れば4秒の古本屋。2009年創業。中野区、西武新宿線の都立家政駅で皆様の買取お待ちしてます。 金土日で2、3回更新、100本目指して現状からの脱出を図ります。

最近の記事

悪質業者に騙されるな!-出張買取の闇-

息を切らしながら、一人のおばちゃんが古本屋に飛び込んできた。 「ここ、シルバニアファミリーとか、大丈夫?」 突然だなぁ…と思う機能が店主にはまだかろうじでついていた。一言目でババーッと目的語なしで話すお客は多いのだ。平静を装うため脳をトントンと調整しながら 「はい!箱や状態によりますが買取できますよ!」と快活な返答を絞りだす店主であった。 話を聞くと引っ越しで処分に困ってたらひどい目に遭ったようだ。最近トラブルをよく聞くので何を処分したのか聞いてみると! それはなんと…

    • 古本屋に舞い降りた天使の秘密

      天使オバがやってきた。小柄で足が少し悪いが、たまに古本屋の店頭で雑誌を買っていく常連だ。「この間の仏教の本、すごく良かったわ」と微笑みながら、今日は2冊で220円の雑誌をレジに持ってきた。しかし、いつものように100円玉を4枚、計400円をレジにそっと置いていく。 「いいのよ」と、上品な声で言い残して。 この余分な数百円は、お釣りの端数ではない。彼女はいつも、端数にプラスし多めに支払っていく。その行為を最初は不思議に思った店主も、今ではその意味がわかっている。まるで「天使の涙

      • ポスターの向こう側

        久々に来た常連客が 「店長コレいけるかな?」 おもむろに箱から取り出した白い束。目に飛び込んできたのは山積みのポスターだ。全て封がされてて、何が描かれているのかは分からない。 ぽ す た ー だ イヤな予感しかしない。 買取のため20本全部開けるのかワイが… まぁそれが仕事なんですが。古本屋店主には予感ってあるんですよ。 一本一本手に取って開けると、アイドル、ネギッコの姿が次々と現れる。 店主は現在のアイドルに詳しくない、むしろ苦手かもしれない。 昔、焼き鳥屋で出会った

        • 商店街の静寂と、店主の査定の音

          まだ夏の暑さが残る午後、古本屋の扉が静かに開いた。涼しい風が一瞬店内に流れ込み、男が入ってくる。いや、違う…今は扉がなかった。 お互いに無言のまま軽く会釈するだけだが、それで十分だ。 店主が「いつ頃ですか?」と一言目を発する。彼はコミックやプラモデルが溜まると、出張買取を依頼してくるのだ。8年以上の付き合いで、店主は彼の蔵書を楽しみにしている。年齢が近いこともあるが彼の趣味は少しズレてるので興味深いのである。今まで車やバイク、自転車など様々な手段で彼の家を訪れてきた。 だが、

        悪質業者に騙されるな!-出張買取の闇-

          異国からの妖怪ハンター、古本屋に現る

          その日、古本屋の扉が静かに開いた。入ってきたのは、ハットを被った渋みのある碧眼のオジサマ。彼は一言も発さず、棚の間を行ったり来たりと、くまなく店内を見回していた。店主は「ひやかしだろうか…それにしても…強い意志を感じるな…」と思い声をかけた。 「何かお探しですか?」と尋ねると、彼はにっこりと微笑み、少し訛りのある日本語で「妖怪、ホラー本を探しているんです」と答えた。驚きと興味が入り混じる店主。その風貌からは想像もしなかった「妖怪」というキーワードに小さな衝撃が走った。 さ

          異国からの妖怪ハンター、古本屋に現る

          「このLPは手放さない」—おばあちゃんの物語

          その日、おばあちゃんが腰を曲げながら、重そうな段ボールを抱えて古本屋にやってきた。小さな体で、なんとか運んできた本をカウンターに置くと、少し息を切らしていた。その姿に、店主は自然と胸が痛む思いだった。 「重かったでしょう、ありがとうございます」と声をかけると、おばあちゃんはにこりと笑って、「いえいえ、大丈夫です」と答えた。段ボールの中には、東海林さんの作品が並んでいた。だが、心の中で店主は正直に思った。「東海林さんの本は、今はなかなか売れない。だから買取は難しいかもしれない

          「このLPは手放さない」—おばあちゃんの物語

          サミーヘイガーが甦らせた青春の記憶

          CDアルバムを友達に勧められてハマる体験って、自分の好みを超えて、新たな感覚を教えてくれる瞬間があるよね。自分のセンスとは違うからこそ、そのギャップが刺激的で、同時にエゴとの葛藤も生まれるけど、最終的にはその音楽に飲み込まれてしまう―そんな陥落の瞬間は、青春の象徴とも言えるかもしれない。 私にとってそれがサミー・ヘイガーがバンドに加わったアルバム「5150」。 そしてそんな青春の象徴を思いださせてくれるライブだった。 エディ・ヴァン・ヘイレンの革新性やサウンドの進化が詰まって

          サミーヘイガーが甦らせた青春の記憶

          100日後に閉店する古本屋わあああああ

          15年間、中野区の都立家政で静かに店を構えてきた。隣駅の急行停車駅、鷺ノ宮が800メートル先に見える微妙な距離感。新宿に向かうたびに、都立家政駅で各駅停車に乗っては、高田馬場で急行に抜かれる悔しさを何度も味わった。西武新宿線は新宿駅直結を夢見ながらも、地上げが至らずに手前で開業し、「歌舞伎町駅」と揶揄される路線。 この駅は、中野区といいつつも、北側の新青梅街道を渡れば練馬区、南に歩けば杉並区。中途半端な場所に佇む都立家政。住民でさえ「どこに住んでるの?」と聞かれると、「中野

          ¥100

          100日後に閉店する古本屋わあああああ

          ¥100