中古車選びで失敗しない方法
7月です。2020年も半分終わりました。今年は間違いなく、歴史の教科書に残る1年になるのでしょう。
残りの半年で、経済活動の在り方、政治の在り方、教育の在り方が変われば、更に大きな変換点の年と記録され、元に戻ろうとするのなら、ただ感染症が流行った年になるんだろうと思いながら、手触りある話をしていきたいと思う長山です。
さて今日書いていきたいのは「車の選び方」です。
その中でも、中古車にスポットを当てたいと思います。
中古車選びは、一歩間違うと、安く買ってもすぐに修理代がかかって、結局高くついたり、不当に高い買い物をさせられていたり、大外れ中古車が普通に並んでいるのが中古車です。
そんな大外れを引かない方法を、書いていきたいと思います。
大外れ中古車って、どんな車?
まず大事なのはここです。大外れ中古車とは、どんな車でしょうか?
そして大外れ中古車を引いてしまうと、どのような悲劇が起きるのでしょうか?
実際に私が見聞きした話を書いていきます。
まず一番多いのが、隠れ修復歴車(事故車)です。
次に、買ってすぐにエンジンや、その他のトラブルで動かなくなる
大外れ中古車は、主にこの2点になります。
順に説明していきましょう
修復歴車はなぜ出回るのか
修復歴車は程度によっては何も支障が無い場合もありますが、酷いものになると、妙にハンドルを取られて車が真っすぐに走らなかったり、エンジンの調子悪かったり、異音がしたり、雨漏りがしたり、安全な走行に支障が出ることもあります。
また、商品価値は修復歴なしのクルマに比べ大きく落ちますので、売却の際に不利に働きます。
GOOやカーセンサーの車両詳細、店頭のプライスボードには「修復歴の有無」を明示するように自動車公正取引協議会が自動車公正競争規約に定めています。そのため、だいたいの販売店が、修復歴は明示しています。
ですがこの修復歴の判定(車の査定)には、それなりの技量が必要です。
なので下取りに入ってきた車を査定した担当が、修復跡を見抜けずに修復歴有の車が、修復歴無しとしてお店に並んでしまうことがあるのです。
もちろん車を下取る時に、「事故など起こされていませんか」と聞き込みはするのですが、事故を起こしたことを忘れていたり、家族がぶつけていて知らなかったりするケースもあります。恥ずかしながら、私もこのケースで何度も修復歴を見落としました。
たまに「プロなら言わなくても分かるだろ」とテストみたいに出してくる(大体)おっさんがいますが、そんなおっさんの場合は、問答無用で事故車判定です。人を試すようなことをしてはいけません。
また、オークション会場で仕入れて来た車の場合、オークション会場の検査員がしっかりと査定をし、過去の出品歴なども調べたうえで修復歴無しとしているのですが、それでも見落としていることがあります。
オークション会場の検査員は、週に100台近い車を査定し続けている、歴戦の兵たちです。それでも見逃すことがある、車の査定は、本当に難しい技術なのです。
これが隠れ修復歴車が出回ってしまう仕組みになります。
車を見続けているプロでも見逃してしまう修復歴、一体どうしたら、そんな車を避けて車を買うことが出来るのでしょうか?
買って直ぐにトラブルが出る隠れ故障車
次の大外れ中古車は、買ってすぐにエンジントラブルなどで動かなくなる車です。長いので、隠れ故障車としましょう。
この隠れ故障車で一番厄介なのが、突然足が無くなり不便になることでしょう。突然の故障の場合、代車もなかったりしますので、車で通勤をしている方なんかは、本当に困ってしまいます。
そしてもう一つの問題は、保障対応してくれないお店があることです。年式の古い車であればなおさら、その年式じゃ保証外です、とあっさり言い切ってくるお店はあります。そして1か月もしてトラブルで契約破棄を訴えても、元々乗っていた車はすでにそのお店に無く、取り返しのつかないことになってしまいます。
「安物買いの銭失い」と言ってしまえばそれまでですが、何十万円する車が一か月やそこらで使えなくなったら、とんでもない怒りと、とんでもない悲しみでいっぱいになるはず。絶対にそんな思いはしたくない。
そんな隠れ故障車は、なぜ中古車として並んでしまうのでしょうか?
まず、隠れ故障車の大半は、5年落ち以上の輸入車です。
ベンツだろうがBMWだろうが、ポルシェやフォルクスワーゲン、フィアット、プジョー、ボルボ、ランドローバーetc
買ってすぐトラブルになっているのは、ほとんど輸入車です。
なぜ輸入車のトラブルは多いのでしょうか?
先ず第一に、前オーナーがメンテナンスを怠っている可能性があるためです。新車購入時にメンテナンスパックに加入していれば、毎年の点検やオイル交換もされているので問題ないのですが、輸入車のメンテナンスにお金がかかってくるのは、実は4年目以降です。
エンジンオイルのように毎年交換が必要なもののほかに、ブレーキパット交換などの、ちょっと費用がかかるメンテナンスが必要になります。前のオーナーが、そのようなメンテナンスをしっかり行ってくれていればいいのですが、そうでない場合にトラブルが発生することがあります。
納車前に販売店でもしっかり整備しているはずですが、得てして整備代をそこまで取っていないことがほとんどですので、怪しいかな、と気づいていても、赤字になるからそこまでは整備せず納車されてしまうことが有るのです。
いや、不具合が出るかもと気づいたのならまだましで、そもそもそのメーカーの整備経験が少ない中古車店だと、その車特有の不具合に気づかずに納車して、あとで問題になることがあります。
これは世の中古車店が、輸入車の整備に慣れていない(ディーラーの囲い込みに問題があるのですが)ために起きている問題だと私は思います。
隠れ故障車の原因をまとめると、前オーナーの整備不足と販売店の輸入車への知識不足です。
修復歴車や故障車を買っってしまう可能性を下げるには
中古車購入で修復歴車や故障車を確実に避ける方法、これははっきり言って存在しません。ですが、恐らく大丈夫だろうという買い方はあります。
まず重要なのが、「買うお店」です。
次に「仕入れルート」です。
この二つを抑えれば、おおよそ大丈夫です。
では、解説していきましょう!
ディーラーなら大丈夫?
ディーラーで認定中古車を買えば大丈夫。みなさんもなんとなくそう思われているかと思います。
ですが、全国のディーラーに怒られようとも、これだけは言っておきたい。
「ディーラーだから大丈夫」は間違いです!
ほとんどの方が、ディーラーだったら認定中古車だから大丈夫、と思われています。でも決して、そんなことはありません。
まず修復歴についてです。修復歴を見分けられるかどうかは、査定する人間の査定力にかかっています。ですが実は、ディーラーの査定力は、中古車店や買取店に比べ、大きく見劣りします。査定力はほぼ無いと言ってもいいくらいです。
そもそもディーラーは新車販売をメインとしているため、中古車に触れる機会が中古車店に比べ圧倒的に少なく、査定やオークションに対しての知識もほとんどありません。知識のある人間が居なければ、教えることもできません。
査定は技術です。場数を踏みながら、確かな知識に触れて、初めてレベルアップしていきます。その場が無いディーラーは、査定のレベルアップを図れていないのです。
ですからディーラーで買っても、隠れ修復歴車を引く可能性は大いにあります。むしろ、中古車店よりも、その可能性は高いと言ってもいいくらいです。
ではどうしたら、隠れ修復歴車を避けられるのか?
その方法は、その車の仕入れルートを聞くことです。
ディーラーに並んでいる中古車はほとんど、自店もしくはグループ店舗で下取りをした車です。自店もしくはグループ店舗で販売して整備も任されていた車であれば、すべての整備履歴が残っています。事故を起こして自店で修理した履歴があれば、販売に廻さず、オークションに流します。
ですので、自店やグループ店で整備をされてたお客様から買い取った車であれば、事故の経歴は無いと思われます。
反対に、オークションから仕入れて来た車であれば、オークション会場で修復歴を見逃されて、そのまま店頭に並んでいる可能性が、僅かながらありえます。
ディーラーで買うメリットは、隠れ故障車の可能性はほぼ無いという点かと思います。ディーラーでは自分たちが取扱している車しか販売しませんので、その車に対する知識や経験は深く、並大抵の中古車店や整備工場では太刀打ちできません。しかもディーラーは、専用の診断機(テスタ)を持っていますので、車両の異常を直ぐに見つけることが出来るのです。
ですので、納車前整備でトラブルの元はしっかり潰していますし、乗り出してトラブルが出ても、代車などの対応も迅速に行います。
ディーラーで中古車を買うメリットは、保障の点だと思います。
中古車店って大丈夫?
じゃあ中古車店はどうなのよ?となりますよね。
正直中古車店についてはピンキリです。
適当な整備をしているところはあまりないのですが(当たり前ですが)神のような技術者が居るお店や整備工場と、タイヤ交換さえもまともにできない工場があるのは事実です。
このような技術差の背景には、お店の倫理観と共に、整備士の報酬が少ないのではないかと私は感じていますが、今回は置いておきましょう。
先ず隠れ修復歴車についてお話しします。
中古車店はディーラーに比べ、車を査定する力は高いため、修復歴車に気づかずに並べてしまう可能性は、ディーラーに比べると低いと思います。
ただ、ディーラーであればオークションに流すような怪しい車を、意図的に並べる可能性はあります。
オークションに出して修復歴の判定となった場合、晴れて(?)その車は修復歴車です。修復歴車と表示して、店頭に並べなければいけません。
ですがお客様の手に渡り乗ってもらえば、うやむやなままで廃車まで乗られるかもしれません。当然、買った側は知らないままに。
「世の中知らない方が良いこともある」とでもいいましようか、まあトラブルが出なければ、良いのかもしれませんが。
この流れでもう一つ、隠れ修復歴車にまつわるお話をします。
中古車店に未使用車、新古車が並んでいるのを、見たことがある方も多いかと思います。
未使用車や新古車は実質誰も乗っていない車ですので、新車とおんなじよね、と思われているかもしれませんが、あの中にも実は、修復歴車が紛れています。
誰も使っていないのになぜ?と思われるかもしれませんが、車の輸送段階やモータープールでぶつけてしまい、修復歴車となっている場合があります。
ところがそれらの車を、新古車だからと言う理由で、修復歴表示せずに売っているお店があるのです。当然お客様は新古車が事故を起こしているなんて想像もしていませんから、聞かれることもありません。
倫理観の低い話ですが、中古車店ではそのような買わされ方をする可能性もあります。そしてそのような店を見分ける術は、ほとんどありません。
私であれば、東京、神奈川近辺の怪しい店と大丈夫な店はお答えできますので、気になる方はご相談いただければ幸いです。
では次に、隠れ故障車については書いていきましょう。
中古車店の隠れ故障車は、今までの中でも比較的容易に避けることが出来ます。
隠れ故障車の原因は、メンテナンス不足と車両知識不足です。
そしてトラブルの大半は、輸入車です。
輸入車には、その車種特有の、よくある不具合があったりします。
ある年式のVWゴルフやトゥーランはミッションが弱いとか、ある年式らへんのポルシェ911やケイマンは、エンジンに不具合をかかえている、と言った具合です。
ですがその情報は公になっていないものもあるので、その車種のことを知らないと、対処が出来ないのです。
中古車店はお店によってその技術や知識に差があるので、そのお店の不得意な車を買ってしまうと、トラブルの可能性が高くなります。
具体的に書くと、国産メーカーの車しか扱っていない中古車店で、輸入車を買うなど、危険極まりない行為です。
ノウハウが無いためしっかり納車前整備もできず納車して、納車後にトラブルが出ても対応できないから、「保障外」と突っぱねざるを得ないのです。
ですから隠れ故障車を買ってしまうのを防ぐには、そのお店が他にどんな車を扱っているかを調べ、他にも同じメーカーの車を販売している実績があるかどうかを確認することで、防ぐことが出来ます。
中古車との付き合い方
いろいろと、みなさんが騙されない方法を書いてきましたが、故障などのリスクを考えれば、新車の方を絶対にお勧めします。
ですが中古車は、今ではもう手に入らない限定車であったり、もう廃版になっているモデルが手に入ることが魅力でもあります。
そしてそこに至るまでに、様々な思い出と、疲労を蓄積させているのです。
おおよその車は、乗り出して何かしらトラブルを訴えます。
突然走り出すのです、ビックリして当然です。
まずそれを寛容な心で受け止めてあげてください。
そして、それを一緒に乗り越えてくれるお店のお世話になることが、最も賢い中古車選びだと私は思います。
売り手の経験や裏話を、みなさんがモノを買う時の役に立つ知識として発信していきます。記事継続のためのサポートいただければ幸いです。