歯科通訳・翻訳者になるまで②
みなさんこんばんは。歯科分野の通訳・翻訳をしています、西原由希と申します。
前回の続きで今回もこの仕事を始めるまでの道のりについて書いていこうと思います。
<翻訳を始めるまでの準備期間>
大学を卒業し、研修医期間を経て、夫の留学先であるドイツに引っ越した私ですが、
ドイツ滞在中に「翻訳や通訳に携われるようになりたい」という気持ちが日々強くなっていきました。
けれど、翻訳や通訳の仕事の知識もなければどうやって仕事を探すかもわからない状態で、とりあえず数ヶ月間は情報収集をして、仕事の基本的な知識をつけるので精一杯でした。
その時期に、ある日ふいに検索結果に上がってきた「英文添削サービス講師」という仕事を見つけ、単価は割と低かったもののドイツにいながらもできそうな仕事だったし、英語に関われる仕事だったのですぐに応募し、採用してもらえました。
大学受験依頼ほとんど英語を使うこともなかったため、英文法書を買って、それを一通り読んで記憶をリフレッシュさせてから、英文添削の仕事をスタートしました。
英文添削講師の傍ら、まずは翻訳の基本的な勉強をしたいと思い、一番身近な目標にできそうな「翻訳検定」の勉強も始めました。
「翻訳検定」はいくつかの翻訳協会団体が開催しているものなので何種類かあるのですが、検定の合格点をクリアすればその団体の翻訳者として登録することができ、仕事をもらえる可能性があるというものでした。
また、翻訳検定は様々分野(金融、経済、法律、そして医薬など)に分かれていて、私は歯科に最も近い医薬分野を受験することにしました。
…ですが、やはりちょっと医薬翻訳をかじったぐらいでは全く歯が立たず、結果は散々でした。
その後も勉強方法を変えたり、専門書を買って読んだりと色々してみたのですが、結局3回受験して1回も合格点に届きませんでした。
同じ医療系でもやっぱり医薬分野だと範囲が膨大で、自分の歯科の知識を生かすのはかなり難しいということ、またそう簡単に専門性の高い翻訳はできないんだということを実感し、正直心が折れそうでした。
<日本への帰国、そして翻訳学校へ>
そうこうしているうちに、約3年ぶりに日本に帰国することが決まりました。
翻訳の勉強でもうかなり行き詰まっていたので、日本に帰ったらもっと本格的に翻訳や通訳の勉強をしたいと思い、まずは帰国してすぐに医薬専門の翻訳講座を受けられるように、ドイツにいる間に申し込みをしました。
翻訳学校は数ヶ月だけでしたが、それまで自学自習で行ってきた時とは段違いに様々な知識やテクニックを学ぶことができ、自分でも力がついてきているという実感が出てきて、大変だったけど頑張って受講してよかった!と思えました。
もちろん自学自習でものになればそれがベストなのかもしれませんが、プロの医薬翻訳者の授業というのは明快でポイントをしっかり教えてもらえて、また自分の間違いを適切に(でも優しく)指摘してくれるのも勉強になりました。
翻訳の具体的なルール以外にも、クライアント(お客さん)とのやりとり方法や、翻訳者としての心構えなども教えてもらえたことも私にとっては貴重な経験になりました。
翻訳学校の授業を修了した頃に、ちょうど夫の紹介で学会抄録(学会での発表内容を紹介する文章)の翻訳を少し手伝わせてもらうことができ、その後も知人や友人の紹介で少しずつ、歯科の翻訳の仕事を依頼してもらえるようになりました。
翻訳・通訳者の仕事は、人によってその仕事に就いた経緯は様々で、最初から翻訳者や通訳者を目指す人もいれば、私のように全く違う職業から転じて目指す人、また元々働いていた場所で必要に迫られて始めるうちにプロになる人などがいます。
また、通訳や翻訳のトレーニング方法も多種多様で、翻訳や通訳の専門学校に通う人、学校に通わず完全に独学で様々な分野の通訳・翻訳をしている人もします。
私の場合は、「歯科に特化した翻訳・通訳」をするというのが当初からの目標だったので、同じ歯科医師である夫や友人、知人に紹介してもらい、実際に仕事をしながら経験を積んでいる(今もまだその途中)という感じです。
長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございます!
次回は「通訳の仕事のはじまり」についてお話しようと思います。
どうぞよい1日をお過ごしください。
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