見出し画像

『ぼくだけはブルー』を読んだ

また2時まで本を読んでしまった。
もういい歳で、明日仕事なのに。

志磨遼平の自叙伝をやっと買えた。
一気読みした。よかった。
この本はきっと数年後、オークションで高い値段がつくと思うよ。みんな買ったほうがいい。
貴重な資料で、心を打つ作品で、これを読んだ自分はかなりラッキーだと思えるような本だったから。

極度の理想主義者が清濁併せ呑まずに作品を作り続けるなかで自分も周りの人もみんなボロボロになっていく様子が、キツいのに美しかった。

本編に挟まる家族や関係者のインタビュー、ファンの証言もよかった。お母さんがつい先日のことのように志磨少年のバイトでの挫折を語り不憫そうにしているところが印象的だった。

毛皮のマリーズ中〜後期の志磨さんの限界さはたしかにゴッホに近いものがあった。精神に異常をきたすほど理想に対して真剣だった。元々異常な魂があり、その魂のはたらきに、身体機能としての精神系に限界がきた、みたいな。魂が先、精神は後、と理解した。それで「ビューティフル」を作れてしまうんだから。

ドレスコーズの面々の胃が痛くなるような重々しい空気感もよく伝わった。決して仲良しこよししようとしていたのではなく、ただ4人の表現を生業にするプロたちが、お互いに信頼関係を構築したうえで400点を獲りたいという最難関の試みだった。志磨さんは動画で「(元ドレスコーズの3人を)袖にした」と表していたけど、たしかにそんな感じだったんだな、と本を読んでわかった。

できるだけたくさんの人に読んでほしい。
みんなのなかの寂しさ・傲慢さ・美しさの原液みたいな人だから。
私を含めた多くの人が薄めてほどよく持つことにした信念をそのまま持っている人のようだから。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集