今日はいい日だったから
晴れた日曜日の下北沢は、人が多かったとしても、昼間は何となくゆったりとした時間が流れているよう。
以前訪れて気に入ったBONUS TRACKという場所は常設のお店もあるが、期間限定で様々なイベントが開催されている。
公園につながる場所だからか、犬を散歩している人や子どもたちも多く、ほっこりできるところが好きだ。平和な雰囲気が漂っている。
この日は、BIGMAMAの東出真緒さんの企画するイベント「Having a blast」が開催されていた。
ファッションやアートから美容まで様々なジャンルの真緒さんの好きが詰まっていて、誰かの好きに触れることができる血が通った場所。
私の好きなバンドLEGO BIG MORL のタナカヒロキさんがやっている「KITSU」という吃音症(きつおんしょう)を広めるためのアパレルブランドもお店を出していたので、これは行くしかないという感じで意気揚々と向かった。
自分の身にまとう服だからこそ、ストーリーや意味のあるものを選びたいし、お洒落な洋服が何かの支援になるなんて、二度おいしいっていつも思っている。
たくさん歩いて、素敵なお店をじっくり観て、あっという間に17時を回ってイベントが終わってしまった。この街の空気にもう少し触れていたいと思った。だから、まっすぐ帰らずにコーヒーを飲みに行くことにした。帰るのが寂しいのは良い日だった証拠だけれど、寂しいものは寂しい。
reloadのそばにある「THE MOSQUE COFFEE」(ザ・モスク・コーヒー)は小ぢんまりとした佇まいだ。店内の座席はおよそ10席ほど。2組ほど別のお客さんがいて、一人で来ていたのは私だけで、ここでもちょっぴり切なくなる。砂で温めながら、一杯ずつゆっくり淹れてくれる時間を持て余さないように、「店内の写真を撮っても良いですか?」早めに店主に確認した。装飾が、よりトルコ感を強めていて美しい。
自分の順番が来たので、トルココーヒー初心者だしなぁと思って「トラディショナルセット」を注文し、手際よく用意をする店主の手元を見守る。
「もしかしてインスタでメッセージくださいましたか?」店主が言う、「送ってないです!私なら名乗りますねぇ」と、なんとなく会話がしたくて余計なひと言を添えて返事をしてみる。まぁそこまで話は広がらないけれど、居心地が良くなった。
とても濃厚で今まで飲んだことのない、土のようなトルココーヒーの味わいに驚きながらも、小さいカップでちょこちょこと味わう。底に沈んだコーヒーの粉は飲むべきなのか迷ったが、恥ずかしくて聞けずにGoogleで調べてみる。飲まなくて良いらしい。
セットのお菓子は「ロクム」と言ってグミのような、餅のような甘いもので、コーヒーの苦味を和らげてくれる。味はフルーツ風味のものだったが、他にも多くの種類があった。
“今日はいい日だった。”こうやってひとりで噛みしめる時間があるのは大切かも知れない。
流れて過ぎていくような日々でも、いいことは結構あってそれに感謝できていれば幸せの欠片を集めて生きていける気がする。
そんかことをぼんやりと考えていたら、頭の中に浮かんだ曲があった。
〈昨日よりマシな 飯が喰えたなら
今日はいい日だったと 空を見上げて笑いとばしてやる〉
BUMP OF CHICKENの「ガラスのブルース」だ。
大好きなこの曲を帰り道のBGMにすれば、少し寂しさも和らいでくれるだろうということで、のんびりと席を立ち、下北沢駅へ向かうのだった。
おしまい
お店の写真(フィルムカメラで撮りました)
お店のホームページ
ガラスのブルース/BUMP OF CHICKEN
こちらのイベントに遊びに行きました!
KITSU