Vol.1 展示へのエナジー
みなさんどうも初めまして、朧姿写真家のわいもりです。
朧姿(ろうし)写真家とは何かというのはまたの機会に書くとして、写真の撮影以外にも、写真教室講師、展示アドバイザー、モデルなどを生業としています。
特に展示をしたり、展示を観に行くのが好きです。写真だけでなく、絵画も。
もしも展示をしてみたい人や、興味がある人がいらっしゃったら、これを読んで参考にしていただければ、と思って、ここに記していこうと思います。
10年ほど前に僕のプロフィール写真を撮った時は僕自身のイメージは孤高の写真家という感じで撮ったので、とかく人前に出るとか、細かいことを語るなんてことはなかったです。今使っているプロフィール写真10年前の何ですよね(笑)僕が初めて展示を経験した時は「誰がわいもりを連れてきたんや」などと言われたぐらいでした。
今年の3月から写真関連のみで生活を始めたのですが、とにかく自由な時間が増えたので、特に何も考えることもなく、展示のヒントを得るために、ぶらっと出かけました。
とにかく3月は、ノートパソコンさえあれば、仕事できるので、朝はウォーキングして、カフェに行ってという感じでぶらぶらしていたんですが、なぜか一度展示したことがあるギャラリーに僕は向かっていました。
ギャラリーはたいてい一週間ごとに展示が変わっていくので、本来ならば、出かける前にどんな展示があるのか調べてから行くべきなのですが、なぜだか僕はそこへ向かっていたのです。
案の定ギャラリーに着いたのですが、1階から4階までキャパシティのあるところですが、1階だけが展示されていて、そこは僕とは面識のない画家の女性の個展会場となっていました。
GWに個展を控えている僕ですが、たしかに、新たなアイデアも欲していたし、展示に飽きつつあるというところもあったかもしれません。でもなぜだか僕は、導かれるように1階のギャラリーへ足を踏み入れたのでした。
今思い出すと、本当に運が良く、これこそが展示だなというような出来事でした。
平日の昼間は、展示のゴールデンタイムではなく、ほとんど人が居ない寂しい時間帯ではあります。ドアを開けると彼女はひっそりと受付の椅子に座っておられました。
そもそも僕が写真を始めたきっかけなんですが、拳さん(土門拳氏)と同じで、画家を志そうと思っていたのですが、あまりに才能がなく、撮る事ならできるかな?と思ってカメラを握り始めたところがあります。
思いのままふらっと外出した先が絵画の展示に行き当たったので、何か感じるものがあったのも事実です。いつの間にか絵を描いて飾っていた女性にはとても尊敬の念を抱いていました。
僕はドアを開けて「こんにちわ〜」と挨拶をします。
彼女は面識のない僕が急に現れたことに対して驚いておられました。そしてギャラリーは僕と彼女の二人きりでした。
僕はあまり社交性が高い人間ではないので、気まづいなっと思いつつ館内をすっと一周して話の種を探します。
全ての絵画が花の絵でした。僕はひまわりの絵が気に入ったので彼女に「ゴッホみたいですね」と笑みを浮かべて話しかけます。
気づいた点が複数あったので彼女に尋ねました。「この済というのは何ですか?」「絵を販売されているのですか?」値札が着いていなかったので、どう言った意図があるのかきいて見たのです。
彼女は僕に答えてくれました。
「これは終活なんですよ」
「売っているわけではないのですけど、欲しいって言った人に、着払いで送りつけるのよ」
「もう〇〇歳なのでね。」
彼女は独学で絵を学び、自分の生きた証を形にして残したいというような内容の話をしてくれました。
僕はこう話しかける。
「わかります。僕も部屋が額だらけで、額に囲まれて暮らしてるんですよ〜」
「額って意外と処分に困るときありますよね。でもなくなると寂しくなったり。」
「〇〇歳なんてまだまだ若いですよ。あと10年は続けられるでしょう」
彼女はこう言う。
「お兄さんはまだ若いから気軽にそんなこと言えるのよ」
「もういつ死ぬかどうかなんてわからないんだからっ」
僕はとても胸が熱くなり、僕自身も芸術を愛し、GWに梅田で個展をすることを彼女に伝えた。
彼女はとても嬉そうに昔は梅田も〇〇だったのよ。花屋さんがあってねと言う具合に、いろんな話をしてくれました。
「展示は、私にとっても終活ではあるけど、お兄さんのような若い人と話ができるし、嬉いわ」
彼女との会話の中に涙をこらえるのに必死になっている自分がいました。
僕は彼女にこう言ってギャラリーを後にしました。
「また次回も個展を開いてください。」「また次も会えるでしょう。必ずまた来ます。」
ドアから出て、僕の目からはずっと涙が溢れていました。
僕には命をかけて、何かに望む心がなかった。
これこそが展示です。
作品にはその人そのものが現れるといいますが、展示ではその人に会い、その人を感じることができるのです。
みなさんも感じて見てはいかがでしょうか❓
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