たかがSketchUp!されどSketchUp!⑤
第5弾!
今日は地上型レーザースキャナで取得した点群(Point Cloud)から工事現場に隣接する民家をSketchUp Scan Essencialsで3Dモデル化して工事の施工計画に利用した事例をご紹介させていただきます。
点群(Point Cloud)とは・・・
点群データ(ポイントクラウド)は、X、Y、Zの基本的位置情報や色などの情報を持つ3次元データです。地上型レーザースキャナやUAV(ドローン)を使ってデータを取得します。
データフォーマットはテキストベースのTXT(CSV)やLASなどの種々の形式があり、膨大な量の点を元に3次元空間を表現します。
TOPCON社のレーザースキャナ
今回はこの地上型レーザースキャナで取得した点群から民家の3Dモデルを作っていきます。
この工事は急傾斜地崩壊対策工事といって民家の背後に迫る山腹の崩壊に備え4m~8mの高さの擁壁と落石防護柵を構築するものです。
点群データを真上から見た施工場所で赤い部分が今回の施工箇所です。
ご覧のように4件の民家が近接しています。
①の民家の付近を3D表示しました。工事を施工する場所との距離感がよく分かります。
さらに拡大します。なんとこの点群の総数は約2億1800万点!高密度で取得されています。だから民家の壁がくっきりと解ります。この民家をモデル化して新しく作られる擁壁との位置関係を正確に把握してどうすれば効率的かつ安全に施工ができるか?を検討します。
SketchUp Scan Essentialsで点群をモデル化
SketchUpにオプションのScan Essentialsをインストールすると点群データをSketchUpにインポートすることができます。
点群データはその名の通り”点の集合”なので背後が透過して見えるためモデルとしては扱いにくいのです。なのでその点群に面を形成して建物を再現します。
ちょっと解り難いかも知れませんが、上の画像2枚は屋根・壁・窓の点群に面を形成した状態です。点群を非表示にするとこうなります。
屋根など工事に影響が少ない部分は少々端折っていますが、これで民家の位置関係がかなりの精度で再現できました。
このモデルにISP社のLandFormsというソフトを使用して点群から地表面処理した現況サーフェスモデルをインポートします。
こんな感じになります。背後の山腹と民家との位置関係がモデル化されました。
では、どんな構造物ができるか?を見てみましょう。
KENTEM社のSiTECH3Dで作成した擁壁の設計データをSketchUpにインポートします。
完成時にはこのようになります。
さて、重機の進入もままならないこの工事現場をどうやって施工するか?
技術者の腕の見せ所ですね!
ここまでの処理を動画にしていますので是非ご覧ください。
ここまでくれば、この工事の課題が3次元的に浮き彫りになってきますので、具体的な施工方法の検討が可能になります。
具体的な施工方法の提案は現実となり、そろそろ工事が進行しそうですが
そのご紹介はまた後ほど・・・
現在の土木現場には新しくて便利なデバイスがたくさんあります。そして、便利なアプリケーションもたくさんあります。
それらを有効利用してSketchUpで統合する。
そしてそのモデルで効率的な施工法の検討や重機の配置など創意工夫が満載されることにより発注者から高い評価を得る。それが他社との差別化に繋がり、それは自社のブランディングとなりえます。
最後までfご覧いただきありがとうございました。