たかがSketchUp!されどSketchUp!④
土木工事現場でSketchUp!第4弾!
今回は例によって橋脚の鉄筋組立についてSketchUpを活用した施工方法の改善事例についてご紹介させていただきます。
縦方向の主鉄筋が組み上がったのですがここで問題発生!(解りやすいように色を変更しました)
縦方向の主鉄筋を組み立てるときには足場からブラケットに取り付けた端太材(画像の赤色のところ)で仮結束して自立させます。
拡大してみました。黄色がブラケットで赤色が端太材です。ご覧のように橋脚壁部の長手方向は主鉄筋がダブル(2列)になっていますのでその間にも端太材を挟み込んでいます。
真上から見るとこんな感じです。
さて、ここで問題が浮き彫りに・・・
主鉄筋を保持するために配置したブラケットと端太材でガチガチに足場と完全に一体化されています。
橋脚には必ず帯鉄筋(ピンクの部分※フープ筋とも呼びます)が配置されます。
上から見るとこんな感じになります。内部に向かって角が生えています!
これが組み立ての時にとても厄介なんです!
これは帯鉄筋の1組を真上から見た画像です。上は2本が一対になった組み立て時の形状で、下はちょっとずらした1本ずつの加工寸法形状です。D19の異形鉄筋で端部に330㎜のアンカーがついています。この鉄筋を1段ずつ交互に上方に配置していきます。1本あたりが約24kgですが取り回しには最低2人、組立には3~4人は必要です。
先述した通り今、現場は足場と一体化された主鉄筋が林立している状態です。この帯鉄筋をどうやってそこまで運搬するか?クレーンで吊り込むこともできない!狭い足場の上でどうやって取り廻すか?知恵の輪状態だが本当に組み立てることができるのか?
そこで、発想の転換!
主鉄筋を組み立てる前に帯鉄筋を組んでしまおう!
加工済みの主鉄筋を正規の帯鉄筋が配置される外側にブラケットと端太材に仮に固定します。本数は長編方向に5本ずつ短辺方向は4本ずつの合計18本。
↓ こんな状態
真上から見た様子。黄色がブラケット、赤が端太材、緑が仮配置した主鉄筋です。これで内部は何にも支障となるものがない完全空洞になります!クレーンが使い放題!
横から見るとこんな感じです。中はスカスカ!w
帯鉄筋をまとめて組み立て!
吊り治具の製作
考えついたのがこれ! ↑ 名付けてフープ筋キャリー!8段計16本の帯鉄筋を一気に吊り込むというものです。30×60の角パイプに固定金具を溶接したものを14組製作。上部の吊り枠は意図的に一回り小さくしています。なぜなら組立後、吊り治具を離脱して吊り出すときに足場や帯鉄筋に引っかからないようにが狙いです。
↑ これが吊り治具です
このようにクレーンで一気に吊り込みます!
実際の作業の様子を動画にしましたので是非ご覧ください。
地組ベースや吊り枠などの鋼材は倉庫にあったものを使い、購入したのは角パイプと金具のみ。治具等の加工には労務費を含めて30万円くらいでした。通常作業では1週間程度必要な帯鉄筋の組み立て作業が1日で済み、そして、安全性も大きく向上!
課題は発明の母なり!3Dで課題を見つけて3Dで課題を解決する。