見出し画像

たかがSketchUp!されどSketchUp!②

皆さんこんにちは!
今日もSketchUpの土木工事活用例をご紹介させていただきます。

ところで皆さん橋脚ってご存じですか?
橋には大きく分けて下部構造と上部構造に分けられます。
そして下部構造は橋台と橋脚に分かれています。
橋台は橋の両端部に造られますが、橋脚は橋台と橋台の間に作られます。短い橋は両端部の橋台だけのものもありますが、長い橋になるとたくさんの橋脚が作られます。

画像2

↑これは橋台

画像3

↑これは橋脚

今回はこの橋脚を作るためにSketchUpを活用した型枠の施工方法の改善についてご紹介させていただきます。

画像3

まずは鉄筋の組み立てを2次元図面から忠実に表現します。1.17阪神大震災から耐震基準の見直しにより鉄筋量が異常に増えています。だから真っ黒!w

画像4

ちょっと拡大してみました。この部分は底版(フーチング)といって基礎杭(地中深くの岩盤層まで到達した鉄筋コンクリート製の柱)の上にドーンと乗っかっている部分です。サイズは縦2.4m×幅14.25m×長さ12.0mでコンクリート量は410m3その重さは963t!
よく見ると鉄筋の下にピンクと黄色のサイコロのようなものが見えますね、これはスペーサーといってあとから流し込むコンクリートが鉄筋の下にしっかりと充填出来るように鉄筋を浮かせるための役割です。1m2当たりに配置する個数も決まっているのでシビアに配置します。色が違うのは少しだけサイズが違うからです。それぞれコンポーネントにしておくとコピペで配置した後に個数を確認することができるので材料を注文するときに便利ですね。

画像5

鉄筋の組み立てが終わったらコンクリートを封じ込める型枠を組み立てます。通常施工での型枠の組み立てはバラ板(コンパネ1枚1枚)を現地で組み立てていきますが、今回は施工スピードを上げるためあらかじめ数種類のブロックに分けて加工場で組み立てておきクレーンで吊り込む工法にしました。※大組してしまうと土留め支保工のH形鋼に邪魔されて吊り込むことができないので・・・

画像6

これが小組型枠の標準部の例です。コンパネ約6枚分で縦端太(縦方向の補強材)や横端太(水平方向の補強材)には鋼管類は使わず、扱いやすい30×60の桟木と60×60の2寸角の木材にしました。底版部のサイズに合わせて全部で5種類のパネルとなります。
パネルとパネル、縦端太・横端太の交差部はコーチボルト100で緊結します。

画像7

この橋脚の約3分の1は地中に埋まってしまいます。なので、先行して周囲に鋼矢板(U型に加工した鋼製のパネル)を打ち込み、掘削(鋼矢板内部の土砂を重機で撤去する)後に鋼矢板が崩壊しないようにH型鋼で補強して土留めをします。型枠を組み立てた直後の締め切り矢板の内部はこんな感じです。(手前の鋼矢板は見えやすいように消去しています)

コンクリートは側圧(流し込むときにコンパネに対する圧力)が1m2当たり約2.5tかかるので型枠の固定が甘かったりすると崩壊してコンクリートが漏れ出してしまいます。これを”カタがバレル”と言ってます。
通常の施工ではセパレータ(対面の型枠同士を棒鋼で繋ぎ緊結する材料)を使うのですが、そのためには型枠内部に作業員が入り込んで溶接するなどの作業が必要です。先ほどの画像のとおり型枠内部は鉄筋が林立していて入り込むスペースなど到底ありません。
そこで・・・

画像8

周囲には周辺の土砂をがっちりと押さえている鋼矢板があります。型枠側面に襲い掛かる側圧を計算してパイプサポートの耐力(安全率0.6)から必要本数を割り出し等分割になるようにコピペで配置します。パイプサポートもコンポーネントにしておくことで注文本数(272本)が一目です。
コンクリートを流し込むときに振動でパイプサポートが鋼矢板から脱落しないようにアングル(等辺山形鋼100×100×7)を鋼矢板に溶接してパイプサポートの受け台にします。

画像9

型枠側のパイプサポートは横端太の2寸角(60×60)にしっかりと固定します。
最上部の横端太には”通り”をよくするために2寸角同士の交差部で底版仕上がり面から10㎝下の位置に貫通してフォームタイ(セパレータを型枠に緊結する材料)を取り付けて座金とナットで型枠の仕上げ時に緊結します。

画像10

もちろん、足場とパイプサポートの干渉も考慮しています。

この工法により人工数の削減やコストの縮減、工程短縮にも大きく貢献できました。また、型枠内部の狭い場所での作業がなくなり溶接時の強烈な紫外線による”目焼き”防止にもつながり安全面も向上。やはり、従来の方法にとらわれず新たな想像で良いものを創造することが大事だなと実感しました。

今回は橋脚底版部の型枠施工について投稿させていただきました。
今後もSketchUpを活用した土木の工事現場をご紹介させていただきますのでよろしくお願いいたします。

たかがSketchUp!されどSketchUp!

いいなと思ったら応援しよう!