たかがSketchUp!されどSketchUp!③
土木工事現場でSketchUp!第3弾!
前回の橋脚現場で引き続き土木工事現場でのSketchUp利活用についてご紹介させていただきます。
今日のお題はこれ ↑ 本体壁部足場の検討です
鉄筋組立や型枠組立・コンクリート打設などなど土木工事に足場は欠かせません。ある程度の高さの足場になると施工図を描いて労働基準監督署の許可がもらえないと仕事を進めることができません。
なぜ3Dで足場を検討するか?2次元でもいいんじゃないの?って意見もあると思いますが、手順を追って説明させていただきます。
最終の足場の形状は ↑ このようになります
足場は構造物の形状により途中で組み換えが必要なことが多々あります。
それらを踏まえてまず、足場設置位置の検討から始まります。
上の画像の部分、まず底版部と壁部3リフトまでを施工するための足場を計画します。
足場の計画について注意することは構造物と足場との”離隔距離”が重要です。離れすぎても近すぎてもいけません。離れすぎると転落の危険性が増しますし、近すぎると作業がやりにくくなります。
離隔距離を300㎜~400㎜を目標に計画します。
足場の標準スパン(足場の柱と柱の長手方向の長さ)は1829㎜なのでその倍数から構造物に近い内側の柱の位置を決定します。上の画像を解説すると壁部の長辺方向が6500㎜に対し1829㎜×4スパンで7316㎜、一方短辺方向は3000㎜に対し1829㎜×2スパンで3658㎜で計画すると、離隔距離がそれぞれ408㎜と329㎜となりいい感じになります。
↑ 足場を組み立てたイメージ
これで足場の計画ができた!・・・果たしてそうでしょうか?
これなら3Dにしなくても2次元で十分です。
ここから施工順序を踏まえた合理的な検討に入ります。
縦方向にそびえる主鉄筋D38(Φ38㎜の異形鉄筋のこと)は1m当たり約9㎏でこの橋脚に使用する主鉄筋の1本の長さは約11mですので99kg!その本数は221本!総重量は約22tに上ります。
っていってもピンとこないでしょうから ↓ このような状態です。
もちろんのことですが、このように主鉄筋が自立するわけがありません。
主鉄筋を組み立てる前に足場を組み立てなければならないのです。
いよいよここからが3D のメリットになります。
上の画像は底版部の下面鉄筋が組み上がった状態と丸いカゴみたいなものは杭基礎から底版部に食い込むように配置された杭鉄筋です。まず、この状態から足場の検討に入ります。
先ほど足場の組み立て位置は決まりましたので、ここで仮に足場を乗せてみましょう。
宙に浮いていますがイメージ的にはこの足場のすべての柱の下に支えとなるモノが必要になります。
それが ↑ こちら
繋ぎ材のアングル等辺山形(50×50×6)に鉄筋D32(異形棒鋼Φ32)を加工溶接した2種類のユニット。これをあらかじめ加工場で2組ずつ制作しておき、底版下面鉄筋の上にセットします。
ごらんのようにセットする位置には杭鉄筋があるので干渉しないよいうに配置することが重要です。なので、下方の繋ぎ材のアングルは切断するところをあらかじめ決定してから製作しています。
上から見るとこんな感じに杭鉄筋との干渉を避けています
上方の繋ぎ材も杭鉄筋に干渉しない位置に配置しています。
そしてこの上に棒ジャッキという部材を取り付けて足場を組みます。
足場の完成です
そしてこの足場に主鉄筋を保持するブラケットや端太材を取り付けて主鉄筋を立て込みます。
縦方向の主鉄筋が組み上がりました!
今までこのような作業は現場合わせでの施工となり締め切り矢板内部において数人がかりで切断加工したり溶接したりの作業でした。特に足場の柱ピッチは割とタイトなため手戻りとかもありました。しかし、3Dモデルにしてこのようなユニットをプレハブ化することにより作業環境の改善や効率化を図ることが可能になります。
今回は橋脚工事における足場の検討にSketchUpを利用した事例について投稿させていただきました。
今後もSketchUpを利活用した土木工事現場の事例をご紹介させていただきますのでよろしくお願いいたします。