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「動画に苦手意識がある編集者」に見てほしいnote。2025年が“分かれ道”である理由

こんにちは、編集者の山本です。僕は編集者としての知見を活かし、メディアやYouTubeクリエイターの動画活動の支援をしています。

さて、今回は編集者やライターのようなテキストメディアで働く人にとって「2025年が分かれ道になる」という話を書いてみました。

(最後に僕が春から始めるコーチングサービスの案内もありますので、ご興味ある方は最後までご覧くださいませ)

10年前のビルゲイツと、今年のサムアルトマンが同じことを言っている件

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが今から10年前に、2025年の予測をブログで書いているのをご存知でしょうか?

そこで書かれているのは「(2025年には)アメリカの職業の3分の2が高校卒業より上(=大学)の教育レベルを必要とするようになる」ということ。職業人として問われるスキルのレベルが高くなる、という話をデータをもとに予測しています。

OpenAIのサム・アルトマンもまた2025年の予測をしています。彼の予測では、今年中に企業の“労働力”といって差し支えのないレベルのAIが登場するという話をしています。

奇しくも、ビル・ゲイツとサム・アルトマンの予測には重なる部分があります。

1.労働力レベルのAIが登場する
2.人間の作業が置き換えられる
3.結果的に「人がやるべき仕事」のレベルを高く設定しないといけなくなる
4.人間に高いレベルの教育が必要になる

こんなストーリーだと読み取れると思うのです。

しかし「じゃあ大学に行っていない人は終わりなのか?」という話ではないと思っています。

今後の職業人として本質的に必要なのは「自分の仕事の範囲を、勝手に決めないこと」にあると思っています。

2025年はこのままテキストメディアの職人になるのか、メディアを越境する編集者になるのかの2択の分かれ道の始まりだと思っています。

僕は後者で居続けられるように生きていて、それにとても幸せを感じる人間です。もし同じようにそう感じる方がいれば、この後の話が参考になるかもしれません。

「ソフトが触れること=表現ができること」時代が終わる2025年

AIの登場によって編集者に最も関係のある話は、「ソフトやツールが触れないといけない時代」が終わることです。

例えば今までは動画を制作するためにはAdobe Premiere Proが使えないといけない、Final Cut Proが使えないといけない、DaVinci Resolveが使えないといけないなどなどツールの習得が必須でした。

ところが昨今はどうでしょうか。スマホの動画編集アプリ「CapCut」や、iPadの「LumaFusion」などの登場によって、動画編集が誰でもできるものになりました。

AIの登場によってこれはさらに加速しています。例えば「AutoCut」を使えば自動でカット編集を行なってくれたり、「Vrew」という編集ソフトを使えばテキストをトルツメするだけで動画が勝手に編集されます。

この数年で、動画は皆んなのものになってきたのです。編集ソフトやツールが使えないから表現できないことは全くありません。むしろ映像や動画のプロじゃない方がめちゃくちゃ良いコンテンツを作る事例を何回も見てきました。

「良い動画コンテンツを作れること」と、「編集ソフトが使いこなせること」は今やほとんど関係のない話なのです。

世の中の許容度が上がってきているから、「上手さ」にこだわる必要はない

AIの登場によって変わったのは、動画の作り手の状況だけではありません。動画を“見る側”にも大きな変化がありました。

それは「動画に対する質への許容度」が上がった、ということです。

例えとしてこの動画を見てみましょう。

この動画はおそらくiPhoneのインカメラで撮影して、そのままカットもせず投稿されたものです。いわゆる「撮って出し」と呼ばれる最もリソースが少ない手法です。

でもカットもテロップもないのに、見るに耐えないことはないですよね? それは話すトピック選びであったり、そのトピックの切り口にセンスが感じられるからだと思います。

質への許容度が上がっているというのは、いわゆる「撮影の仕方」だったり「最終的な仕上げ方」だったりの、ガワ(表面)への許容度が上がっているというわけです。

超乱暴に言えば「面白ければ手法はなんでもいい」。それが今の価値観だと考えられます。事実、この動画は1日で200万回の再生。おそらく先週の日本で最も注目を集めた動画でしょう。

さてここまで読んでいただいて、皆さんはいまだに編集ソフトの習得に時間を掛けようと思いましたか?

僕は通算6年くらい動画を生業にしています。ですが、もう2~3年で単に映像が作れるだけでは食べていけなくなると考えています。

なぜソフトやツールの習得にこだわってはいけないのか?
① AIが登場した → 編集が自動化された
② 世の中の価値観が変わった → そもそも「編集をしなくても良い時代」になりつつある

ここまでの話をまとめると「ツールを使いこなせる」というのは2つの意味であまり意味のないものになると考えます。

「上手い、けど面白くないもの」と「上手くない、けど面白いもの」がハッキリ分かれた10年

この10年のインターネットメディア(WebやYouTube、SNS)を振り返ると「上手いけど面白くないもの」と「上手くないけど面白いもの」がハッキリ分断したような気がします。

上手いけど面白くないものとは、「テクニックは感じられるけど、中身に独自性が感じられないもの」。テクニックとは、SEO対策が上手いとか、タイトリングが上手いとかの技能的なものと解釈ください。

一方で、上手くないけど面白いものとは、「テクニックはそこまで感じられない、その人しか言えないことを言っているもの」。すなわち“中身のあるコンテンツ”と言えますね。

そしてこれからは、中身のあるものを作れる人が必要とされると思います。

例えば…

昨今だと「猫ミーム」がその好例だと思っています。

猫ミームとは、猫の映像素材を使って紙芝居のような形で表現するミームで、日本では2024年始めごろから話題になりました。以降、猫ミームはインターネットメディアにおける“表現スタイル”の1つとして定着し、今では世の中のあらゆることが猫ミームで解説される状況になっています。

(糖尿病のヤバさも猫ミームが最もわかりやすい)

猫ミーム動画はある意味、「中身で勝負しないといけない動画」の代表だと思っています。というのも猫ミームというのは、決まった猫の素材で全てを表現しないといけないので、「見かけ上の上手さ」が均質化しています。つまり猫ミームは上手い/上手くないが存在しない世界です。

ところが猫ミーム動画を何個か見続けていると、不思議なことに「面白い猫ミーム」と「面白くない猫ミーム」がハッキリと分かれるんですよね。

上手さはほぼ均一だが、面白さにバラツキが出てくる。これがまさにトピック選びや切り口といった、中身の差から来るものだと思うんです。

テクニックの知見を積むのに捉われて、中身から逃げてしまう。これが人類にとって最も損失の大きいことだと思います。AIの発展というのは、猫ミームのように見かけ上の上手い/上手くないが存在しない世界になり、中身で勝負しないといけない時が来るということだと思うんです。

メディアの形なんてAIで全部崩れる

僕は、メディアの形ごとに職業をつける世界をそろそろ終わらせないといけないと思っています。テキストコンテンツをする人を「編集者」「ライター」と呼び、動画コンテンツを作る人を「動画ディレクター」などと呼ぶ。これは、その人の仕事の範囲を勝手に決めて、可能性を閉ざす行為だと思っています。

テキストでも動画でも音声でも、アウトプットの形式はAIが生成してくれる時代がやって来ます。冒頭でも話した通り、そんな時代で大事なのは「自分はテキストコンテンツを作る人間である」という自覚からもう一歩だけ広げることでしょう。

コンテンツやメディアを通して何がしたいのか? 誰でも上手いコンテンツが作れる時代だからこそ、より一層大事になります。そして僕たち編集者はこれを考え続けるプロだと思うんです。

個人がAIを使いこなすことも大事ですが、それを「人類全員が持った」という前提に立った世界を想像すると、僕はメディアで働く人が持っている発想力はかなり強いと思います。

ということで次回は、編集者的な発想力を動画に応用する方法の話をしてみます。

【告知】コーチングを受けたい方を募集

最後まで読んでいただきありがとうございました。ここから告知になります。

3~4月から、個人向けのコーチングサービスをやろうと思っています。まずは僕のnoteをお読みになっている方から募集させて頂きますので、もし今回の話を実務レベルにまで落とし込みたいと思った方は下記のフォームよりご連絡くださいませ。

コーチングサロン『ボウビガ』
テクニック主義の働き方から脱却し、どんな時代になっても自走できる思考力・視点づくり力を鍛えるコーチングサービスです。

形式
オフライン(対面1回)+オンライン形式によるマンツーマンレッスン

対象
①現在、編集者やライター、動画編集者、YouTuber/SNS発信者などで活動しており、自分の活動の幅を広げたい意欲がある方。
②営業職やマーケター、広報など、会社員として働き今後個人のブランドを上げたい方。

カリキュラム内容(仮)

▷ 座学
・AI時代によって変化する「発信の価値」について
・「愛嬌のあるメディア」の作り方
・AI時代になっても重要な色彩理論(色の基本)について
など

▷ 実践
・AIを使いこなして良い文章を書く方法
・AI時代でも必要になる”最小限の”映像制作
・脱Adobeをし、テクニックに頼らない制作力を身につける
など

募集の条件
・首都圏 or 大阪圏にお住まいの方
・全6~8回、約1~2ヶ月程度のカリキュラム(週1程度)に参加できる方
・カリキュラム修了後にアンケートにお答えいただいたり、お仕事の状況などを伺ったりなどのやり取りができる方。

価格
10万円(+税)程度を想定

コーチプロフィール
山本勇磨(このnoteの著者)

1996年生まれ。2016年にギズモード・ジャパンの編集部員として入社。編集業務に携わり、2019年に動画事業(YouTubeチャンネルを活用した広告事業)を発足。これまでのテキストメディアに加えて、動画メディアとしてのビジネスを成功させる。現在は独立し、クリエイターやスタートアップを支援。

カリキュラムについては未定の部分も多いですが、応募された方の職業や状況なども考えながら、個人に合ったオーダーメイドの内容にしていきます。

もし少しでもご興味があれば、こちらのフォームを送信いただけると幸いです。もちろんフォームを送った時点で確定というわけではございませんので、もう少し詳しく知りたいなどの問い合わせもお待ちしております。

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