見出し画像

組織の創造性をマネジメントする

ペイミー取締役CFOの宮澤です。

「CFO Insights」として、CFOロールから見えるスタートアップ経営、新規事業立ち上げ、生成AI、組織づくり、ファイナンスなどをテーマに発信しています。

今回のテーマは、新規事業開発を念頭に置いた「組織の創造性のマネジメント」です。

新規事業開発は新たな価値を生み出すために、創造性(既存の物事に対するリフレーミング)が求められます。そして、それを組織的に、偶然を含む形でマネージする必要があります。

創造性とマネージメント(管理)は相反するように見えますが、それを統合的に取り扱うのが、経営という仕事なのかもしれません。

ペイミーで新規事業の立ち上げを行うにあたって、組織の創造性を最大化するために管理していることを3つの大項目、8つの小項目から書いてみます。

新規事業担当者、経営者、システムコーチの方々にとって、楽しんでいただける内容だと思うので、是非ともご覧くださいませ。

また、今、思いつくものを整理してみたものなので、永遠の暫定版です。


1.場の管理

会社という「場」をいかに創造性を豊かにマネージするか?という論点です。組織アジャイルの話ですね。試行錯誤のプロセス、偶然の取り込み、複利性の担保の三点から書いてみます。

1-1.試行錯誤のプロセス管理

新規事業の場では、最初から正解を分かることは不可能です。場合によっては、立てている問いから間違えていることがあるくらいです。そもそも、十分な正解に辿り着くこともあり得ません。やれることはプロセスの管理です。問い(目的)、検証仮説の立案、検証方法の設計、実施、振り返りという一連のプロセスはさまざまなテーマ、時間軸で回していくことが必要です。アジェンダ、会議体、プロジェクトの進捗測定・評価。「失敗はない、学び(解釈)があるだけだ」というのは真実です。組織アジャイルですね。

1-2.偶然の取り込みの管理

意図(目的と検証仮説)は持ちながらも、全てを計画することは不可能です。思い浮かぶ考えはもちろん、出来事・結果も何が起きるかは分かりません。プロジェクト周辺になにが起きるか、何を取り込むのかは偶然に委ねられているところもあります。もう少し言えば、偶然が起きない限り、成功はあり得ません。何を取り込むかは計画できませんが、偶然を取り込む余地(余白)は管理(確保)される必要があります。例えば、心理的安全性の確保や振り返りの場、通常ルーティンでは会わない人との対話が効くのかもしれません。

1-3.学習の複利性の管理

検証仮説と検証施策とわかったことの積み重ねは、複利的に効いてきます。notionを活用して、当該学習の履歴を残して、常に参照できるような状況にすることが重要です。また、知見は外部化するだけでなく、暗黙知として、メンバーの中、もしくはメンバー間に体験として、蓄積されていることにも注目すべきです。長い間、体験を共にしているメンバーで働くことで、「あの時の」と言う会話ができることも学習の複利性に繋がります。SECIモデルの話をしているのかもしれません。

2.事業・組織・財務の管理

事業づくりのために誰の何をどのように解決するかという事業面の話と、リソースとしての組織と財務の話を記載しています。

2-1.顧客開発とソリューション開発の管理

MVP/MSP、PMF、GTMなどの立ち上げのフェーズの中で、顧客開発とソリューション開発が両輪で機能している必要があります。留意点の一つが、表裏一体の顧客開発とソリューション開発の関係をロジックで説明し切ることの難しさです。つまり、発見した課題に対するソリューションは時にジャンプした発想が求められることや、ソリューションを当てることによって、初めて課題として認識がされるという関係性もあり得るということです。このような難しさがある中で、できるだけ最小単位で仮説検証を行い、振り返りを行う必要があります。

2-2.組織ケイパビリティの管理

必要ケイパビリティと保有ケイパビリティの評価と確保が重要です。やりたいことがあるから、必要なケイパビリティが判明することと、ケイパビリティがあるから、やりたいことが判明するという双方向にある関係があります。また、周囲の認識と実際にできることに齟齬があったり、人が成長することによるケイパビリティの拡大もしくは、他のジョブに転用可能なケイパビリティの活用の認識の難易度という話もあります。勉強の日々です。

2-3.財務の管理

新規事業を前提にした組織の創造性のマネジメントの話であるので、お金の話は必須です。いくら投資をし、いくらリターンとして得るのかの見立ては組織の目標に強く関係し、目標は組織の推進力になるので、とても重要です。また、目指す提供価値と単価感、LTV/CACといった話は、2-1の顧客とソリューション開発の話や2-2の組織のケイパビリティの話とも強く関係するテーマになります。

3.関係性と個人の管理

組織面の中でケイパビリティの話以外の、カルチャー的な要素やより個人にフォーカスした話を記載しています。

3-1.対話を通じた関係性の管理

創造性が豊かなシステムとして、組織が機能する必要があります。システムとして、最も重要な機能の一つが「検知」です。特に「違和感」の共有です。不都合な真実を発見した時に言い出しにくい空気をいかに作らないか、言い出せる関係性を作るかという話です。また、質の良い対立こそクリエイティビティの源泉とも言えますが、感情を伴うため、取り扱いは簡単ではありません。1on1やオフサイト合宿の活用による相互理解や、ポジションの違いによる場にセットされる無意識のルール(この人の話は聞かねばならないとか)に自覚的になることが難しいですが、役に立ちます。

3-2.個人という「場」の管理

個人の内面に関する話です。組織という"場"の創造性をマネジメントするために、"場"の最小単位である、自分の意識をいかにマネジメントするかが肝要です。具体的には、自分の意識がどんな状態にあるのかを自覚的になること、どのような感情、考えが自分の中に湧き上がっているのかを注意深く観察する力が求められます。もっと深く触れるならば、自分の無意識(思い込み)も含めて、自分自身にどのような願いがあるのかに常に自覚的になることです。その本質的な自分自身の願いとチームの願い(ミッション・やビジョン)の重なり合いがあればあるほど、組織の創造性にポジティブなインパクトを与えるはずです。

おわりに

2024年6月某日。

私の日記に「創造性をマネジメントする」という言葉が落とされ、数日経った時に、それが私のとても深い関心事だと確信しました。

以前から、私は「創造性を回復する」というコンセプトが大好きです。

創造性は身につけるものではない。誰もが創造的な存在であり、創造性は解放するにすぎない。というものです。

今の時代性に鑑みても、個人や組織が創造性を回復することが求められています。

私はペイミーの取り組みを通じて、この組織の創造性をマネジメントするというテーマに向き合い、実際に組織でお客様に価値を提供し、そのことについて多くの仲間たちと語らいたいと考えています。

読んでいただきありがとうございます。

いただいたサポートはクリエイターの支援(他のnoteへのサポート)に充てさせていただきます!クリエイティブばんざい。