湯れづれ草【私はいかにして死ぬほど恐れていた電気風呂を克服し、毎回嗜むようになったか】
今年の私の目標は、電気風呂に入れるようになることでした。「水と電気が一緒になるのがおっかない」と言って、死ぬまで洗濯機を使わず、洗濯板と洗い桶で服を洗っていた祖母の影響なのか、お湯に入って電気が流れると言うのがどうにも恐ろしくて長らく尻込みしていました(ちなみに私は洗濯機は使えます)。
心機一転、電気風呂に関するSNSの投稿を読み漁り、「ふむふむ電気風呂に入るときは脂肪がたくさんついたところから入ると刺激が弱まるのか。じゃあ私は全身大丈夫じゃん!やったー!って違う!」とセルフツッコミを入れつつ知識を蓄え、恐る恐るお尻からしずしずと電気風呂に入ってみたのが今年の6月。湧き水のようにあふれる達成感を東京の片隅で感じつつ、それ以来電気風呂を見かけるたびにドキドキしながら挑戦してきました。その中で多少なりともいくつかわかったことがあるので、私と同じように電気風呂に苦手意識を持っている人のためにまとめます。
電気風呂ふしぎ発見その1:
痛くない。
電気風呂ってビリビリ!って来て、痛いんじゃないだろうか?というのが、挑戦前の私の1番の恐怖ポイントでした。痛みに弱い上にビビリなので、他の人が普通に入ってるけど私が入ったら飛び上がるくらい痛いんでは…?しかもお風呂の中なので全裸。究極の無防備。前も後ろも上も下も守備力ゼロの状態で痛いのがやってきたら、もはや待つのは死のみ…くらい怯えてました。
でも実際問題電気風呂で痛がってる人見たことないし、電気のせいで負傷した人も見たことない。安全!!(当たり前だー!)
もし痛さに怯えてる人がいたら、心から伝えたい。大丈夫。刺激はあれど痛くないです。安心してください。スーパーひとしくん、預けていただいて大丈夫です。銭湯ふしぎ発見。
電気風呂ふしぎ発見その2:
思ったよりもお店ごとの強さの差がある
電気=デジタルと思い込むくらい文系脳の私は、電気風呂っつったら最適出力量が決まってて、どのお店に行っても同じ強さで均等に身体にほぐしを与えてくれるんだろう、くらいに思っていました。
お店の設計によって電極の配置も変わってくるし、使うメーカーも変わってくるし、分かんないけどお湯の温度とかにも影響されるのかな?どなたか教えてくれたら嬉しいです。とにかく、お店によって刺激の強さは千差万別らしいということが分かったのは、私がドキドキ半分、電気風呂に入れるようになった誇らしさでドヤ顔半分で入った4軒目の銭湯の電気風呂でした。
いつも通り後ろ向きでお尻からしずしず電気風呂スペースに入っていき、刺激を感じ始めながら更に進むと、突如、鳩尾を力自慢のボディビルダーに下から掴み上げられたみたいなものすごい刺激に「ヒュッ」という声が出ました。ヒュッて何だよ。その後も継続して鳩尾へお見舞いされる鈍重な刺激に翻弄されまくり。うっかり外に出してた肘がお湯に浸かったら今度は腕が痙攣しました。おおぅ。でも痛くは、ない…。お風呂から上がっても肌が赤くなってたりもしませんでした。
お店によってパルス変化や出力量が違うらしいということを知ったのは、銭湯について語るポッドキャストを聴いてからでした。
恐るべし電気風呂の世界の深さ…。
2022年9月時点で、私が体験した最強の電気風呂は川崎市の辰巳湯さんの電気風呂ですが、私がお湯をいただいたことのある銭湯はほんの一握り。まだまだ世界にはシゲキックス電気風呂がたくさんあると聞いています。世界は広く、深く、そして刺激的…。
電気風呂ふしぎ発見その3:
電極エリアはパキッとわかれている
電気風呂に入る前は、お湯の中だと、最初は何も感じず、電極エリアの外にもピリピリエリアが円形に広がってて、近付いただけでもビリッと来るんじゃないかと思って相当警戒していました。
でも厳戒態勢で実際に体験してみたら無刺激のエリアと電気刺激を感じるエリアが割とはっきり分かれていることを知りました。電極板の間に挟まれない限り、刺激を感じることはありません。どこで刺激が来るのかがあらかじめわかってるだけでも、心の準備ができますよね。
電気風呂だけじゃない、銭湯の魅力
ここまで電気風呂についてしつこく書いてきてなんですが、電気風呂は銭湯の魅力のごくごく一部に過ぎません。電気風呂のない銭湯だって、楽しめるポイントは山のようにあります。お風呂の種類が少なくても、大きいお風呂にたっぷりのお湯がたたえられているだけで十分に魅力的。
あったかいお湯にゆらりと身体を預けて、昼間のお仕事や勉強、家事や育児、やらなきゃいけないことで食いしばっていた歯をゆるめ、全身から緊張を手放してみたら、あれ、何だか気持ちいい…。お湯の中では身体に力を入れていることの方が難しいです。ゆるゆる、ふわふわ、石鹸の清潔な匂いとあたたかい湯気に包まれ、手足を思い切り伸ばしてからゆるめて、いま、この瞬間の気持ちよさを丁寧に味わってみてください!