縮める?伸ばす? 等尺性収縮とお尻
「筋肉が力を発揮する時」と聞いて思い浮かぶのは筋肉がキュッと縮まっている感じではないでしょうか?
例えば腕の力こぶ。
また、上体起こし(いわゆる腹筋運動)をする時は、一般的にはお腹の表面をキュッと縮めますね。
縮めなくても力は発揮できる
筋肉は、骨と骨の境目である関節を曲げる時に縮んで力を発揮しますが、関節を曲げず、また長さを変えずに力を発揮することもあります。
例えば腕を伸ばしたまま重い荷物を持っている時を想像してみてください。
腕を縮めているわけではないのにだんだん腕が疲れてきますね。
あるいはラグビーやアメフトのスクラムを思い浮かべてみましょう。
あちこち動かしていない、むしろ動いていない時に筋肉が力を発揮しています。
等尺性収縮
上で挙げた例のように、筋肉の長さを変えず(キュッと縮めず)、力を発揮する(収縮する)ことを等尺性収縮といいます。
プランクは二の腕やお腹のインナーマッスルを等尺性収縮させて鍛える代表的なエクササイズです。
「筋トレ」と言うと、筋肉を縮めることに目が行きがちですが、縮めずに等尺性収縮させることも大事なトレーニングであることを是非頭に入れておきましょう。
等尺性収縮の概念を持ってほしい場所
さて、等尺性収縮の概念をぜひ持ってほしい場所があります。
それはお尻。
お尻の筋肉は、関節を動かさないでも簡単にキュッと縮めることが可能です。
小尻にしたいなあ、と、お尻をキュッと1つにまとめるように力を入れていることはありませんか?
特に意識をしていなくても、意外に力が入ってしまっているのがお尻です。
例えば前屈をする時、ランジのようなストレッチをする時…
そんなつもりはないのにいつの間にか力が入りやすい場所、それがお尻です。
では逆に、お尻の筋肉を正当に縮めてよいのはどんな動きでしょう?
答えは脚を後ろに出す時。
しかもかなりの角度で上げないとお尻はキュッとは縮まりません。
歩く時に脚が後ろに行く程度ではほとんど縮まらず、しっかり縮めるためには股関節を外旋させ、15°以上上げる必要があります。
ちょうどバレエのアラベスクや後ろアティテュードで脚を上げる感じです。
普通に生活していたらなかなかしない動きですね…
では、お尻の筋肉を使うことは滅多にないのでしょうか?
答えは否、キュッと使うことはあまりないものの、等尺性収縮が大活躍しているのがお尻です。
お尻の表面の大きい筋肉、大臀筋は、骨盤が前に傾かないように等尺性収縮をして支えます。
歩いている時や立ち上がる時、階段を登る時などに転ばないようにバランスを取っているのがお尻の筋肉なのです。
試しに片脚立ちをしてみましょう。
この時、もしかすると軸脚側のお尻にぎゅっと力が入ってしまうかもしれません。
ここで、縮めず長いまま力を発揮する等尺性収縮を思い出してみてください。
お尻が長い感じをイメージしてみると、軸脚がふらつかず、すっと細いところに立てたのではないでしょうか?
また、骨盤を前に倒す、例えば前屈の動きは、お尻が伸びる動きです。
前屈する時、特に立位では、頭が前に行くのが怖くてもしかすると無意識にお尻にギュッと力が入ってしまうかもしれません。
お尻はウエストの方に長く伸びてくる〜とイメージすると前屈が進むのではないでしょうか?
お尻をいたわる
ついつい力を入れてしまいがちなお尻。
また、デスクワークなどで座っている時間が長いと、上半身の重みが乗ってしまうので、固まりやすい場所でもあります。
エクササイズする時、ヨガのポーズを取るときなどは、無意識にお尻に力を入れてしまっていないか、是非注意してみてくださいね。
そしてたまには固まりがちなお尻を伸ばしてあげましょう。
ヨガのワニのポーズや、
牛の顔のポーズ(脚だけ)
などはオススメです。
無理のない範囲で取り組んでみましょう。
お尻を上手に使うことは、バランス力アップにつながり、将来的に自分の脚で歩ける期間を長くします。
使い方を是非見直してみてください。
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