たぶんスランプ
夏のせいなのかスランプのせいなのか、長いお話が思いつかなくなっちゃったので、最近は断片ばかり書いている。大事なのは真剣にやらないこと。ふわっと頭によぎったことをとりあえず書くこと。一行だけでもよしとすること。これを守っていると作品(?)がたくさんできて達成感がうまれる。あー、今日もやったなあって心穏やかになるから、なにも思いつかなくても、なにかを書いたほうがいいんだね。以下断片。
灯台の明かりがせまる。
あなたは身を投げる。
カーテンをめくっても窓がない。
狩り
はるか昔からつづいている儀式
お前は走りなさい。
他のひとはもっとはやく走りなさい。
靴に入った砂を砂漠に返している兵隊
鏡にあなたの声が反響する
金魚すくいだけはやらなかった
ここから先は行かないほうがいい。
そのラジオはつけないほうがいい。
解体しろ!
満月の夜を!
実験をします
みんなが幸せになるための実験です
わたしは人間のコスプレをしています。
毎日、毎日、
現代文の現代語訳
駅の広告にまぎれているかもしれない
居座りつづけて結晶になってしまった。
誰かが人差し指を盗んだ。
文章のもつ特性なのかもしれないけど、全体的にネガティブなほうによりがちになって、それにちょっとホラーみが出てしまう。
こちらの本にある梨さんの文章は一行だけのときのほうが、切れ味がするどくて怖い気がする。なかには超短編もあってそっちも雰囲気があるのだけど、たぶん考えるラグみたいなのが出てしまうから、削ぎ落とされた文章の鮮烈さには叶わない。描写を重ねれば重ねるほど、恐怖は薄まってしまうのかもしれないな、と思いつつ、でも長くても怖い話はあって、なにが違うんだろう。
断片といえばカフカも読んだ。私はカフカは
一行とか数行の断片よりも、ひとつの短いお話になっているもののほうが好きだなって思う。とくに『法の前に』と『日々くり返されるできごと』が良かった。カフカ特有の時間感覚のあいまいさが表れていて、かつそのために理不尽。学校に遅刻しているのになかなか校舎にたどり着くことができない悪夢をみたことを思い出す。
私の書く断片はおそらく素描に近い。わっと書いて、細かいところは気にしない。けど、ものの輪郭をつかむ訓練みたいなことをやっているんだと思う。極めると自由律俳句っぽくなるんだろうな。たぶん。
話し声がする。
あなたがあなたに向かってしゃべる。
羽をおさえつけられた歌人
神様について詠まれている短歌
それがまとめられた歌集
あなたはその家の離れに行く。
知らない女の子がいてあなたに親しげに話しかけてくる。
目隠しをしながら神経衰弱をする。
赤いひかりのなかで交わされた約束は、ぜったいに果たされなければならない。
人形というよりも人間の剥製
なにもしないことよりもましなことがあるのなら、だれかおしえてほしい
スランプのあいだは言葉とあそぶことにします。
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