確固たる曖昧さ 『CALL ME BY YOUR NAME 君の名前で僕を呼んで』
曖昧さこそが欲望を駆り立てる。いくつもの部分が曖昧に描かれることによって作品全体が官能性に満ち、驚くほど静かな美しさで、私たちを魅了する。
君の名前で僕を呼んで、とオリヴァーが言うとき、〈君〉と〈僕〉との境界は曖昧にぼやける。イタリア語、フランス語、英語も曖昧に発話され、主人公エリオの性愛も決してオリヴァー/男性だけに限定されない。青春は、曖昧であるが故に、美しく、曖昧であるが故に残酷なのかもしれない。はっきりとしたものを前にして、青春はあまりにも脆く、崩れやすい。最期に「