23年にわたる任天堂との戦いが決着した話
昔からテレビゲームが好きだ。
物心ついたときから家にテレビゲームがあった。
特に記憶もないのにファミコン触っている写真もあったりしたので、むしろ物心つく前からファミコンをしている。
(姉とこの鬼太郎のゲームをやっている写真があった)
そんな自分の23年にわたる任天堂との戦いが昨日終戦したので記録しておきたい。
2020年9月16日が終戦記念日になった。
"FOR SUPER PLAYERS"
つまりその戦いはというと、スーパーマリオブラザーズ2のことだ。
今年はスーパーマリオ35周年。
マリオ64がswitchで遊べる「スーパーマリオ3Dコレクション」も明日発売など様々な企画が盛り上がりを見せているが、その一連の企画の一つとしてある発表がされた。
なんとスーパーマリオコレクションがNintendo Switchで無料で遊べるようになったのだ。
スーパーマリオコレクションはスーパーファミコンの人気ゲーム。
なんと「マリオ1」「2」「3」「USA」の4本がフルリメイク、セーブ機能付きで遊べるという、夢のようなゲームだ。
そしてその中のひとつのゲームが「スーパーマリオブラザーズ2」。
ご覧頂きたいのがタイトルに光り輝く「FOR SUPER PLAYERS」の文字。
ゲームの面白さを語る上で外せないテーマに難易度がありますが、この『スーパーマリオブラザーズ2』は、前作をクリアしたプレイヤー向けに開発されたということもあって、ゲームの難易度は非常に高くなっています。このことは、スーパーファミコンで発売された『スーパーマリオコレクション』でのタイトル画面に“FOR SUPER PLAYERS”と記されていることからも分かりますが、この難易度は、前作をクリアしたプレイヤーの挑戦心をよりかきたてたものです。(任天堂HPより)
ご存知の方も多いと思うが、このスーパーマリオブラザーズ2めちゃめちゃ難しい。
というかもう難しいを通り越して理不尽なレベルだ。
マリオと言えばキノコだが、とるとしぬ毒キノコがあったり、
正しい道を通らないと延々とゴールできない迷路の面があったり、
クッパと戦うときに謎の壁と火の玉グルグルがあって踏みにいけなかったり、
空中を縦に上下運動するパタパタを踏んで
ブロックに隠された豆の木を見つけ出し
一度通り過ぎ陸地についたあと
逆方向に戻って登らないと進めなくて、
ここを見落とすとゴールできなかったり・・・
これはもう任天堂とPLAYERとの戦い、戦争。
この戦いを勝ち抜いた者だけが任天堂にSUPER PLAYERと言われる資格を持つことができるということだ。
ぜんぜんクリアできなかったマリオ2
マリオは本当にすごいゲームで、出来ないなりに動かしてるだけで面白い。
8歳の夏にはじめてこのゲームと出会った私は、1日1時間のゲーム・タイムのなかで、マリオコレクションを起動しこれでもかとマリオを動かしていた。
もちろんヘタクソで、マリオ2はもちろん1もクリアできなかった。
そのあと中学生になっても、高校生になっても、大学生になっても、ちょいちょいスーファミを引っ張り出してきて、マリオコレクションで遊んでいた。
そしていつしかマリオ1をクリアし、マリオ3もクリアし、マリオUSAもクリアしていた。
しかしどうしても、スーパーマリオブラザーズ2だけはクリアできなかった。もちろん、クリアできるわけないだろ!という難易度ではあるのだが。
そんなこんなで23年が経ち、今年の9月3日にswitchでスーパーマリオコレクションが無料配信される運びとなった。
ついにキノコ王国を救う
そして運命の20年9月16日。
雲を越え・・・
海を越え・・・
最後の偽クッパを倒し・・・
理不尽な壁と火の玉グルグルに守られたクッパにたどり着き・・・
キノコ王国を救った。
SUPER PLAYERになれなかった私
しかしこの瞬間、私は任天堂との23年間の戦いに永遠に敗北した。
「勝ってなくても負けを認めていなければ負けじゃない」みたいなヘリクツがあるが、私は23年間それを地で行っていた。
すなわち「まだマリオ2をクリアしていないけど、諦めてないからまだクリアできる可能性はある」という姿勢をとっていたのだ。
そしてついに先ほどクリアしたわけだが、
実のところこのクリア、自分の実力ではない。
思いっきり文明の利器を使ってゴールしたのだ。
Googleでループ面の解き方を調べ・・・
もちろんワープを使い・・・・・
挙句の果てには穴に落ちるたびにswitchの巻き戻し機能を使い・・・・
そしてキノコ王国を救った。
つまりゲームはゴールしたものの、私は自力でクリアするのを諦めた。
諦めなければ負けない戦いで諦めてしまった。
23年の戦いを経て、ついに私はFOR SUPER PLAYERSと認められる人間にはなれなかった。
永遠にSUPER PLAYERになれる機会を失った、しかも自分から捨ててしまったのだ。
敗北を受け入れて幸せに気付く
しかしながら23年に及ぶ戦いが敗戦で終わった後、なんだか妙にすがすがしい気持ちになった。
自分自身がFOR SUPER PLAYERSに値する人間ではなかったことを、ようやく受け入れることが出来たようだ。
文明の利器を使いながらも一応ゴールするという儀式のなかで、私はそれを受け入れていくことが出来た。
その開き直った中での陸・海・空を越える大冒険、なんと楽しかったことか。
うまく言葉にできないが、なんだかこの23年間の戦いを通じて
別にSUPER PLAYERじゃなくても生きてていいんだ、
SUPER PLAYERじゃなくてもマリオ2を楽しんでいいんだ、という気持ちがしみじみと湧いてきた。
SUPER PLAYERじゃなくたって、マリオとルイージは電源を付けたらいつでも会うことができて、そして一緒に冒険に飛び出してくれる。
ずっと目の前にあった幸せ。ゲームプレイは“クリアできない途中”ではなく、その挑戦そのものが、本当はずっと楽しかったのだ。
そしてこれからも幸せはいつもすぐそばにあるに違いない。
大切なことはみんなマリオから学んだ。
93年発売のスーパーマリオコレクションから27年。
86年発売のスーパーマリオブラザーズ2原作からは34年。
私よりも長くFOR SUPER PLAYERSをかけた戦いを継続中の方も、
きっといらっしゃるのではないだろうか。
スーパーマリオブラザーズ35周年の2020年。ケリをつけてみませんか。