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【旅日記】一足早くストーブ列車に乗る

津軽鉄道のストーブ列車は、メディアでだいぶ取り上げられたこともあって最近はだいぶ有名になってきました。鉄道好きではなくても、旅好きならストーブ列車というのを耳にしたりニュースや雑誌の記事で目にしたことあるのではないでしょうか。

そんなストーブ列車、津軽の冬、地吹雪が舞う中走る列車の中で暖を取るために始まったものです。ですから、運行季節はもちろん冬!
通常は、12月1日から3月31日までの運行となっています。

ですが、先日鉄道好きのとあるサークルで貸切列車を仕立てたのに、縁がうあって声がかかりましたので、ストーブ列車を楽しんできました。

11月ですから、津軽とはいえ、まだ寒いというほどの気候ではありませんでしたが、これも貸切時の申し込みによって(有料)、季節でなくてもストーブを焚いてくれるんだそうで、この日は文字どおりストーブ列車となりました。

津軽鉄道の始発駅である津軽五所川原駅から終点の津軽中里駅までは20.7キロ。列車はのんびりと約45分ほどで走ります。が乗っているとそんなにゆっくりという印象はないです。

ストーブ列車は、以前は機関車がストーブを設置した客車を牽引していたのですが、機関車の老朽化もあって、近年ではふだん旅客を乗せて走っている単行のディーゼルカーが客車も引っ張るという形で運行されることが多いようで、この日もそういう形態でした。つまり、定期の旅客列車に客車をぶら下げて走ります。
機関車でなく普通のディーゼルカーにそんなパワーがあるのか、というところが気になりますが、一両だけということと、津軽鉄道は全線にわたってほぼ平坦で勾配がほとんどないことから可能なようで、運輸局の承認も得ているとか。ちなみに、客車2両を牽引する際は、ディーゼルカーも2両で対応するそうです。

ストーブ列車の客車

津軽五所川原のホームから客車内に入ると、もうストーブが焚かれていました。「ストーブ」とは、もちろん石炭ストーブです。今やストーブ列車どころか石炭ストーブ自体が希少価値ですよね。私が子どもの頃は、小学校の教室の暖房はまだ石炭ストーブで、冬の日直の仕事のひとつが用務員室前に並べられた石炭入りの容器を毎朝教室まで運ぶことでした。重いんですよ。
そんな石炭入れがストーブの脇に置かれていました。発車前に車掌さんが石炭をくべて火力を強くしてくれました。

石炭ストーブ

そんなわけで、冬はここが特等席なんでしょうが、ストーブの周囲の座席は熱くて大変です。
火力を強くした理由は、我慢大会をすることが目的ではなく、ストーブの上でスルメを焼くためです。

こんな感じでスルメを焼きます

定期列車の場合は、津軽観光アテンダントの方が焼いてくれるそうですが、今回は幹事のひとりがスルメ担当として、次々とスルメを焼いて、各座席に届けてくれました。日本酒のアテにすれば最高ですよね!実際日本酒の小さなボトルを持ち込んでいる友人もおりました。

ストーブとスルメを堪能しているうちに、終着津軽中里駅に到着。折り返し時間が1時間近くあるので小休止です。
列車のほうも、前に連結されていたディーゼルカーを切り離して反対側、つまり帰りの進行方向に取り付ける作業が行われました。ちなみに、客車列車を牽引する機関車を折り返し駅で、反対向きに付け替える作業のことを「機回し」と言います。客車の周りを半周する形になるからつけられた言葉なのでしょうか。昔はほぼどこの終着駅にも、この機回しをするための線路設備があったものですが、客車列車がほぼ絶滅しつつある現在では、機回しの設備を持つ終着駅は少なくなりました。そういう意味でも津軽鉄道やこの津軽中里駅は貴重です。

津軽中里駅で機回し中のディーゼルカー

帰りの列車は、午後も遅い時間帯となったため、金木を出発する頃には日が暮れてきました。ちょうど東の空にはまん丸いお月さまが出てきて、西の空は夕焼けと岩木山のシルエットという素敵な夕暮れの中、ちょっぴりと夜行列車の雰囲気も醸し出しながらストーブ列車は津軽五所川原駅をめざしてガタゴトと走りました。

ストーブ列車から見る夕日
夕焼けにシルエットの岩木山
ストーブ列車と満月

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