0歳児のお絵描きに鉛筆を使う理由
Q.なぜ鉛筆(6B)を使うんですか?(0歳児担任)
若い保育士さんから質問を頂きました。
0歳児の描画で6Bの鉛筆をつかってねって話していたのを覚えていてくれた若い保育士の子から、なぜですか?と質問をもらいました。
もう、ほんとにかわいい💜
こういうかわいこちゃんには全振りで教えちゃうよね。
保育中は、ほんの少しだけ、なんで6Bのえんぴつでやってほしいのかって話したんだけど、さらっと流したのよ。
(私、異動になったので、いまは別のところで勤務しているのだけど、思い出して連絡をしてくれました)
なんでだろう?って思えるのってすごいよね。
鉛筆(6B)を使ってほしい理由
大切にしてほしい2つのPOINTがあります。
POINT①体の準備
POINT②心の準備
POINT①体の準備について
体の状態が整っているかどうか。
ここまでの発達の段階で、目、手首、腕、肩の動きはどうか。
鉛筆の持ち方は?(指、手のひら、手首の使い方)
腕全体の操作は?(手首、肘、肩どこを使って操作しているか)
目の動きは?(手と目の連動がうまくいているか)
等です。
これらが整ってから行うというよりは、鉛筆で描いてみたときに、どういう発達の状態にこどもたちがいるかというのをみていくと、それぞれのこどもたちの発達の課題が見えてくる。私達が、こどものすばらしい育ちを見ていく一つの基準として活用できる。
POINT②心の準
「かく」ことへの興味があるか。(ペンや鉛筆そのものへの興味ではなく、「かく」という“行為”への興味)
こどもたちの生活の中で、「かく」という行為をみたことがあるか。
鉛筆を口にいれて、鉛筆そのものを確かめるようなところにいる児はまだ少しはやいかもしれない。「かく」行為をみる等の実体験から行う。
もちろん、まだまだつい、口に…ということはよくある。
ここでとても大切なのは、0歳児にしても1歳児にしても、こどもの育ちの中で、新しいことをやってみたいという気持ちや、楽しいという感情とか、それまでの少ない経験の中で感じてきたかどうか。(描くことがと限定するのではなく、そのこの生きた道の中で、そういう感情を味わう経験が、どのくらい保証されてきたかという意味。こどもたちは感情そのものを知らないので、実体験を通してたくさんの感情を感じ、分化させてきたかどうか。)
そして、担任との関係の中に、安心感を感じて、自分自身を成長させようというスイッチが入っているか、つまり、こどもと担任との間の愛着関係や信頼関係が築かれているかどうか)が、活動(遊びを含めた生活全て)の中でこどもたちが、担任のやりたいことを受け入れて、活動に向かってくれるかどうかが大きく違ってくる。
そういうこどものすばらしい育ちがあることを踏まえたうえで、描画活動を見ていってほしいです。
以上を押さえた上で、鉛筆による描画活動を行う。
で、
なぜ、6Bのえんぴつなのか
①単色
②握りやすさ
③やわらかさ
①白い紙に黒い線のコントラストがはっきり見えるから。
子どもの目の機能、認知の進み具合にもよるが、できればはじめからいろいろな色を楽しむより先に、鉛筆のおもしろさ(描くことができることの発見とかを味わわせたい)
いろいろな色があると、「かく」ことよりも色が紙につくことが面白くなる傾向がある。(これは目的によって違ってくるよ。↑色遊びが目的ならべつにいいとおもうけど…)
②③6Bであればなんでもいいわけではない。
握りやすい形、太さ、長さ。一般的な細さの鉛筆は細すぎるし、長すぎるのも操作しにくい。まだまだ、器用さが足りないので、できれば10センチ程度の長さで、太さも通常より太いもの、可能なら6角形がいいけど…。なかなかないので、三角形でも。メーカーによってはあるから探してみて!
例えばこんな感じ
紙も、鉛筆も100均はNG。操作性がわるいから。
書くという行為自体を楽しめない可能性があるので、できるだけブランド品を使うこと!
6Bがいいのは、筆圧がなくても比較的濃く、太い線が書けるから。
自分の体をつかって、自分が道具を操作することで、違う形になるなど、外界に対して操作をすることができる自分自身の体を発見し、そこに楽しさや、面白さを感じ、またやってみたいという意欲を育てる。
描画活動は、その技能の習得は「手段」であって、もちろんそれはすごく大切。
でも、描画活動の「目的」は、表現力を育てることにある。
保育指針にあるように、基礎力(基本の学力や、技能の習得)はとても大事。そこがなければ表現する力も育たないので絶対に必要なのだけど…
ではなぜ、表現力が必要なのか。
社会の中で生きて行くためには、どんな形でもいいから、自分自身のことを表現し、相手の表現することを受け入れる必要がある。
そのために、目に見えない自分の思い、感情に輪郭を付けて、伝えていく必要がある。表現力が育つことで、自分自身を知り、自分のことをわかって、何らかの方法で伝える。そしてまた、相手の思いを想像し、相手を理解していく。
子どもの成長は、どこか一面だけを切り取って考えることはできないので、表面からだけでなく、多面的にみて、その真理をしっかりとらえてこどもにむきあっていくことが大切なんじゃないかなあ。
と。まあ、こんな感じでお返事したのよ。
もちろん、人の成長はとても多面的で、わたしにはまだまだ足りないところはたくさんあると思う。
私はただの保育士で、体のことや、発達について専門的に学んだわけではない。
でもね、何年も012歳の子どもたちと向き合ってきた毎日の経験は、たくさんの気付きをくれたのよ。
こうやって、学びを深めようとしてくれる若い保育士のかわいこちゃんにも出会えるしね。
本当に尊い仕事です。
あなたの質問にお答えします。
日々の保育で、?なんでなん???ってあったら、ぜひ聞いてください。
なんでもお答えしちゃう♡