算数少人数指導と習熟度別指導の違いについて考える
少人数指導とは学級の人数よりも少ない人数での授業のことを言います。
例えば算数で言うと、勉強が苦手な子(クラスで4,5人)を取り出して、少ない人数で授業をします。算数は特に個人差も大きく積み重ねの勉強なので、九九が出来ない子にとって5年生の勉強は大変です。英語で授業を受けているようなものです。「算数を受けたくない」と言って保健室に行く子もいます。そんな子に「勉強しろ」「最後まで頑張れ」と言っても出来ないのは当たり前で、最終的には答えを写すしかありません。その子達の気持ちは痛いほど分かりますが、どうしようも出来ない現状があります。
他にもできない子はたくさんいるので、勉強が苦手な子に、教師がつきっきりで教えることはできません。静かな子なら尚更です。ですが、少人数になると少ない人数なので、そんな子達も輝くことができるのです。「勉強が分かった」「楽しい」と言って教室に戻ってくる子達を見ると、自己肯定感も高くなり良いなと思います。クラスでの授業も4,5人抜けるだけで、雰囲気も大きく違い、担任の負担もかなり減ります。
「教員の数が少ない」と言われている今、算数専科の先生を確保するのは大変ですが、少人数指導の授業のあり方は進んで取り組むべきだと思っています。
習熟度別指導は、例えば学年が3クラスあるとします。単元前にレディネステストを行いA~Dのクラス分けをし、学年+専科で合わせて4人の先生で算数の授業をします。Aクラスの子は塾で先取り学習をしている子達が多いので、どんどん学習を進めたり、発展学習を取り入れたりします。Dの子達は算数が苦手なので、その子達に合わせてゆっくりと学習をします。
ですが、今の算数授業のあり方としては、A~Dクラスの授業がほとんど一緒なことが多いです。専科の先生も、算数を専門としている訳ではないので、ほぼ指導書通りの授業をします。学年の先生たちも、教材研究をする時間がないので、同じような展開になってしまうことがほとんどです。
また、子どもたちはA~Dのクラスを選択しますが、「どの先生が分かりやすいか」といいうのは、子どもたちがよく分かっているので、先生を見て選んでいるケースもあります。
「クラスで授業をするよりはまし」「学年がまざる事によって子ども理解にもつながる」という教員側の声もありますが、学年全員で算数の時間を合わせているので、一人でも休んだり出張だったりすると、この形式での授業は成立しません。習熟度別指導で学力が上がっているのかは検討する余地があると思います。
私は習熟度別指導はやる必要はないと思っていますが、苦手な子を4,5人取り出して行う少人数指導は賛成です。
実際に保護者の方からも別室での授業をありがたく感じている親もいました。今後も算数を担任一人で行うのは限界がある気がします。算数ではない違う教科で輝く子達もいますが、算数の授業は毎日あり、気が重くなっている子もいます。その子達の居場所作りが大事なのではないかと思います。