留置所日記6/5
検察庁事情聴取。事実確認。LINEの写真データを見せられた。
認めざるを得ない事実に関しては首を縦に振る。それだけ。特に話すことは無かった。調書も書かれず。
朝食を食ってしばらくしてから留置所を出発した。隣に四歳年下の女の子が座った。まつエクをしていて、髪はショート。勾留は20日を3回目、つまり一か月ここにいるらしい。7と8は一人部屋で、5と6は2人部屋なはずだと教えてくれた。
今ちらっと見た空は白かったが、外に出たときは晴れていた。天気が良くて良かったと、その子は言った。やっぱり外は恋しくなるものだろうな。
検察庁の待合室は、留置所とさして変わらない。畳の部屋に当たったことがないが、いつも自分が入る待合室は、椅子が七席ある、硬い床の留置室という感じ。
今日は昼をまたいだのでそこで飯を食ったが、醤油ソースが貰えなかった。その代わりだかは知らないが、わりとしっかりと味のついた飯だった。
物品購入では基本的に指定されたものか大学ノートしか買わないので、どんなものをどんなタイミングで使わせてもらえるのかはわからない。
さっき看守に声をかけてみたら、国語辞典を貸してもらえた。図書室があるのだ。
哲学書とかはないのかな、心理学系とか。
検事さんは勾留の延長を請求する方向だと言った。と、言うことはまた10日延長。まぁ、急いで出ていく理由がない、と言訳ではないが、仕方のないことだしそこまでショックを受けたわけではない。
ただ、自分には6月はこないということだ。
外にはアジサイが咲いていて、そろそろ梅雨時だな、と思った。
来月中に出られたらラッキーってとこか。
8月とか、9月とか、外にいられたらいいなぁ。また去年のように、夏を感じられたらいいな。
護送車の中で一緒になった子は、ここのほとんどの人は薬物関係で捕まっているのだろうと言った。自分もなんとなく、きっとそうだろうなと思っている。
昨夜だったかいつだったか、誰かが女性職員と言い合いをしていた。それでお互い声が大きくなっていって、と言い合いをしていた。それでお互い声が大きくなっていって、男性職員に「トーンを落とせ!!」と叱られる始末。
囚人が叱られるならまだしも、「お互い」と言われている以上、その女性職員も叱られているのだ。大人げないというか。
喧嘩とか大きな声での言い合いなどというものは、レベル感が同じもの同士でしかおこらない。捕まる側と、捕まえる側のレベルが同じと言うのは、なんとも言えない気分である。
今朝はデパスしか飲まなかった。ブロナンセリンを断った。
昨日は結局、ブロナンセリンで眠かったのか、ただ単に寝不足だったのかはわからないが、今日は検察庁に行くのが午前中だと知っていたのでデパスだけにしておいたのだ。今日の夜、夕食後に飲んでみて眠くなったらそいつのせいだ。
眠剤に関してはロヒプノール2mgでとりあえずはなんとかなりそう。しばらくきちんと薬を飲んでいなかったので、よく効いてくれた。眠れるって、幸せ。
昨日、夕食後にほとんどノートを書いていないところを見ると、ほとんど寝ていたんだろう。眠すぎてたえられないという眠気。たまにくるあの感じ。
仕事仲間に伝えて欲しいことをまとめたので、夕食前に弁護士に電話してもらおう。
結局、障害者手帳を更新できなかった。落ち着いたら病院にいって、診断書出してもらって、手帳取り直さなきゃ。障害年金欲しいし。
囚人が部屋から出る時、「○号解錠○名入りまーす!」「「○名ー!!」」とか、入る時は「○号解錠○名入りまーす!」「「○名ー!!」」とか、その度に「○号施錠よーし!」「「施錠よーし!!」」とか言う。体育会系だなぁ、と思う。
「食事準備ー!」「食事開始ー!」「食事終了ー!」「投薬開始ー!」「洗面開始ー!」「洗面終了ー!」「検室開始ー!」「検室終了ー!」とか。
「食事開始ー!」の掛け声のあとは「「いただきます!!」」ってなる。
勿論終了は「「ごちそうさまでしたー!!」」。幼稚園みたいだね。
手錠には「中」と「小」と何も書いてないやつがあって、場面によって使うものが違うらしい。「小」手錠を使わないとどこまでも閉まってしまう自分の細い手首。おかげで手首の周りの皮がボロボロになった。
マスクは物品購入で実費で買えるが、つけずに検察庁に取り調べに行くと、タダで支給される。しかも、ちゃんとつけたまま持って帰ってくれば、留置所で保管してくれる。ラッキー。
どうして勾留延長されるようなことがあるんだろうか。
喋ることは全部喋ったし、これ以上何を聞くことがあるのか。
聞くことがまだあるとしたら、さっさと聞いてくれればいい。二日に一回の取り調べでどれだけ進んでいるのか。毎日来るならまだしも。
病院に連れて行ってくれた警察官は、「病名は?」とか聞いてた。初診の精神科で病名なんてつけられるはずがないだろうに。鬱ならまだしも。
何も聞かされず、何も知らず、ペラペラと薬の名前を俺が話しているのを不思議そうに見ながら熱心にメモをとっていた。
診察が終わって待っている間、「薬、やってたのか?」と聞いてきた。これは、今回自分が捕まった理由とは関係のないところでの質問なことは明らかだった。
「精神病患者は違法薬物なんてしなくても、病院に通って薬飲んでる時点でみんなヤク中ですよ。」と言っておいた。
心が健康な人は、死にたいとか思わないのだろうか。
意味もなく涙がこぼれたり、暴れだしそうになったり、自分を殺したくなったり、痛みを欲したりしないのだろうか。
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