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【専門課程レポート】「連ゼミ」第5期 第4回目講義


こんにちは!
次世代まちづくりスクール「連ゼミ」TA(ティーチングアシスタント)の竹屋です。
新年一発目、1/16(月)に行われた第5期「連ゼミ」の第4回ゼミの模様をレポートします。

これまでに紹介した事例や本についての感想や近況報告について、和気あいあいとスタートしました。
連教授より、「現地に行くのは大事なのでなるべくいろんな場所に行くように」とアドバイスを頂きました。


さて、本ゼミも折り返しに入りました。
本日のゼミのメインテーマは「開放系リノベ」です。
主に“まちに開いたリノベーション”の事例を紹介します。
リノベーションした建物がまちとどういう関係を持つか、を考えるのは大事です。
そこには様々な手法・考え方・効果があります。
ご紹介していく前に、前段の重要なお話をします。

写真はボーっと見ない。自分がスキャナーになったつもりで、脳みそに保存していく。


まずは写真の見方についてのポイントです。
それは何かと言うと「写真はボーっと見ない。自分がスキャナーになったつもりで、脳みそに保存していく。」よいうことです。

良いと思える写真の「”どこ”が良かったのか」「”なぜ”良かったのか」というのを言語化できるようにするのは非常に大事です。
空間を掴むための準備体操として“都市と建築のパブリックスペース”という本について紹介します。

この本はオランダの建築家であるヘルマン・ヘルツベルハーが書いた本で、様々な事例が取り上げられています。
この本を通じて分かる大事なことは「些細なことに敏感になる」ということです。
ヘルマン・ヘルツベルハーという建築家は、“中間領域”という概念を創出した建築家でもあります。
“中間領域”というのは、建物の内側と外側の間にあるような空間、あるいは空間と空間が切り替わるところの間にあるところで、日本でいう土間や縁側にあたる場所を言います。
これを作るのが大事になってきます。

その他に、様々な窓辺空間を載せている、塚本由晴研究室の“Window scape”という本も参考にしてみてください。

木造建築に関する開放系リノベ事例


それでは事例紹介に移ります。
木造建築に関する事例で、全部で3事例を紹介します。

①    千鳥文化(大阪)(https://chishima-foundation.com/cruising/5-2

物件を分析するうえで、既存建物の良いところを発見するのは非常に大事です。
マイナスなところはあればあるほど、それだけその建物の改修費用が嵩むため、既存建物の良いところを見つける姿勢が上手な改修には必要となります。

ここで、建物の改修前後の写真をいくつか見て分析・ディスカッションを実施しました。

千鳥文化の事例においては、既存の建物を保存するために耐震補強として内側に壁を作るという二重壁を採用しました。
これは内側に新築で新しい壁を作り、既存の建物を支えているという改修方法のため、コストがとてもかかりました。

②    casaco(神奈川/横浜)(https://tomito.jp/projects/casaco

横浜の丘の頂上付近に建つ2軒の長屋を改修し、シェアサロン+シェアハウス+ホームステイの滞在先とするプロジェクトの事例です。
ポイントの一つ目は目線で、道に立った時と中に座った時で目線の高さが同じくらいになるように調整しています。二つ目は改修方法で、奥まで見通せるように改修・補強の仕方を工夫しています。
段階的にまちへと開かれることが分かる、非常に良い事例です。

③    笑門の家(東京/大田区)(https://www.furuyadesign.com/works/shomon-no-ie/

古谷俊一氏が建築した賃貸住宅の事例で、街角にインナーガーデンを設け、そこから住まい手の営みがそのまま滲み出して街角を形成しています。
増築していて、ガラスで囲まれた空間既存のものと合わせながら作られました。

上記3つの事例について紹介しました。

“1階をひらく”事例

続いては、“1階をひらく”事例を2つ紹介します。

①    高円寺アパートメント(東京/高円寺)(https://www.jrtk.jp/r-lieto/koenji/

株式会社オープン・エーが手掛けており、JRの社宅をリノベした事例です。
建物の1階はすべて店舗で、ここで小商いができるようになっています。建物の1階はまちに対してインパクトが大きいため、取り組む価値は非常に大きいです。
(参考図書:小商い建築、まちを動かす!(http://yuubooks.net/koakinai/))

②    喫茶ランドリー(東京/森下)(http://kissalaundry.com/

ブルースタジオと石井大吾氏の共同建築で、元手袋卸屋さんの作業場をリノベーションした事例です。
洗濯機・乾燥機やミシン・アイロンを備えた「まちの家事室」付きの喫茶店で、コンセプトは「どんなひとにも自由なくつろぎ」です。まちに暮らすあまねく人々に来ていただきける“私設公民館”のような場所になれば、という想いのもとにつくられたものです。
(参考図書:マイパブリックとグランドレベル(https://www.shobunsha.co.jp/?p=4530)、1階革命(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794973245))

“段階的にひらく“事例

最後に、“段階的にひらく”事例を1つ紹介します。
①    ピン!ひらはらばし(神奈川/横浜)(https://mokuchin-recipe.jp/work/41/
築44年の木賃アパートの改修事例です。既存は1階に店舗が4戸、2階に賃貸住居が4戸あり、1階の既存テナントであった電気屋と美容院を残し、全体を改修することが求められモクチンレシピを組み合わせて改修が実施しています。屋根を全部葺き替えると過半以上になるので注意が必要です。

まとめ

“ひらくか”“とじるか”だけではなく、ひらくだけでも様々なひらき方がある、というのを頭に入れておき、どういう風に空間が作られているかを分析できるようになる必要があります。

写真もただ眺めて見るだけでなく、何が良いところなのか、なぜ良いと感じるのかをしっかり言語化できることが大事で、空き家リノベを行う上でも非常に重要なスキルです。

次回は参加型リノベについてのゼミです。

第4回ゼミを振り返って

感性を磨くことがリノベには大事なんだな、というのを率直に感じたゼミでした。
趣味でカメラをよく使うのですが、旅先や日常で写真を撮るときにもよく感じたままに撮ることを大事にしていて、まさにこれが空き家活用に活きてくる気がしました。
また、会社の採用活動にて就職活動をしている学生によくする話の一部で、「“想像力”と“創造力”が大事」と伝えるのですが、これも空き家活用には必要なスキルだと感じました。


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https://hello-renovation.jp/machi-school/news_detail/157

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