18年前の北陸線の旅②in日本海ひすいライン
1ヶ月越しに出会えた「観光急行」。前座の普通列車を楽しんだら、ここからは真打。観光急行に乗って、市振を目指す。
北陸tabiwaおでかけパス
妙高高原方面からここまでは現金できっぷを買ってたが、直江津から市振方面はネットで買った乗り放題きっぷを使う。JR西日本や北陸の第三セクターが乗り放題。お土産物に使えるクーポンも付いていて、スマホ1個で完結する。
追加料金で「能登かがり火」「ひだ」などの特急列車にも乗れる。特急「しらゆき」だけ禁止事項になってるが、「急行も行けるんちゃう?」と睨んで使うことに。
ちなみに上越妙高〜妙高高原間は使えない。
幕回し祭り
11時15分に開扉。同時に幕も回り始めた。
主に使う「直江津」「市振」の他、回す途中にはこの塗装の急行列車が行き先にしていた駅がラインナップされている。
上野や宮崎、広島、大阪など北陸、関西、山陽、九州各方面が続々と出てくる。こういうときの鉄道ファンはお祭りの如く興奮している。
「平」「西鹿児島」など改名して消えた駅名も名を連ねる。僕より1回り上の鉄道ファンは発狂しそうだ。
個人的に興奮したのが「米原」と「敦賀」。滋賀に住んでいた小3ごろの普通列車が表示していた懐かしいやつだ。今の車両でも見れるが、電光表示ではない独特の書体が僕を童心に帰らせる。
四五五神社
「クハ455」の運転席側には四五五神社がある。電車をモチーフにしたワゴン型社殿があり、お賽銭が入れられるようになっている。
ご利益は「健康祈願」「延命長寿」「大願成就」。廃車の危機や車検費用の不足などの困難を乗り越えて、長らえてきた車両の過去が乗客、もとい参拝者に幸せをもたらしてくれるそう。
オンラインおみくじ
ネット上にもオンラインの「四五五神社」がある。最低「455円」を納めるとおみくじが引けて、スマホ用壁紙がいただける。
吊り広告
車内の吊り広告は国鉄で実際にあったものが掲出されている。「DISCOVER JAPAN」「L特急」など懐かしいワードが並ぶ。
「240円の乗り放題きっぷ」
「30円の近距離きっぷ」などのワードを見ると今の物価高と相反する驚き。もし、本当にタイムスリップできたなら、同じことを思ってビビりそう。
11:31 直江津発車
直江津駅を出発。いよいよこの列車のホームグラウンド「旧北陸本線」こと「日本海ひすいライン」を駆け抜ける。
飛ばすところは飛ばすが、海が見える駅ではサービス減速を行う。個人的にはずっと最高速度がいいが、こういうサービスは楽しませる要素だ。
急行券拝見でトラブル
女性の車掌が急行券と乗車券の拝見に来た。しかし、スマホの乗り放題が表示できないトラブルに見舞われた。トンネル内では圏外になってしまい、見せようにも見せられない。
「確認メール見せてもらえますか?」と探してみるも見つからず大焦り。後から調べても、確認メールの設定ができていなかった。
電波復活
あたふたしてるとトンネルを抜け出し、電波復活無事に確認が取れて、急行券も穴を開けてもらった。新幹線や地下鉄ではトンネルであっても当たり前のように電波が入るが、ローカル路線の長大トンネルだとこんなことも起きてしまう。現代人にはパニックだ。
記念乗車証
その後、乗車記念証が乗客全員に配布された。この記事を綴ってるとあることに気づいた。
あれ?急行1号じゃなかったっけ?
カードには「急行2号」と書いてあるが、僕が乗ってたのは「急行1号」だった。あの後2号にも乗ったが、気づかなかった。1号はホンマはどんなデザインやったんや?
まぁ、もらえるだけええけど。
11:53 能生駅
能生駅に停車。えちごトキめき鉄道公式の時刻表には通過扱いで記載されているが、一時的に停車する。スーパーマリオの隠しステージみたい。
通過駅にあえて停車するこのサービスは過去に起きた珍事件をパロディしているよう。
能生騒動
1961年(昭和36年)10月、ダイヤ改正で大阪〜青森間の特急「白鳥」がデビュー。その特急の時刻表に「能生駅」に止まることが記載された。
当時の急行すら止まらない駅に特急が止まると聞いた地元住民は大喜び。乗務員に贈呈する花束を用意したり、花束を贈呈する「ミス能生」を選んだり、気合が入っていた。
デビュー当日、特急が停車。いざおもてなしのときが来た。しかし、扉が開かずそのまま発車してしまう。当時単線区間だった能生駅は列車行き違いのための停車だった。それが旅客向け時刻表に誤って記載されたがために騒動となった。これにまつわるサービスかどうかわからないが、ファンの間では有名な逸話だ。
能生の桜並木
電車が見つめる先には桜並木もある。春になるとここがピンク色に染まる。ここをバックに「観光急行」を撮ろうというツアーが開催されたこともある。
デッドセクション
梶屋敷駅を過ぎると電流の種類が変わる地点「デッドセクション」に突入。直流電流を交流60Hz電流に切り替える。この瞬間電車内は停電する。
ここ20年で製造された交直流両用電車では「観光急行」みたいなことは起きづらくなっている。非常用の電源が作動し、灯が消える、あるいは常夜灯だけ点くことは無くなった。特急サンダーバードとしらさぎでもこういうことは一切なく、電光掲示板がシャットダウンしてただけ。暗くなることはなかった。
2024年現在、灯りが消えるのは関門トンネルを走る普通列車のみ。「観光急行」より少し年下ぐらいの国鉄形電車が現役で使用されている。上記の記事は2年前だが、今でも活躍している。
その直後に通過する「えちご押上ひすい海岸駅」。乗ってるのが北陸線普通列車だった頃にはなかった駅だ。ちょっと異世界を感じる。
12:22 糸魚川駅
糸魚川駅に到着。2度目の撮影タイムを兼ねて、貨物列車の通過待ちを行う。
青い機関車先頭の貨物が通過する。国鉄形電車をよそに、JR生まれの機関車とマルーンのコンテナというタイムスリップしたような異色のコラボが繰り広げれる。
北陸線貨物プレイバックin2015
ちなみに、昔の北陸線ではこんな貨物列車が走っていた。ローズピンクの見た目をした機関車が貨物における北陸の顔だった。
青、銀、赤の機関車に置き換えられて北陸からは完全撤退。九州に若干数残りはしているが、銀の新型車投入で近いうちに消滅してしまいそう。観光急行とともに僕の中では北陸線といえばな車両だ。
糸魚川駅を出発。ここからも海沿いを駆け抜けつつ、姫川や親不知の絶景でサービス減速がある。
海が見える多くは「北陸自動車道」の高架で遮られ、見づらい。しかし、何も阻むものがないところもある。
12:52 市振駅
終点市振駅に着いた。「えちごトキめき鉄道」と「あいの風とやま鉄道」の境界に当たり、急行はここまでとなる。
ただし、普通列車は県境を越えて西へ走り、泊駅(富山県朝日町)で「あいの風とやま鉄道」富山方面行きと接続する。逆にあいの風とやま鉄道が糸魚川駅まで来ることもある。
絶景と防波堤
市振駅は海に非常に近い。高波対策の防波堤が築かれ、ホームから見える海は限られる。とはいえ、絶景だ。
市振駅で折り返して糸魚川まで戻る。
帰りの急行券は車内で購入。「車内補充券」と呼ばれるペラペラで長方形の紙が発行される。JR特急の自由席や乗車券を車掌から購入するとこういう紙でもらう。今どきはスマホ1つで済むからお世話になる機会は激減している。
記念乗車証 その2
2号では別のデザインの乗車証をいただいた。雨を切り裂きながら二本木駅に進入するこの列車と3周年記念のロゴがあしらわれる。
ヨルシカだけで楽しむ
聴いた音楽は「ヨルシカ」尽くし。本当はもっといろいろ聴きたかったが、海が見えるとどうしても聴きたくなる。小3の僕には18年後こんなことしてるのが想像つくのだろうか。鉄道ファンですらも少数派な楽しみ方。
雪月花!
帰り道では絶景で停車している「雪月花」に遭遇!乗ってるのとは全然違う真新しいレストラン列車だ。
13:32 糸魚川駅
糸魚川駅で降り立った。「18年前の北陸線の旅」はこれにてフィニッシュ。本来は40年前の雰囲気を再現しているが、僕の中では小3の頃。ジェネレーションギャップを感じられてしまうけど。
ふるさとから去った古い電車に今の時代でも乗れることはかなり貴重。僕の頃とオールドファンでは見方は違うが、懐かしいで言えば、根本は変わらない。メンテナンスは苦労するだろうが、まだ走ってほしいと願ってやまない。
新潟まで来てリベンジした甲斐あった。