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ただ乗りたいだけの近旅 後編

ライブなどの予定が何も無いのに阪急電車に乗りたいという欲望一心というただそれだけで京都から大阪梅田へやってきた。おそばで腹ごしらえして改札を出て、少しばかり駅の周りを徘徊する。

阪急梅田の界隈

1階から商業施設「EST(エスト)」や東梅田、堂山方面
やっぱり乗りたなる「動く歩道」
変わらず広くて豪華絢爛な阪急うめだ本店入り口
「梅田で待ち合わせと言えば」な「ビッグマン」や紀伊国屋(きのくにや)書店周り
阪急によくある池田泉州銀行系ATMPatsat(パッとサッと)」
手前のと奥の「VISA加盟連合」の広告にはタカラジェンヌ。
三番街方面

リニューアルでちょこちょこ変わってはいるが、「新梅田食道街」「新阪急ホテル」などのレトロな一角や「阪急三番街」なども相変わらず。ただ、「阪急三番街」「新阪急ホテル」「阪急ターミナルビル」は建て替えが発表されたため、どこかしら変わることになる。さてどうなることやら。

夜の上り特急

しばらくブラついた後、再び阪急の改札に入って家路に着くことに。

9300系特急京都河原町行き

特急京都河原町行き。基本的に特急と通勤特急(平日のみ)にはハイグレードなこの車両が用いられる。新快速を彷彿とさせる3扉と2列座席で、平日はこの形式を用いた特急と通勤特急は女性専用車両を設定している。各駅停車にあって優等列車にないパターンが多い中、阪急はなぜか逆転現象を起こしている。

オリーブ色でどことなく新快速っぽい2列座席
需要が多いからか満席の車内。そりゃ10分に1本走らせるわな。

ターミナルでは「車内整理」と称し、降りる人が済んだ後座席を自動で向きをひっくり返すイベントが繰り広げられる。一斉に座席が向きを変えて「バタバタバタバタ」と音を立てていて圧巻だ。ちなみに京阪電車でも大阪淀屋橋と京都出町柳で同様のイベントをやっている。

扉が開いて、いち早く窓側席をゲット!ウォークマンを用意する。

19時40分に大阪梅田を出発。横には急行宝塚行きとその奥に特急神戸新開地行きがぴったり並走する。名前とは裏腹な重厚でダークチックな『昼鳶』をお供に日没後の淀川を渡ってほぼ同時に十三駅に滑り込む。

十三からは各々別れ、こちらは京都線を東へ。淡路を過ぎた辺りまでは少しゆっくりペースで相川駅手前で各駅停車が退避した直後からスピードをMAXである115㎞/hまで加速する。

北摂ほくせつから洛西らくさいのストレートな直線を飛ばして茨木市、高槻市、長岡天神、桂と停車。『Make-up Shadow』『ばかじゃないのに』『これからのこと、それからのこと』など音楽が楽しい。

京都河原町駅で見た月

桂から烏丸からすままでは『八月、某、月明かり』を聴いたのだが、京都河原町駅を降りて地下を出たら綺麗な月が出ていた。座席の真逆の窓側に出ていたから気づかなかったが、ハイスピードが相まってちょうど良い感じに聴けた。それから京阪電車や近鉄で家路に着いた。

阪急今昔話

母方のおばあちゃん家が阪急沿線で昔はよく乗った思い出がある。大阪梅田のデパート三昧で我慢した直後、梅田から阪急に乗るのが楽しみだった。梅田の発車メロディ、ガチャガチャなる扉のリズム、低音ボイスの車掌さん、新快速より1回り以上年上の旧型モーターなど音で楽しんだ。ビジュアルでは年齢を感じさせないピッカピカ艶やかボディや沿線の光景や滋賀では見られない看板の多さなどで都会への憧れがあったりした。

今は思い出の街が再開発されたり、古い電車のリニューアルや置き換えが進んだものの、駅アナウンスの主は変わってない上、ドア上の「デジタルサイネージ」やアルトボイスが心地良く、京阪でも聴き馴染みある車内自動アナウンスなど令和時代の阪急における新たな楽しみ方も見つけ出している。結局昔も今も阪急を愛する心は変わらない北陸線や御堂筋線に次ぐ鉄道における「第3の故郷」がここ阪急なのだ。

そんなノスタルジーと乗りたい衝動だけで旅した今回。遠かろうが近かろうが鉄道と音楽があれば楽しめるし、変わったところや変わらないところをいろいろあるのも楽しいもんだ。

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