あえて、乗り過ごしてみた。
京阪電車には「快速特急『洛楽』」という列車がある。
淀屋橋から大阪市内主要3駅に停車した後、一気に七条駅(京都市東山区)までノンストップし、祇園四条→三条を経て出町柳に至る最速達列車。
主に午前の「京都方面」と夕方の「大阪方面」が運転され、行楽需要を支えている。今回はこの列車で京橋から祇園四条まで乗っていく。
住んでいる場所の関係で丹波橋から大阪市内まで京阪を使う機会は多い僕。しかし、「洛楽」は「丹波橋」を通過してしまい、乗り過ごしになる。故に、乗れる機会は無かった。ただ、この日は休日なのでこれに乗って、あえて乗り過ごすことにした。
京橋へ
JRから乗り換え、「洛楽」発車5分前。ギリギリホームに着けた。
通常、「特急」は「2番線」を使い、「1番線」には「普通」が停車するが、「洛楽」は右のホームに停車するトリッキーなパターン。前後の列車の兼ね合いだろう。
「洛楽」がお出まし
ホームに来て間もなく、「快速特急洛楽」が到着。「3000系」という車両のディスプレイには「洛楽」と書かれた「月」をイメージしたヘッドマークを表示。サイドには「雲」をイメージした装飾灯も点灯。
いずれも「特急」運用時には使われない特別なもの。さらに、平日と土休日で使用車両が異なるため、なかなかお目にかかれない
「特急」を示す「鳩マーク」も優等列車の威厳があるが、「3000系」による「洛楽」は威厳と豪華絢爛さが眩しいかのよう。
「プレミアム」で指定
今回は、指定席「プレミアムカー」へ。
京都市内へ最速
インバウンド需要が大盛況
これらで利用が多くなりそうだったが、発車15分前にネット予約した際にはちらほら空席が残ってた。
しかも、乗った日は「祇園祭“前祭”」の「山鉾巡行」の当日。しかし、「巡行」は午前9時半がスタート。僕が乗る時点で移動のピークは過ぎていた模様。
京橋発車
琴の音を使った「洛楽」専用発車メロディとともに、京橋駅を出発。次の停車駅は「七条」。ここから「32駅」を通過する。
次は「京都の七条」に止まります。
と駅員が4、5回以上連呼しているが、「特急」と同じ見た目だから、乗り間違いは絶えないだろう。そうやった結果、背筋が凍ったなんてエピソードをSNSやテレビでよく聞くもんだ。
順調に飛ばす
列車は順調に飛ばす。「萱島駅(大阪府寝屋川市)」までは「片側2車線」で普通列車を気にしなくていい。
特急停車駅を通過
「洛楽」は通過駅が多く、「枚方市駅」「樟葉駅(枚方市)」という「特急停車駅」すらも通過。
「洛楽」のルーツ
昭和時代の「特急」はこの2駅を通過していた頃もあって、「京都-大阪間(京阪間)の速達」という形態がメイン。ちょうど今乗ってる「洛楽」の原型だ。
しかし、並行するライバルであるJRの「新快速」のスピードアップで太刀打ちできなくなったことで方針転換。
枚方市や京都市伏見区といった「中間の主要都市」の需要を取り込んで利便性を上げることを重きに置くようになり、停車駅を増やした。このことは同じライバルの「阪急電車」も同様のことが起こっている。
一時は途絶えたが、「観光の利便性を上げる」ために2011年から「臨時快速特急」として復活。春、秋、正月など毎シーズンに運転されるようになり、2016年のダイヤ改正で土休日の定期列車として完全復活。その翌年からは平日にも拡大し、現在に至る。
撮影名所
歴史や経緯はそんなところ。樟葉を過ぎて、京都府八幡市へ。「石清水八幡宮駅」を過ぎると「木津川」→「宇治川」と2つ川を渡る。
この間には急カーブがあって、電車を前から後ろまで画角に収めることができる絶好の撮影スポット。この日もカメラマンたちが猛暑を跳ね返すようなアツい視線を電車に注ぎ、チャンスを窺っていた。
伏見区内もノンストップ
伏見区内の特急停車駅「中書島」と「丹波橋」も通過。
僕はこの内の「丹波橋」で乗り換えないと家に帰ることができない。ただ、今回は遊びのようなものなので、新鮮で面白い光景だ。
突然のブレーキ
「伏見稲荷駅」を通過。「賑わっとんなぁ」と見ていたら、突然の強いブレーキ。しばらくすると、放送が聞こえてきた。
鳥羽街道駅の踏切で安全確認を行なっておりましたため、速度を落として運転しております。
この先の踏切で異常を知らせる信号を発信したものだと思われる。ただ、停車するまでには至らず、ブレーキから1分ぐらい経って通常通りの速度まで上げ、約2分遅れた。
もうすぐ七条
東福寺駅手前で坂を登って「JR奈良線」をオーバークロス。
この瞬間に「京都タワー」と「京都駅ビル」が姿を見せる。京都市内の建物には「高さ規制」があり、低い建物ばかり。しかし、この2つはそれが緩和され、どこから見ても目立っている。
東福寺駅を越え、新幹線と「JR琵琶湖線」をアンダークロスすると車内放送がかかる。地下へ潜ると「七条駅」。
祇園四条到着
そして、目的地「祇園四条駅」に到着。長いようで短い35分(+2分)だった。
「山鉾巡行」のルートに一番近い駅だが、人で埋め尽くされている印象はない。みんな鉾の方にまっしぐらだ。
プレイリスト
「洛楽」で聴いた曲は主に夏の曲。
その間には、沿線出身「yonige」の『さよならプリズナー』もかけてみた。
最寄り駅に止まらない列車だとどうしても乗りに行こうとは思わない。でも、折り返してもさほど距離がないことや直前に神戸に行って帰る道中でちょうど良かったことで乗ることが叶った。
観光には良さげだが、くれぐれも乗り間違いにご注意を。