列車のリノベも魔法なんだ
ここ最近、『魔法のリノベ』というドラマをよく見ている。「ヨルシカ」がエンディング曲でタイアップしてるという理由で見ているのだが、このドラマで何回も出てくる
というセリフに自分の好きな鉄道における「リノベ」を掛け合わせて考えることがよくある。
鉄道における「リノベ」は「リニューアル工事」「体質改善」「アコモ(内装)改善」「更新工事」などと呼ばれ、一世代前の陳腐化した車両を新型車両に準じた外装や内装に「リノベ」をすることが主な目的。場合によっては省エネ型のモーターの取り替えをすることもある。これによって、世代の違う車両であっても乗り心地などで大きな格差を修正し、ランダムで来る車両でも平等に近い快適さを提供している。
受賞ものの技を例に。
例えば、新快速の「4代目」で、今は京阪神各地の快速、普通列車で活躍するJR西日本221系電車の場合。
ドア窓の二層化
壁色を新型車両と同じに
電光表示の案内装置を移動させるとともに大型の新品に交換
ドア横の座席を一部を収納座席に交換
前面のライトを交換
両側先頭車後ろにフリースペースを設置
和式トイレをバリアフリーの洋式に。さらに大型化。
手すりと吊り手を黄色に、吊り手は大型化。
それ以外にも多岐に渡って大規模な「リノベ」が施された。当時の最新型225系0番台の内装をベースに、なくてはならないバリアフリー設備の整備やラッシュ時のキャパシティアップと閑散時の着席率維持を両立したリノベで使いやすくなって、混みやすい嵯峨野線や大阪環状線などで威力を発揮したり、おおさか東線、大和路線、奈良線などでは普通列車として活躍を広げている。使いやすさや現代的な必要不可欠なものを潮時にフィードバックし、“マルチで快適な通勤電車”として新快速時代に劣らず第一線で輝き続けている。これを含めたJR西日本の「リニューアル工事」の技は「グッドデザイン賞」を受賞しているほどだ。
シンデレラみたい
近鉄「青の交響曲」JR七尾線特急「花嫁のれん」和歌山電鐵「たま電車」を始めとした人気観光列車の多くは中古車両を大胆に「リノベ」している。
特に「青の交響曲」は元々南大阪線などを急行や普通列車として走っていた車両を改造している。詳しくない人からしてみたら、びっくりするぐらいの変貌を見せている。丸みを帯びたシルエットや特急にしては大型の扉、扉を埋めた跡などはなんとなくそうに見えるが、中古車両だとはなかなか気付かない。シンデレラの魔女もさぞかし腰を抜かすだろうレベルだ。
ファンでない限りなかなか気付かないコアな話ではあるが、こういうところにも「リノベの魔法」が隠れている。新型を作るよりお金を抑えて、いつもの電車は使いやすく目新しく、そして、観光列車などの注目されやすいところでは大胆でオシャレ、さらに走る地域の魅力を折り込むなどして新型車両と見間違えるぐらいになっている。こういうところも鉄道を好きにさせる凄技なのかもしれない。
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